吉田恒の為替デイリーの記事一覧

チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
 

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吉田恒の為替デイリー
円売り拡大はまだ「道半ば」の可能性
対米ドルで円は年初来安値に近付いてきた。ただ一部のデータを見る限り、円の「売られ過ぎ」懸念は強くない。 代表的な低金利通貨だけに、円売りリスクテーク余力は、まだ「道半ば」に過ぎない可能性すらありそう。
米金利「さらなる上昇」という可能性
先週のFOMCの後から、米金融政策を反映する米2年債利回りは急騰、年初来高値を更新した。 これまでの年初来高値を記録した6月FOMC後と最近では、金利水準は同じながら、90日MAからのかい離率などでは大きな差がある。最近の場合、「上がり過ぎ」拡大で、米金利は一段の上昇に向かう可能性がありそう。
「テーパリング」までの米ドル/円のシナリオ
9月FOMCを受けて、早ければ11月FOMCで「テーパリング」開始が決まる見通しとなった。今回のような超金融緩和見直し局面で、「リーマン・ショック」後のケースでは、テーパリング開始までに米2年債利回りは最高0.5%まで一段の上昇となった。 これに近い形で米2年債利回り上昇、金利差拡大となるなら、テーパリング開始に向けて米ドル/円は113円程度、ユーロ/米ドルは1.12米ドル程度に向かう見通し。
株価「中国ショック」と為替の関係
中国の大手不動産開発会社のデフォルト懸念などを主なきっかけに世界的な株安、「中国ショック」が拡大した。こういった中で、ユーロ/米ドルなども、金利差より株価との連動が強くなった。 NYダウなどで株価の動きを見た場合、テクニカルには「コロナ後」の株高トレンドが正念場を迎えている可能性がありそう。
トルコと英国も注目される「中銀ウィーク」
今週は中央銀行の金融政策会合が相次ぐ「中銀ウィーク」。主役は米国のFOMCだが、トルコや英国の金融政策会合も為替相場への影響という観点で注目される。
「中国リスク」の豪ドルへの影響を考える
ここに来て「中国リスク」への注目が拡大しているが、豪ドルは以前に比べて中国要因との連動性が薄れている。それは豪州と中国の外交関係悪化などの影響とされる。 最近の豪ドル/米ドルは、豪米金利差との相関性が高くなっているが、これは米国の金融緩和政策転換が注目されている影響もあるのではないか。
9月FOMCの「サプライズ」リスク
14日の米8月CPI発表から「米金利低下=米ドル下落」が拡大した。これは、9月レーバーデイ明けから相場は一方向に大きく動くパターン通りではある。 ただ、8月のジャクソンホール講演で、パウエルFRB議長が、「テーパリング開始で物価の条件はクリアした」と述べた中で、今回のCPIへの反応はやや過剰な懸念あり。 予想以下となった今回のCPIの結果で、9月FOMCでのテーパリング決定なしとの決め込みは行き過ぎの可能性あり!?
「米金利低下=米ドル安」シナリオの限界
米ドル/円は109~110.5円中心の小動きがすでに2ヶ月以上も続いていることから、そろそろレンジを抜けた方向に大きく動き出す可能性にも期待したいところ。 ただ「米金利低下=米ドル安」シナリオは、米金利低下余地が限られそうなため、108円割れすら難しいといった具合に、基本的に限度がありそう。
米ドル/円のトレンドが出やすい9月
経験的に、9月から米ドル/円も一方向に動きやすかった。それは、すでに述べてきたようにトレーダーの夏休み明けということとともに、国際会議や金融政策会合など、相場変動の手掛かりになりやすい重要イベントが相次ぐ影響もありそうだ。 過去5年間の米ドル/円、月足チャートを参考にすると、9月末は米ドル高なら112円、米ドル安なら108円!?
