全面的な米ドル高トレンドへの転換
先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)の後から、米ドル全面高となった。このような米ドル高の大きな広がりは、2021年4月初めにかけての米金利急騰局面にもあったが、今回はそれと微妙に違うところもありそうだ。
その具体的な違いは、ユーロや豪ドルに対する米ドルの関係だ。4月初めにかけて、米金利上昇に連れた米ドル高においては、対ユーロや対豪ドルでは、52週MA(移動平均線) を超える米ドル高とはならなかった(図表1、2参照)。これに対して今回は、足元で1.19米ドル、0.745米ドル程度の52週MAより、まだ一時的ではあるものの米ドル高の動きとなってきた。
【図表1】ユーロ/米ドルと52週MA (2000年~)
【図表2】豪ドル/米ドルと52週MA (2005年~)
この52週MAとの関係は、経験的には継続的な相場の動き、つまりトレンドの判定で参考になってきた。簡単な言い方をすると、一時的な動きは52週MA前後までがせいぜい、そんな52週MAを大きく、長くブレークするなら、一時的ではなく、継続的なトレンドが展開している可能性が高い。
4月初めにかけての米金利急騰に連れた米ドル高局面では、対円では米ドル高が52週MAを大きくブレークしたものの、ユーロや豪ドルに対しては上述のように米ドル高が52週MAをブレークするまでには至らなかった(図表3参照)。その意味では、これまでは米ドル高トレンドへの転換は、あくまで対円で確認されたケースに限られていた。
【図表3】米ドル/円と52週MA (2000年~)
ただ、ここに来て上述のようにユーロや豪ドルに対しても52週MAを米ドル高方向へのブレークを試す動きになってきた。このまま、足元で1.19米ドル程度、0.745米ドル程度の52週MAを米ドル高方向に大きく、長くブレークするようなら、経験的には対円だけでなく、主要な通貨に対して全面的に米ドル高トレンドへ転換した可能性が高まることになりそうだ。