吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
毎営業日更新
米ドル/円「1円レンジ相場」が示唆するシナリオ
米ドル/円は過去2ヶ月近くも、90日MAを2%上回った水準が上限、1%上回った水準が下限といった「1%レンジ」での小動きが続いてきた。
小動きが長期化すると、エネルギーが蓄積することにより、小動き終了、レンジ・ブレーク後は一方向に大相場が展開しやすい。
続・FOMC後に為替相場で変わったこと
FOMC後、一時はユーロや豪ドルに対しても52週MAより米ドル高の展開となった。このまま、ユーロや豪ドルに対しても、52週MAより米ドル高が長く、大きく進むなら、経験的には全面的な米ドル高トレンドへの転換の可能性が高まる。
米ドル/円 高値更新、今後の見通しとは?
米ドル/円は23日、2021年の高値を更新した。
ただ先週からの米ドル/円は、米金融政策を反映する米2年債利回りの影響が大きくなっており、その米2年債利回りは、90日MA(移動平均線)からのかい離率で見ると短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっている。
FOMC後に為替相場で変わったこと
豪ドル/米ドルなど為替相場の多くは、先週のFOMC以降、2年債利回り差との連動に変わった。
為替相場の行方が、米10年債利回りと2年債利回りのどちらが主役になるかで、目先の見通しは大きく変わる。
90日MAとの関係で見ると、米2年債利回りは記録的な「上がり過ぎ」が懸念されてきたため、目先的には米ドル高に限界がある可能性も!?
クロス円、そして南アランド/円の反落の理由
先週のFOMCの後から、それまで一本調子で上昇してきたユーロ/円などクロス円は急反落となった。その主な理由は2つか。
クロス円の中でも新興国通貨、南アランド/円などの下落は相対的に大きくなった。その背景には、南アランドなど新興国通貨特有の下落リスクの影響がありそうだ。
テーパリングとゼロ金利解除の「Xデー」
量的緩和(QE)の縮小、いわゆる「テーパリング」開始は、2021年11月ないし12月のFOMC、そしてゼロ金利解除となる最初の利上げは、2022年12月といったところが基本シナリオか。
「FOMC米ドル高」が対円、対ユーロで差が出た理由
6月16日のFOMCを受けて米ドル全面高となったが、対円より対ユーロでのドル高方向への反応が大きかった。そんな「FOMC米ドル高」の通貨別の違いは、120日MAとの関係などテクニカルな影響か。
FOMC後の米金利と為替相場の見通し
FOMCの結果を受けて米金利が急騰、米ドルも全面高となった。
米金利については、「上がり過ぎ」が是正されたことで、素直に上昇へ反応しやすくなっていたのではないか。「米金利上昇=米ドル高」はしばらく続く可能性ありか。
FOMCの為替・株への影響を考える
「コロナ後」の金融緩和見直しは、実は「リーマン・ショック後」の経験を参考にすると、すでにいつ始まってもおかしくない段階に入っている可能性あり。
経験的には、政策金利と株価は天底のタイミングが一致。つまり「最初の利上げ」は、株高の終わりではなく、むしろ初期段階で行われるのが基本だった。
もしも経験則が外れ、「最初の利上げ」後に株安へ転換した場合、なお歴史的な政策金利低水準の中、株安対策の余地が限られることになりかねない点は要注意。
続・失業率で考える米緩和縮小のシナリオ
「リーマン後」の米超金融緩和見直し「テーパリング」開始は2014年1月。当時の名目の失業率は7%弱だったので、最近ではすでにそれより大きく改善した。
ただ、FFレートとより相関の高い失業率10年平均からのかい離率を見ると、まだ「リーマン後」のテーパリング開始前の水準
「リーマン後」の経験を参考にした場合、先月5月に記録した5.8%より米失業率の改善が進むと、テーパリング開始もいよいよ現実味を帯びる可能性がある。
失業率で考える米緩和縮小のシナリオ
米政策金利のFFレートと米失業率には基本的に高い相関関係があった。その意味では、米金融政策は失業率で決まってきたといった言い方も出来るのではないか。
「リーマン・ショック」後は、2013年5月に失業率が7.6%まで改善したところで当時のバーナンキFRB議長が最初に緩和縮小を示唆したことによる「バーナンキ・ショック」もあり、最初の利上げは2015年12月に5.1%まで改善したところで実施された。以上などから考えると、最近の失業率改善を受け、緩和縮小は着実に現実味を帯びている可能性がある。
米景気「好調」下の米金利低下の見通し
米景気「好調」が続く中、今週は米金利低下が広がった。これは、4月初めにかけての極端な金利の「上がり過ぎ」の反動が主因か。過去の類似例を参考にすると、米10年債利回りは1.4%前後まで低下する可能性がある。
ただ今回は、一時の米金利の空前の「上がり過ぎ」が、米景気「オーバーキル」をもたらすことはなかった模様。それらを考えると、過去の類似例より米金利低下は限られる可能性もあり!?