「豪ドル<NZドル」と米緩和政策転換の関係
同じオセアニア通貨でありながら、豪ドルとNZドルの客観データに、「差」が目立ってきた。その1つはポジション。豪ドルが大幅な売り越しになっているのに対し、NZドルは小幅ながら買い越し。 また、52週MAとの関係でも違いが顕著。「豪ドル<NZドル」は、米金融緩和政策転換の初期に起こりやすい現象の可能性もありそうだ。
世界で広がる「テーパリング」、緩和政策の転換
カナダなど資源国やメキシコなど新興国では、「コロナ・ショック」後の金融緩和見直しが広がっている。物価上昇への対応が一因だろう。 いわゆるデルタ株の影響などが懸念されているものの、米国の金融緩和縮小、「テーパリング」開始も大きく遅れる可能性は低いのではないか。
レーバーデイ「アノマリー」の米ドル/円
欧米のトレーダーにとって実質的な夏休み明けとなるレーバーデイ明けから、相場は一方向へ大きく動き出す傾向があった。 過去3年についてみても、米ドル/円は、レーバーデイ明けから一方向に2円以上動いていた。今回は112円、それとも108円!?
「テーパリング」でも豪ドル反落の理由
豪州中銀は7日、緩和の縮小、いわゆる「テーパリング」を決定したが、その後豪ドルは反落となった。これは、金利差から見た豪ドル「上がり過ぎ」の関係と辻褄が合う。 また、52週MAとの関係で見ると、豪ドル/米ドルは下落トレンドが展開中で、一時的な反発は足元で0.75米ドルの52週MAを長く、大きく上回らない程度にとどまる可能性。
豪加欧の金融政策と為替相場の関係
今週は火曜=豪州、水曜=カナダ、木曜=欧州と金融政策会合が続く そこで、それぞれの現在の金融政策スタンスと為替相場との関係について整理してみた
豪ドル「乱高下」の背景を探る
一時0.71米ドルまで急落した豪ドルが、先週は0.75米ドル近くまで反発するなど荒れた値動きが目立っている。急反発の一因は、「売られ過ぎ」の反動か。 豪ドルは2021年すでに対米ドルで1割以上も下落。これは米金利上昇に伴う金利差豪ドル優位縮小のトレンドと重なっている。金利差のトレンドが変わらない限り、基本的には豪ドル下落トレンドが続く可能性が高いだろう。
米金利の転換点になってきた雇用統計
米ドル/円など主要な為替相場は、過去2ヶ月方向感のない展開が続いてきたが、それは影響力の大きい米金利の方向感の乏しい展開が続いたことが主因だろう。 その米金利のトレンドは、注目指標とされる米雇用統計発表をきっかけに発生することが少なくなかっただけに、今回も注目。
米政策転換とマネー逆流、翻弄される新興国
米国の金融政策転換は、これまで、基本的に外資への依存の高い新興国経済を翻弄してきた。 米緩和局面では、「米国→新興国」といった資金の流れから、新興国の多くは実力以上の通貨高となった。そして、米緩和見直しでは、「新興国→米国」といった流れから、新興国通貨の多くは大幅な下落リスクが拡大するところとなった。
クロス円「底値圏」の可能性を考える
8月にかけて主要なクロス円は軒並み大きく下落したが、基本的に52週MA前後で踏みとどまり、経験的にはあくまで一時的な下落に過ぎない可能性となっている。 本来、株価と順相関のクロス円が7月以降株高を尻目に「異例の下落」となった動きは、じつは米金利低下の影響があったようだ。ただ、その米金利も「下がり過ぎ」圏にあることからすると、上述の「一時的な下落に過ぎない」といった判断とも一致する。
米金融緩和見直しと新興国通貨のリスク
米金融緩和見直しが現実的になってきたが、これまでは、リーマン・ショック後の金融緩和見直し局面も含め、米国への資金還流により新興国、資源国の通貨下落リスク拡大となることが基本だった。 とくに、中長期の割高懸念が強い通貨は、その反動も重なり大幅な下落に向かう可能性に注意が必要だろう。
「パウエル発言」でなぜ米金利は低下したか
注目されたジャクソンホールでのFRB議長発言を受けて、米金利低下=米ドル下落となった。これは、米2年債利回りの短期的な「上がり過ぎ」反動の影響か。 今回の金融緩和見直しの確認といったことは、基本的には米金利上昇=米ドル高要因。短期的な行き過ぎを修正しながら、基本は米金利上昇=米ドル高か?