120日MAという売買転換点

6月16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を受けて、為替相場では米ドル全面高となった。米金融緩和見直し観測を受けた「FOMC米ドル高」となったわけだ。ただ、たとえば米ドル/円とユーロ/米ドルを比べると、後者の方が米ドル高の反応が大きかったが、それはなぜか?

FOMC後の米ドル/円とユーロ/米ドルのわかりやすい違いの1つに、120日MA(移動平均線)との関係があった。足元の120日MAは、米ドル/円は107.5円程度、そしてユーロ/米ドルは1.206米ドル程度。このため、「FOMC米ドル高」となった中で、対円では米ドルが120日MAを上回った状況が続いたのに対し、対ユーロでは、120日MAを米ドル高方向にブレークする結果となった(図表1、2参照)。

【図表1】米ドル/円と120日MA (2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成728
【図表2】ユーロ/米ドルと120日MA (2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

この120日MAは、過去ヘッジファンドなどのような投機筋の売買転換点となってきた。その意味では、「FOMC米ドル高」を受けて、米ドルが120日MAを上回る状況が続いた米ドル/円に対して、ユーロ/米ドルでは120日MAより米ドル高に転じたことから、それまでのユーロ買い・米ドル売りからユーロ売り・米ドル買いに転換し、米ドル買いが加速したということではないか。

以上を参考にすると、それぞれ米ドル/円は足元で107.5円程度、ユーロ/米ドルは1.21米ドル程度の120日MAより米ドル高での推移が続く中では、投機筋は米ドル買い戦略で動く可能性が高いのではないか。