吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
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米ドル安・円高は終わったのか!?
米ドル/円は先週107円台半ばまで続落したが、今週は反発が目立っている。108円割れは、日米金利差から見たら「下がり過ぎ」の可能性があり、その修正が主因だろう。
来週にかけて、FOMC(米連邦公開市場委員会)、米GDP、米雇用統計など金利に影響しそうな重要イベントが相次ぐため、それらを受けた米金利の動きが、当面の米ドル/円の行方を考える上でも最大の焦点になりそうだ。
FOMCと米金利、米ドル/円の関係
米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)の後から、米国の金利はしばらく一方向に動く傾向がある。
米ドル/円は米金利と高い相関関係が続いているだけに、今週のFOMCの後からの米金利の動きが、米ドル/円の当面の方向性を決める可能性にも注目。
ユーロ/米ドル上昇の理由と今後の行方
ユーロ/米ドルは先週にかけて1.2米ドルを大きく上回ってきた。これをうまく説明できるのは米金利低下に伴う金利差でのユーロ不利縮小。この関係がこの先も続くなら、ユーロ/米ドルの行方は米金利次第。
ただユーロ/米ドルは、「コロナ後」米国株と連動する局面も少なくなかった。その意味では、ユーロ/米ドル下落へ転換のきっかけとして米国株の動向も注目。
米ドル買い戦略は106円まで変わらない!?
4月に入り米ドル反落となっているが、投機筋のポジションなどを見ても、米ドル買い・円売り戦略に著変はないようだ。
過去の実績を見ると、投機筋のポジションの変化は、米ドル/円の120日MA(移動平均線)が比較的うまく説明できそうだ。その意味では、足元で106円程度の120日MA以上では、米ドル買い戦略が基本的に続くのではないか。
米金利上昇「終了」の可能性を考える
4月にかけての米金利上昇は、90日MAとの関係などで見ると空前の「上がり過ぎ」であり、最近にかけての金利低下はその反動ということが基本だろう。
それにしても、行き過ぎた金利の反動が、トレンド自体の終了か、それとも一時的なトレンドに対する逆行に過ぎないかは、経験的には景況感が重要な意味を持ってきた。
その意味では、ISM指数などがすでに歴史的な景況感改善となっている中で、それを上回り、米金利のさらなる上昇をもたらすことは、予想以上に難しいかもしれない。
米金利で考える米ドル/円のシナリオ
3月末にかけて米10年債利回りが一気に1.7%を上回るまで急騰したのは、一般の予想をはるかに超えたものだっただろう。それは、90日MAからのかい離率の結果とも一致する。
このように予想を超えた動きが一段落した後、それが再開するまでは予想以上に長い時間がかかる可能性がある。米金利と米ドル/円の高値更新も、秋以降といった具合にかなり先になる可能性もあるのではないか。
米ドル/円下落の理由とその「目途」
米ドル/円は3月末にかけての急騰から、4月に入ってから反落が目立ってきた。これは、相関性の高い米金利が「上がり過ぎ」の反動で低下した影響が大きいだろう。
ただ52週MAとの関係などからすると、米ドル/円は上昇トレンドが展開しており、下落は一時的な可能性が高い。米ドル/円の下落が「一時的」なら、基本的には米金利低下次第で、106円前後までがせいぜいか。
米金利上昇再燃は秋以降になる!?
米金利の行き過ぎた動きの修正はどのようなシナリオになるか、過去のケースから考えてみた。まずは、「上がり過ぎ」反動で90日MAまで金利低下の可能性あり。
行き過ぎた動きの反動は、1)トレンド転換と2)あくまで一時的なトレンドへの逆行に大別されたが、後者の場合でも改めて高安値を更新したのは半年以上も先だった。
以上から、米10年債利回りが3月末高値を更新、上昇再燃となるのは秋以降の可能性も !?
