吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
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なぜ米ドル高・円安へ大きく動き出したのか?
長く小動きが続いてきた米ドル/円だったが、最近にかけて米ドル高・円安へ大きく動き始めている。急に大相場に変わったきっかけは、小動きの反動といったテクニカル要因が大きかっただろう。
ここまでの米ドル高・円安は、米金利上昇がリード役となってきた。その米金利には短期と中長期で「異なる2つの顔」がある。米ドル/円の行方を考える上での手掛かりになりそうだ。
米ドル/円のトレンド「復活」の可能性
米ドル/円は、2017年以降小動きが続いてきたが、これは基本的に52週MA±5%レンジ内の動きでもあった。最近の米ドル高・円安で、そんな小動きからの脱却を試す動きになってきた。
米ドル/円の継続的な動き、「トレンド」は基本的に一方向へ2年以上、2割以上の動きになる。4年ぶりに、米ドル/円にそんなトレンドが復活するか、注目されるところとなってきた。
なぜ米ドルは全面高再燃となったか?
先週米金利は急上昇一服となったが、米ドルは週末にかけ軒並み最高値更新となった。
ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは、この間金利差米ドル優位への反応が鈍かったが、そのかい離を先週一気に埋めてきた形。米金利上昇が長期化する中で、米ドル買いが「あぶり出される」ようになった。
「激変」した為替と株、金利との関係
2020年3月の「コロナ・ショック」一段落後、為替は株高・米ドル安といった具合に、株価が主な関数になってきたが、それが最近は金利差に変わってきた。
「コロナ後」の為替の関数が株から金利に変わったことで、為替の行方もこれまで以上に米金利の見極めが重要になっている。
豪ドル/円上昇は85円で終わったのか?
今週に入りクロス円の急落が目立ち、とくに豪ドル/円は先週の高値から3%以上の急落となった。これは、代表的な資源国通貨・豪ドルだけに、原油など資源価格、コモディティー相場の急落の影響ではないか。
豪ドル/円は85円を超えたところで、52週MAを10%以上上回り、経験的には天井を打ってもおかしくない。このままコモディティー相場や金利差などの影響で豪ドル/円が下落するなら、結果的に85円が天井だったとなる可能性もあり。
米金利と米ドルの「反落」シナリオ
米金利は急騰が一服、今週は低下が目立っている。これは、短期的な「上がり過ぎ」修正で、テクニカルには米10年債利回りは1.2%程度まで低下する可能性もある。
米ドル/円はそんな米金利と高い相関関係が続いている。その関係を参考にすると、米10年債利回りが1.2%に向かうなら、米ドル/円は106円に向かう見通しになる。
トルコリラ「Mナンバー」は週末終値14.5円
トルコリラは、先週予想以上の利上げを受けて15円台まで上昇したが、その後の中央銀行総裁の突如の解任などから、週明けは12円台まで大暴落となった。
経験的には、52週MA(移動平均線)を「大きく」、「長く」、具体的には5%以上、1ヶ月以上ブレークするかが一時的な動きか、それとも継続的、トレンド転換かの目安。その観点では、週末終値14.5円に注目。
米ドル買い戦略へ急転換の可能性
ヘッジファンドなど投機筋の円ポジションが先週、約1年ぶりに売り越し(米ドル買い越し)に転換した。また、米ドルのポジションも、売り越しが今年初めのピークからほぼ半減してきた。
米金利急騰が続く中で、米ドル買い戦略への転換が進んでいる可能性がある。
「止まらない米金利上昇」の考え方
米金利上昇が続いている。「金利は景気で決まる」といった意味で、代表的な米景気指標などとの関係を参考にすると、米10年債利回りは2%超へ一段の上昇に向かう可能性あり。
ただ短期的には、記録的な「上がり過ぎ」懸念拡大となっている。経験的には、FOMC終了後間もなく金利の行き過ぎは一巡するパターンがあるため、目先的に米金利上昇が一段落する可能性にも注目。
米ドルは102円が大底だったのか?
米ドル/円は足元で106円程度の52週MAを3%程度、そして3週間続けて上回ってきた。経験的に、5%以上且つ1ヶ月以上といった具合に「大きく」、「長く」ブレークするかが、一時的な動きかトレンド転換を伴った継続的な動きかを見極める目安。
以上のように見ると、米ドル高・円安は一時的なら最終局面であり、そうではなくて新たな米ドル高・円安トレンドへ転換したか、重大岐路を迎えている可能性あり。
FOMC後に転換した米金利「行き過ぎ」
米10年債利回りは、90日MAからのかい離率などで見ると、記録的な「上がり過ぎ」の可能性あり。
経験的に、米金利の行き過ぎた動きは、FOMC後間もなく転換することが少なくなかっただけに、足元の「上がり過ぎ」が一巡、一旦低下に転じる可能性も注目。
金相場、1800ドルに反発後1500ドル割れへ!?
