吉田恒の為替デイリーの記事一覧

チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
 

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吉田恒の為替デイリー
為替の「低ボラ化」を否定した2020年
昨年は、主要通貨の年間変動率が軒並み10%を大きく下回り、為替相場全体が構造変化により「低ボラ化」したとの見方すら浮上してきた。 ただ今年は豪ドル/米ドルを筆頭に年間変動率が軒並み10%を大きく上回り、「低ボラ化」は否定された。これが「コロナ・ショック」などの影響による一過性の結果に過ぎないかが、2021年に改めて問われることになる。
「リスクオンの米ドル売り」の変化
今年3月の「コロナ・ショック」後、伝統的な為替相場と金利差との関係は大きく崩れ、株高・米ドル安が基本として展開してきた。これは「リスクオン(株高)の米ドル売り」とされた。 この「リスクオンの米ドル売り」の本質は、異常事態「コロナ・ショック」で起こった金利差からかい離した「行き過ぎた米ドル高」の是正ではないか。対円以外では、金利差との関係がほぼ正常化してきたことから、今後の為替は株より金利との連動を回復しそう。
「合意なき離脱」回避の英ポンドを考える
英国のEUからの「合意なき離脱」は回避された。では英ポンド反発は続くだろうか。 近年、英ポンドの大幅な反発は、「売られ過ぎ」の反動によってもたらされることが基本だった。その観点でいえば、足元の英ポンドには「売られ過ぎ」懸念もないため、反発は限定的にとどまるのではないか。
米ドル/円が動き出す2つの鍵
「コロナ後」、株高が展開する中で、米ドル/円は約2円のレンジを上下動しながら緩やかな下落トレンドが続いてきた。 そんな米ドル/円の流れに変化が出る鍵は、株高に変化が出るか、そして足元で102.8~104.9円のレンジをブレークするかに注目。
2021年の新興国通貨を予想する~予想中心はメキシコペソ4.5~5.6円、ランド6.1~7.6円~
メキシコペソ/円の上下限は、これまでは購買力平価や5年MAが参考になってきた。それを前提にすると、来年にかけては4.5~5.6円中心の展開が予想される。 南アフリカランド/円は、5年MAを上限、それを2割下回った水準を下限としたレンジ中心での推移が続いてきた。それを参考にすると、来年にかけて6.1~7.6円が予想の中心。
2021年のユーロと豪ドルを予想する~ユーロ高、豪ドル高とも反転する可能性~
「コロナ後」ユーロ高・米ドル安となったのは、「コロナ・ショック」を受けた金利差からの米ドル割高是正が主因の可能性。 その米ドル割高はほぼ是正された可能性。そして52週MAとの関係からすると、「コロナ後」ユーロ高・米ドル安は終盤で、1.25米ドル前後がせいぜいか。 豪ドル/米ドルもユーロ/米ドルとほぼ同様の構図。2021年にかけて、豪ドル高・米ドル安は0.75~0.8米ドルで一巡する見通しか。
2021年の米ドル/円を予想する ~「超円高」という可能性 ~
「コロナ後」米ドル全面安となった。その一因は、金利差とかい離した米ドル高の是正。それは円以外の通貨に対してはほぼ終わりつつあるが、対円ではなお続く可能性あり。 金利差との関係からすると、2021年にかけて100円割れ、いわゆる「超円高」の可能性あり。52週MAとの関係参考にすると、米ドル/円「下がり過ぎ」の可能性出てくるのは90~95円からか。
米ドル/円が「今週大きく動く」理由
12月の米ドル/円は、経験的にはよく動き、とくに4年に一度の米大統領選挙年の12月は大幅なレンジとなってきた。 先週までの米ドル/円は小動きが続いているが、上述の経験を参考にすると、クリスマス前最後の大きなイベントになる今週のFOMC前後の動きには期待したい。
中豪関係悪化でも豪ドル高の理由
豪州の貿易で圧倒的に高い割合となっている中国との関係が急悪化しているが、それを尻目に対米ドルでは豪ドルが年初来高値更新となっている。 豪ドルは米大統領選挙前のレンジを、選挙後に上放れてきた。経験的に、選挙後には一方向への大相場になりやすい。そんな経験則からすると、悪材料尻目に豪ドルは0.76米ドルへ一段高に向かう可能性も!?
