吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
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原油とユーロ安・米ドル高の関係に注目
止まらないユーロ安・米ドル高が展開する中で、金利差とは別に「原油安=ユーロ安」の影響も目立った。一方、それまでの「原油安=円高」の関係はかい離。ユーロ安・米ドル高が米ドル高全体をリードする構図となっている。
原油相場の動向はユーロ/米ドルへの影響を通じ、急ピッチで展開する米ドル高の行方を考える上でも注目。
FRB人事と米金利、為替の関係
週明けから「米金利急騰=米ドル一段高」となった。これはFRB議長人事で「タカ派」のパウエル議長続投となったためとの解説もあったが、むしろ米感謝祭前の特殊要因の影響が大きかったのではないか。
米金利上昇は短期的には「行き過ぎ」懸念が強い。そうであれば、米金利「上がり過ぎ」の反動で、米ドル高・円安は短期的に一巡する可能性もありそう。
原油高が続いた理由、そして反転の鍵とは?
WTIが80米ドルを大きく上回るなど原油高が続いてきた。この背景は世界的カネ余り、そしてESG投資により化石燃料の長期開発ストップなどの影響など。
原油高抑制の有効策は「世界一の産油国」で需給調整役の立場にある米国のシェール原油増産。それが出来ず、応急策の国家備蓄放出で原油高の流れが変わるのは本来考えにくい。
ただWTIの5年MAからのかい離率等で見ると、2010年以降では中長期的に最大の「上がり過ぎ」となるなど、「上がり過ぎ」懸念が強くなっているということはある。
重大分岐点を迎えた可能性のトルコリラ
トルコは18日、3回連続の利下げを決定したが、物価上昇が続く中で、教科書的には真逆と言える利下げを続ける中、トルコリラ下落に歯止めがかからなくなっている。
トルコリラ/円は、ほぼ10年に一度の間隔で、90日MAを3割以上下回る「暴落」が起こってきた。そして、そんな「暴落」の合間は、90日MAを2割以上下回らずに下落一巡するのが基本だった。
目先的に10円を大きく下回ると、90日MAからのかい離率はマイナス20%以上に拡大する計算。これまでなかったほどに短期的なサイクルで「暴落」に向かっているのか、重大な分岐点を迎えている可能性あり。
米金利上昇でゴールド上昇という「変化」の理由
米金利と金相場(ゴールド)の関係は、9月までは「米金利上昇=金相場下落」といった逆相関が基本だったが、10月以降は「米金利上昇=金相場上昇」の順相関に変わった。
金は通貨と「モノ」の両面があり、10月を境とした米金利との関係変化は、インフレが現実的になってきたことに伴い、「モノ」としての金の評価上昇を受けた結果の可能性あり。
米ドル高値更新後のシナリオを考える
米ドル/円は16日、年初来の高値を更新した。では米ドル高・円安はこの先どこまで進むのか?
先月の米ドル/円最大値幅は4円近くに拡大したが、経験的に、米ドル/円の大相場は続きやすいため、今月中に米ドル高・円安は116円前後まで進む可能性もありそう。
この間の米ドル/円は日米2年債利回り差と高い相関関係が続いてきたので、それがこの先も続くなら、金利差、とくに米金利の動きが米ドル/円の行方における鍵になりそう。
対円以外で「米金利上昇=米ドル高」変化の理由
10月頃から、米金利上昇でも円以外、ユーロや豪ドルに対しては米ドル高の反応の鈍さが目立った。これは金利より、原油高など物価高の影響を受けるように変わったためか。
米ドル/円の場合、金利差との関係不変のように見えるが、金利より原油相場などの影響が大きくなる「インフレ相場」への変化において、米ドル/円も含めて為替相場への金利の影響が相対的に低下している可能性があるのではないか。
「インフレ」が変える米金利上昇の影響
10月頃から米金利上昇でも対円以外では米ドル高の反応の鈍さが目立ってきた。また金相場と米金利の関係は、それまでの逆相関から「米金利上昇=金上昇」に変わった。
これらの変化に共通するのは「モノ」の評価、すなわちインフレに過敏になってきたということか。インフレが現実味を増す中で、米金利上昇の相場への影響が変化している可能性あり。
「CPIショック」と米ドル相場への影響
10日の米CPI発表をきっかけに、米金利が急騰、米ドルもほぼ全面高となった。
ただ、すでに米2年債利回りは短期的に極めて「上がり過ぎ」懸念が強くなっている。また、そもそも供給サイドが主因の最近の物価上昇に対する米金利上昇の持続性にも懐疑的な面がある。
メキシコ金融政策決定会合とペソとの関係
メキシコは本日4回連続利上げ決定が有力視されている。ただ為替相場との関係では、過去3回の利上げでも、メキシコペソ/円は高値圏で推移にとどまり、上昇は限られた。
利上げでもメキシコペソ上げ渋りの一因は、5年MAなどが示唆するように、すでに中長期的な高値限界圏に達しているため!?
