一時的か継続的かの見極め方

2021年に入り、それまで長く続いた小動きから、あれよあれよと米ドル高・円安が進む中で、今年1月に記録した102円は米ドルの当面の「底値」であり、新たな米ドル高・円安トレンドが始まっているのかを試す重大分岐点に差し掛かっている可能性がありそうだ。

トレンドの見極めで、これまでの経験から参考になるのは52週MA。1年は52週間だが、経験的には、トレンドと逆行する一時的な動きは、過去1年の平均値であるこの52週MAを「大きく」、「長く」はブレークしない動きにとどまる

この場合の「大きく」とは52週MAから逆方向に5%以上の動き、また「長く」とは52週MAを1ヶ月以上上回らないというのが、過去の実績からの目安だ。逆に言えば、52週MAを「大きく」、「長く」ブレークする動きは一時的ではなく、中期的なトレンド転換に伴う継続的な動きだった。

足元の米ドル/円の52週MAは106円程度(図表1参照)。米ドル/円は2月末から先週まで3週連続でこの52週MAを上回った。このまま、3月末にかけて52週MAを上回る、つまり106円を上回る状況が続くかが、この米ドル高・円安があくまで一時的な動きに過ぎないか、それとも継続的な米ドル高・円安、つまり米ドル高・円安が「トレンド」として展開しているかを判断する上での目安になりそうだ。

【図表1】米ドル/円と52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

または、106円を5%上回る水準は111円程度なので、その111円を大きく上回るようなら、やはり経験的には、この米ドル高・円安は一時的ではなく、継続的なトレンド転換を受けた動きの可能性が高まる(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円の52週MAからのかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

要するに、米ドル/円は1月の102円を「底値」として、新たな米ドル高・円安トレンドを展開しているのか、それともあくまで一時的な米ドル高・円安に過ぎず、それは最終局面を迎えているのか、そんな重大な分岐点に差し掛かっている可能性がありそうだ。