米ドル/円と株、金利との関係
9日の米国市場では、このところ上昇への警戒感が高まっていた米10年債利回りが0.06%といった具合に比較的大きく低下すると、主要な株価指数は総じて上昇となった。そしてこのような米金利低下、米国株高の中で米ドル/円は109円台から108円半ばへ反落となった。要するに、米ドルは金利に連動する形となったわけだ。
2020年3月の「コロナ・ショック」と呼ばれた世界的な株大暴落が一段落した後から、米ドル安・円高が米国株高とおおむね連動する関係が続いてきた(図表1参照)。ところがそれは、最近にかけて大きく変わった。米国株がなお最高値圏で推移する中で、米ドル/円は大きく米ドル高・円安となってきた。
【図表1】米ドル/円とNYダウ (2020年4月~)
このように「米国株離れ」で進んだ最近にかけての米ドル高・円安をうまく説明できるのは日米金利差だ(図表2参照)。「コロナ後」続いた株高・米ドル安から、株高でも米ドル高が大きく進むところとなったのは、米金利上昇に伴う金利差米ドル優位拡大の影響を受けた結果といえるだろう。
【図表2】米ドル/円と日米金利差 (2020年12月~)
米ドル/円は株次第から米金利次第に変わり、それがこの先も続くなら、米ドル/円の行方は米金利が決めることになる。その米金利、たとえば米10年債利回りについて90日MA(移動平均線)からのかい離率で見ると、記録的な「上がり過ぎ」の可能性がある(図表3参照)。
【図表3】米10年債利回りの90日MAからのかい離率 (2000年~)
これを見ると、米金利は短期的には上昇は限られ、「上がり過ぎ」の修正から低下する余地が大きそうだ。米ドル/円が、米金利次第の状況が続くなら、そのような米金利の見通しからすると、米ドル/円も短期的には上昇は限られ、下落する余地が大きいといった見通しが基本ではないか。