米インフレ懸念と米金利、為替の関係
今夜発表予定の米5月CPIは、インフレ懸念を示す結果との予想が多い。ただ前回は、インフレ懸念を示す結果に対する米金利上昇は限られた。
前回は、まだ米金利は「上がり過ぎ」懸念があったが、最近はそれもほぼ是正された。米金利はインフレ懸念に対して素直に金利上昇で反応しやすくなっている可能性あり。
続・米金利低下クライマックスの可能性
米10年債利回りは90日MAとの関係で見ると、空前の「上がり過ぎ」がほぼ是正された。ただ実質金利は、インフレ率上昇を受けて、「コロナ・ショック」直後以来の水準まで低下した。
名目金利の「上がり過ぎ」が是正されたことに加え、実質金利は「下がり過ぎ」再燃となっていることからすると、米金利低下はやはり最終局面を迎えている可能性が高い!?
米金利低下クライマックスの可能性
4日発表の米雇用統計のNFPが予想を下回り、米金利、10年債利回りが低下、90日MAからのかい離率は1%まで縮小した。90日MAとの関係では、米金利の「上がり過ぎ」はほぼ是正された。
4月以降、米景気指標の好調を尻目に、米金利「上げ渋り」が続いた主因は、上述の「上がり過ぎ」の可能性。それが是正されたということは、「上がり過ぎ」修正に伴う米金利低下リスクは基本的にクライマックスを迎えている可能性が高そうだ。
異例の円・米ドル「同時売り」は続くのか
この数ヶ月、円と米ドルがともに大きく売られるといった比較的珍しい組み合わせが続いた。これはリスクオン局面で起こりやすく、結果的にクロス円が大きく上昇する。
この円と米ドル「同時売り」は、リスクオフ拡大へ転換すると終わる。ただ買いへの転換は円が先行し、米ドルはしばらく売りが続くことから、為替相場では米ドル/円が急落しやすい。
ロシア「米ドル売り警告」の影響は?
3日、ロシアが米ドルを売却し、ユーロや金にシフトするとの一部報道をきっかけに、米ドルが急落する場面があった。
ただ、5年MAとの関係で見ると、ユーロも金も相対的に「上がり過ぎ」圏の可能性。ビジネス感覚からすると、「上がり過ぎ」圏の相場を買う動きは限定的にとどまりそう。
雇用統計と為替「いびつな関係」の理由
米雇用統計で注目されるNFPは、この数ヶ月「サプライズ」が続いたが、米ドル/円はそんな「サプライズ」の一般的な示唆とむしろ逆の方向に動く「いびつな関係」となった。
これは、NFPの結果と米金利がむしろ逆の方向に動いた影響が大きい。その意味では、米ドル/円の目先の行方は、NFPの結果以上に、米金利の動きに注目だろう。
米ドル/円と金利、株との関係
4月以降、米金利と米国株は、前者が上昇一服で横這う一方、後者は高値更新に向かった。両者の違いの1つに、短期的な「上がり過ぎ」の有無があった。
2021年に入ってからの米ドル/円は、基本的に株より金利と連動してきた。このため、株高・金利低下(横這い)の中では、米ドル/円も方向感乏しい展開になっているということだろう。