「上がり過ぎ」という新興国通貨のリスク
株高、リスクオンが続く中で、メキシコペソや南アフリカランドなどの新興国通貨の上昇が続き、90日MAとの関係で見ると「上がり過ぎ」懸念が強くなっている。 新興国通貨はボラティリティーが高いだけに、下落に転じると一転して「上がり過ぎ」の反動がより下落リスクを高めるリスクがある。
金利とかい離、株と連動した米ドル/円
米ドル/円は、8月頃から金利とかい離し、米国などの株価と逆相関関係、つまり「米国株高=米ドル安・円高」で展開してきた。 要するに、「コロナ後」の米ドル/円は、金利より株で決まってきたわけだが、それがこの先どう変化するかも注目。
米大統領選挙後大相場の「息継ぎ」パターン
ユーロ/米ドルなどは、先週から一段高となった。これは、米大統領選挙後に一方向への大相場が展開するプライス・パターンなのか。 米大統領選挙後大相場においても「息継ぎ」はあったが、それは逆方向の日足が小幅にとどまるものだった。選挙後ユーロ高大相場の今後の行方を考える上でも参考にしたい。
「アノマリー」で考える豪ドルのシナリオ
米大統領選挙後の為替相場には、90日MA±2%レンジをブレークすると、かい離率が±5%以上に急拡大する「アノマリー」がある。 これを豪ドルに当てはめると、先週にかけて90日MAプラス2%の水準を上回ってきた対米ドルは0.76米ドルを目指し、対円では77.4円をブレークすると、80円を目指すといった計算になる。
ユーロ/米ドル等が急に動き出した理由
米大統領選挙後には、一方向への大相場が展開する「アノマリー」が繰り返されてきた。米ドル/円はともかく、今週にかけてのユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルは、そんな「アノマリー」通りの動きのようにも見えなくない。 「アノマリー」が今後も展開するなら、ユーロ/米ドルは1.25米ドル、豪ドル/米ドルは0.76米ドルへの一段高が始まっている可能性がある。
ユーロ高・米ドル安と「米大統領選挙アノマリー」
ユーロ/米ドルが90日MAを2%以上上回ってきた。米大統領選挙年の為替相場には、選挙後に90日MA±2%レンジをブレークすると、かい離率が±5%以上へ急拡大に向かうプライスパターンがあった。 これを参考にすると、1.25米ドルを目指す一段のユーロ高・米ドル安が始まっている可能性も注目される。
中国・豪州の関係悪化と豪ドルの関係
中国が豪州の一部輸入制限に動くなど、中国と豪州の関係が悪化している。豪州の貿易のうち中国の割合は約3割も占めているだけに、今後の影響は注目される。 ただ今のところ、豪ドルは中国株や米国株の上昇に連動、上昇基調が続いている。豪ドルの下落リスクは、中国含む世界的な株高傾向が株安に転換した場合の影響が大きそう。
豪ドルは株より金利との連動に戻る
豪ドル/米ドルは、3月の「コロナ・ショック」で金利差から大きくかい離する急落となった。「コロナ・ショック」一段落後の豪ドル/米ドルの反発は、そんな金利差からのかい離の修正が大きかったのではないか。 最近にかけて、豪ドル/米ドルと金利差とのかい離はほぼ是正された。徐々に豪ドル/米ドルは、普通に金利差と連動する状況に戻っていくのではないか。
金利差と無関係のユーロ高・米ドル安の理由
4月以降、ユーロ高・米ドル安基調が続いてきたが、金利差ではほとんど説明できないこの動きは株価と相関してきた。背景にあったのは、米ドル・キャリー取引の影響か。 10月以降、米ドル・キャリー取引が縮小すると、ユーロ/米ドルと株価の相関関係も薄れた。金利差とほぼ無関係なユーロ高・米ドル安が続くかは、米ドル・キャリー取引の再燃が鍵になるだろう。
続・新興国通貨の「上がり過ぎ」リスク
株高、リスクオンで新興国通貨の上昇傾向が続いているが、90日MAとの関係で見ると短期的な「上がり過ぎ」懸念も強くなっている。 3月「コロナ・ショック」のメキシコペソ暴落のように、下落局面に転換した場合、「上がり過ぎ」の反動が、下落を加速させるリスクも要注意だろう。
続・米政権交代パターンの示唆は円高
米国では、共和党から民主党への政権交代後は円高に変わることが多かった。また政権交代に限らず、政権2期目への移行でも為替政策姿勢の転換が明確にみられることがあった。 トランプ政権の「米国第一主義」の中で広がった米国株の割高、日本株の割安拡大の修正などの影響は、基本的には為替で円高の示唆ではないか。