短期「上がり過ぎ」、中長期「下がり過ぎ」
トルコリラ/円は、一時15円を大きく上回るまで上昇したが、最近にかけて14円台前半まで反落となった(図表1参照)。では、トルコリラ/円はもう上昇が終わり、改めて下落に向かう動きとなったのか?
基本的には、最近にかけてのトルコリラ/円の反落は、短期的な「上がり過ぎ」の反動だろう。トルコリラ/円の90日MA(移動平均線)からのかい離率は、一時プラス10%以上に拡大した(図表2参照)。経験からすると、これはまさに短期的な「上がり過ぎ」懸念が強いことを示すものだった。
その一方で、長期の移動平均線、たとえば5年MAからのかい離率は、足元でもなおマイナス40%前後となっている(図表3参照)。過去の実績を参考にすると、中長期的には依然として記録的な「下がり過ぎ」圏にあるようだ。
90日MAなどから見て短期的に「上がり過ぎ」、そして5年MAから見て中長期的にも「上がり過ぎ」が懸念される状況となったのは2014年末だった。結果的にこのタイミングは、今に至るトルコリラ安の始まり、裏返せば当時におけるトルコリラ高の終わりとなった。
以上のように見ると、「上がり過ぎ」が短期と中長期でほぼ重なる場合は、トルコリラ高の当面の終わり、下落へのトレンド転換を警戒する必要があるだろう。その意味では、今回はそれとは異なるケースだ。
トルコリラ/円は、2014年から下落トレンドがすでに約6年も続いてきたが、最近にかけての反発により、この「6年安」ではほとんど見られなかった52週MAを上回る動きとなった(図表4参照)。こういった「6年安」で見られなかった値動きの発生は、ついに長期下落トレンドが終わり、上昇へ転換した可能性を感じさせるものだろう。
以上をまとめると、トルコリラ/円はすでに2020年の12円台で底を打った可能性があるため、短期的な「上がり過ぎ」修正に伴う下落はあくまで一時的であり、高金利通貨・トルコリラにとっては押し目買いがワークする局面の可能性がある。