年明け以降、金相場と米金利、たとえば米10年債利回りは、「金相場下落=米金利上昇」といった具合に高い逆相関関係が続いてきた。この関係が続く中では、金相場の行方は米金利次第ということになる。
その米金利、短期的には「上がり過ぎ」修正リスクがあるものの、中長期的には一段の上昇見通し。そんな米金利との関係からすると、金相場は当面1800米ドル以上まで反発するものの、その後1500米ドル割れへ向かう見通しになる。
円安トレンドへの転換の見極め方
米ドル/円が110円に近づいてきた。90日MA(移動平均線)との関係で見ると、小動きが続いた2017年以降で、90日MAを2%以上上回るこの動きは、小動きの終わりや米ドル一段高への変化の兆しとしても注目。
トレンド判定で参考になる52週MAとの関係からすると、111円までは一時的な米ドル反発、111円を上回るなら米ドル高・円安へのトレンド転換の可能性が高まりそう。
「米金利本位制」の今後のシナリオ
米ドル/円など為替、そして金相場なども米金利との相関性が高くなっている。米金利のボラティリティーが高まり、注目が高くなっている影響が大きそうだ。
多くの相場が米金利次第といった「米金利本位制」がこの先も続くとして、その米金利は短期的に「上がり過ぎ」、ただ中長期的にはまだまだ「下がり過ぎ」修正の道半ばの可能性がありそうだ。
金相場急落の「理由」と今後の行方
2020年夏にかけて急騰、最高値更新となった金相場が、その後は急落となっている。この金相場急落は、じつは金の1つの側面である安全資産の代表格、債券価格と類似してきたもの。
この類似関係がこの先も続くなら、中期的な債券利回り上昇(債券価格下落)見通しの中で、金相場も一段安リスクが残っている可能性あり。
株より金利へ連動に変わった米ドル/円
「コロナ後」は米ドル安・円高と米国株高の高い相関関係が続いてきた。ところが、その関係は最近にかけて大きく崩れた。
株との関係が崩れて米ドル高・円安となった動きを説明できるのは米金利上昇だった。その米金利は、短期的に記録的な「上がり過ぎ」懸念が高くなっている。米ドル/円は「金利次第」が続くなら、「上がり過ぎ」修正の米金利低下に連れる可能性が高そうだ。
ユーロ反落が広がりやすくなった理由
ユーロ/米ドルの反落が広がっている。ユーロ/米ドルは2020年9月にも大きく反落したが、今回の反落はそれを上回る動きとなってきた。
2020年9月と今回の違いは金利差との関係。金利差との関係が正常化し、行き過ぎたユーロ買い・米ドル売りの修正(ユーロ売り・米ドル買い)が広がりやすくなっている可能性あり。
米ドル買いの通貨選択の考え方
先週(3月1日週)は米ドル全面高で、ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルなどは軒並みこの間の安値(米ドル高値)を更新してきた。これは米金利上昇などがきっかけになったものだが、根底にあるのは米ドル「売られ過ぎ」で、米ドル買いに反応しやすいということではないか。
米ドル買いに反応しやすい状況の中で、米ドル/円は少し特殊の可能性あり。米ドル買い材料とされる株安に対して円買い(米ドル売り)で反応することもこれまで少なくなかったため。米ドル買いに反応しやすい状況が続く中では、米ドル/円よりユーロ/米ドルなどの米ドル買い戦略が機能しやすいといった考え方もあるかもしれない。
米雇用統計発表と米金利上昇の転換
米ドル/円の年初来高値更新が続いている。これは、基本的に米金利上昇に伴う金利差米ドル優位拡大と連動。
ただ、その米金利は短期的な「上がり過ぎ」懸念がきわめて強くなっており、その中でこの数ヶ月は、雇用統計発表から間もなく米金利はピークアウトしてきた。その意味では、「米金利上昇=米ドル高」が目先的な転換点を迎えている可能性は注目。
高金利通貨・トルコリラの「押し目買い」
トルコリラ/円は、90日MAからのかい離率で見ると、一時的に「上がり過ぎ」懸念が強くなっていた。ただ一方で、5年MAなどで見ると、中長期的には「下がり過ぎ」圏。
以上を総合すると、最近の下落は短期的な「上がり過ぎ」修正に伴う限定的な動きであり、中長期的には「下がり過ぎ」の反動から上昇に向かう動きがまだ続いている可能性あり?!