米ドル/円 反落の理由と今後の見通し
米ドル/円は9日、久しぶりに113円割れへ反落した。短期的に「上がり過ぎ」懸念が強くなっていた米2年債利回りが先週にかけて急低下したことが主因か。
米2年債利回りは短期的な「上がり過ぎ」修正でさらに低下する可能性があり、その影響で米ドル/円も112円割れまで続落する可能性も!?他方、円売り拡大の反動から円買戻し圧力も強そうなため、米ドル/円反発余地はしばらく限られそう。
年内の円安はもう終わったのか?
先週、米金利は大きく低下。これは、短期的に異常なほどの「上がり過ぎ」の反動が主因か。
経験的に、「上がり過ぎ」修正を経た高値更新には予想以上に時間がかかる。その意味では、米金利高値更新に伴う米ドル/円の高値更新も予想以上に先になり、その結果年内の米ドル高・円安はすでに終了した可能性もある!?
主要通貨の対米ドル・ポジション総点検
2021年は全般的に米ドル高の進行が目立ったが、ただ対米ドルでの主要通貨のポジションは必ずしも一様ではなかった。
足元で対米ドルでの売り越しが大きいのは円、豪ドル。一方、ユーロ売り越しは小幅に過ぎず、英ポンドやNZドルは逆に買い越しとなっている。
雇用統計発表と円安の転換
2021年2回の円安の循環的ピークは、雇用統計発表前後のタイミングとほぼ重なっていた。これは、米ドル高・円安をリードした米金利上昇の「行き過ぎ」修正が、注目イベントの雇用統計発表をきっかけに本格化に向かったためではないか。
最近にかけて米金利は短期的な「上がり過ぎ」懸念が急拡大している。雇用統計発表がその修正本格化のきっかけになる可能性に注目。そして米金利低下となった場合、それに米ドルも追随するかが次の焦点。
FOMC後の金利と為替の行方について
3日のFOMCでは「テーパリング」開始が決まり、「コロナ・ショック」対応の超金融緩和政策は転換に動き出した。
ただ米金利のうち、とくに金融政策を反映する米2年債利回りは90日MAからのかい離率などで見ると、異常なほどに短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっている。このためその反動から、緩和政策の転換の中でも目先はむしろ金利低下に向かう可能性あり。
その場合、米ドル/円は下落リスクが試されそう。
豪・英の中央銀行も金融政策変更か?
3日のFOMCの前後に行われる2日RBA、4日BOEの会合でも、金融政策の変更の可能性について注目が高まっている。
まずRBAでは、債券利回りに上限を設定するYCC変更の可能性に注目。そしてBOEは実際に利上げが決定される可能性に注目が高まっている。世界的なインフレ懸念の拡大を受けて金融政策への関心が強まっており、為替相場への影響も要注意だろう。
豪州金利急騰と豪ドル高のリスク
豪州金利が先週後半急騰した。RBAの金利上限方針見直し思惑が急浮上したことがきっかけ。
豪ドル/米ドルもテクニカルに重要な分岐点にあることから、この豪州金利上昇の落ち着き次第で当面のトレンドを左右する可能性あり。
トルコリラ最安値更新の理由と今後の行方
「物価の番人」であるトルコ中央銀行は、エルドアン大統領からの一段の圧力により、ほとんど独立性を失った。インフレ、モノの価値の上昇がコントロールできない状況の中では、相対的に通貨価値の下落もコントロール出来ないだろう。
トルコリラ/円は、90日MAからのかい離率がマイナス10%以上に拡大し、短期的な「下がり過ぎ」懸念が強まり自律反発する以外、当面下げ止まる理屈は考えにくい。
「一時的」米ドル安・円高の下限はどこか
米ドル/円急騰が一服する兆しとなってきた。では急騰の反動として、基本的に「一時的」米ドル/円下落なら、どの程度まで見込む必要があるのか。
52週MAで考えると、109円前後までもありうるが、日米金利差との関係で考えると、112円割れ程度までがせいぜいか。
米ドル/円の短期のシナリオ、中長期のシナリオ
米ドル高・円安は、短期的には米金利「上がり過ぎ」で一段落する可能性あり。
一方中長期的には、米金融緩和政策転換に伴う米金利上昇に連れて、120円以上の「行き過ぎ」と言える米ドル高・円安に向かう可能性あり。