続・米景気「絶好調」でも米ドル反落の理由
15日は、米3月小売売上高など大幅に改善する結果が相次いだが、米金利はむしろ比較的大きく低下し、それに連れる形で米ドル/円も続落した。
2021年に入り102円台から110円まで反発した動きは、連動の対象をそれまでの株から金利に変えたものでもあった。そしてその金利は、空前の「上がり過ぎ」の反動から低下しやすい状況が続いている。
続・米ドル/円「一時的下落」の考え方
今週に入り米ドル/円は一時109円割れとなるなど反落が目立っている。ただ先週にかけ、52週MAを7週連続で上回った。経験的に、この動きは米ドル/円が継続的な上昇、つまり上昇トレンドが展開している可能性を示すものだ。
トレンドと逆行する「一時的下落」は、経験的には足元106円の52週MA前後までがせいぜい。とは言っても、106円まで続落するか、その手前で止まるかは、最近相関性の高い米金利の動き次第か。
為替を決める米金利に「変化」の兆し
急ピッチの上昇から、短期的な「上がり過ぎ」が懸念される米金利だが、この数ヶ月は注目イベントである月初の米雇用統計発表前後にピークアウトするものの、物価統計発表が集中する中旬には早速高値を更新するパターンが続いた。
しかし、最近にかけてそのパターンに変化の兆しもある。米ドル/円など為替は米金利との連動性が高い状況が続いているだけに、米金利が一段と低下するかは注目。
ゴールド反発の理由とその「限界」
金相場、ゴールドは、2020年夏頃からこれまで以上に米金利との逆相関関係が強くなっていた。この関係を参考にすると、最近にかけての金相場反発は、米金利急騰一服の影響が大きいだろう。
金相場と米金利の逆相関関係がこの先も続くなら、金相場の反発は米金利低下終了で一巡する可能性あり。1800米ドル以上は金相場の目先的な反発の限度の可能性も。
新興国通貨高は重大岐路の可能性
メキシコペソや南アフリカランドが対円で5年MAに接近してきた。経験的に見ると、中長期的に「上がり過ぎ」の重大岐路を迎えてきた可能性がありそうだ。
対照的に安値圏での推移が続くトルコリラ。今週は中央銀行総裁交代後初の金融政策会合が予定されているが、このまま足元14円半ばの52週MAを月末にかけて回復できないようなら、下落トレンド継続で、先々最安値更新の可能性も出てくる。
米景気「絶好調」でも米ドル反落の理由
3月の米景気指標は、雇用統計やISM景況指数など軒並み予想を大きく上回る改善となっているが、米金利は低下し、それに連れる形で米ドルも反落となっている。
米景気が絶好調でも、米金利低下=米ドル反落となったことを説明できそうなのは、移動平均線からのかい離率などが示していた空前の米金利の「上がり過ぎ」ということではないか。
米ドル/円「一時的下落」の考え方
米ドル/円は先週まで6週連続で52週MAを上回った。このように「長く」52週MAを上回る動きは、経験的には継続的な上昇トレンドが展開している可能性が高い。
その意味では、今週に入ってからの米ドル/円反落は「一時的下落」の可能性。経験則からすると、「一時的下落」は足元では106円前後までがせいぜい。
米景気の急回復で、米金利は中期的に一段の上昇といった見通しに。そんな米金利上昇見通しの上方修正が、米ドル/円反落を限定的にするか!?
為替の行方で何に注目すべきなのか?
2020年3月の「コロナ・ショック」以降の為替は米ドル安・米国株高といった株との逆相関を基本として展開してきたが、最近にかけて米ドル高が広がる中では金利差との連動性が高くなっている。
その金利の主役、米金利は短期的に「上がり過ぎ」懸念が強くなっている。「為替は金利次第」なら、目先的には「米金利上昇=米ドル高」より、「上がり過ぎ」修正の「米金利低下=米ドル下落」余地が大きい可能性がありそうだ。
米金利が3%まで上昇する可能性
米実質金利と高い相関関係のあるISM製造業景況指数が先週の発表で大きく改善した。これまでの関係からすると、米実質金利は2%以上に上昇する可能性がある。
これを名目の米10年債利回りに換算すると、足元の1.7%までの上昇から、さらに中期的には3%以上へ上昇してもおかしくない見通しとなるだけに、為替や株への影響も注目される。
円安とユーロ安、豪ドル安との「差」
米金利上昇に伴う米ドル高相場が展開しているが、対円での米ドル最大上昇率が8%以上となっているのに対し、ユーロや豪ドルに対するそれは5~6%程度にとどまっている。
対円に比べて、ユーロ、豪ドルに対する米ドル高が出遅れた形ともいえるが、逆に今後も米ドル高が続くなら、ユーロや豪ドルに対する米ドル上昇余地は対円以上に大きくなるかもしれない。
米ドル高・円安加速「その後」を考える
米ドル/円が一段高となっているが、これはそれまで長く続いた小動きの反動の影響も大きいのではないか。
過去の似たケースを参考にすると、米ドル/円の上昇はそろそろ一服するものの、5~6月にかけては米ドル高・円安を試す動きが続く可能性がありそうだ。
続・なぜ米ドル高・円安へ大きく動き出したのか?
米ドル買いが、3月末に向けて急拡大したという点では、最近話題の米投資会社関連の巨額損失との関連も注目される。
「コロナ後」トレードでの成功例の1つに米ドル売り運用、「ドル・キャリー」もあっただろう。巨額損失穴埋めで、四半期末の3月末が近付く中、ドル・キャリーの利益確定といった米ドル買い戻しが急増した可能性はあったかもしれない。