約1年ぶりに円売り越しへ転換

ヘッジファンドなどの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションが、先週約1年ぶりに売り越し(米ドル買い越し)に転換した(図表1参照)。ヘッジファンドなどの投機筋が、それまでの米ドル買い戻しから、米ドル高・円安を見込んで米ドル買い・円売りリスクテークに投資戦略の急転換に動き出した可能性がある。

【図表1】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2015年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

同ポジションは、2020年3月の「コロナ・ショック」から、それまでの円売り越しから買い越しに転換し、2021年1月には円買い越しが5万枚まで拡大した。2021年1月は米ドル/円が102円台まで下落したが、その中で投機筋も米ドル売り・円買い戦略の拡大に動いていたといえるだろう。

ただ、その後為替相場が米ドル高・円安に向かう中で、米ドル売り・円買いに傾斜したポジションの調整が進むところとなった。要するに、米ドル高・円安が進む中で、投機筋は米ドル買い戻しに動いてきたと考えられる。

ところが、先週(3月15日週)はそれまでの円買い越しから、一転して円売り越しが3万枚程度まで急拡大となった。米金利急騰などを受けて、それまでの米ドル売り・円買い戦略の修正から、米ドル買い・円売り戦略に方針を抜本的に転換したように見えなくない。

これは、米ドル/円に限ったことではないだろう。米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドルのポジションから試算)も、2021年1月には売り越しが20万枚を大幅に上回っていたが、先週は10万枚以下に縮小した(図表2参照)。

【図表2】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2017年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

米金利急騰が続く中で、2021年初めの米ドル安を見込んだ投資戦略の転換が急ピッチで広がっている可能性がある。