112円、それとも108円?

米ドル/円は、9月の第一月曜日の米国レーバーデイ明けから、一方向へ大きく動く傾向があるということをこれまで紹介してきた(9/9付け「レーバーデイ『アノマリー』と米ドル/円」等ご参照)。ところでそれは、米ドル/円の月足チャートからも裏付けられそうだ。

月足実態幅は、月初の寄り付きと月末の引け値の差。米ドル/円の9月のそれは、2016年からの5年間、-2.031円、2.489円、2.59円、2.141円、-0.454円だった。この中で、2017~2019年は、月足の実態幅では年間で2~4位の大幅だった。このように見ても、9月は、一方向に大きく動き、トレンドが出やすかったことがわかるだろう。

これは、すでに何度か述べてきたように、9月の第一月曜日といった米国のレーバーデイ明けは、欧米のトレーダーにとって実質的な夏休み明けとなるということがありそうだが、それとともに、9月はG7(7か国財務大臣・中央銀行総裁会議)、国連総会などの注目度の高い国際会議、またFOMC(米連邦準備制度理事会)など重要イベントが相次ぎ、相場変動の手掛かりが多いといった影響もあったのではないか。

さて、上述のように、過去5年間の米ドル/円の月足実態幅について、絶対値の平均は1.941円、つまり2円弱だ。要するに、9月末の米ドル/円の終値は、月初より2円程度米ドル高ないし、米ドル安になっている可能性があるというのが、過去5年の動向からの示唆と言えるだろう。

ちなみに、2021年の9月の米ドル/円は110円程度での取引スタートとなっていたので、上述のように9月は経験的に方向感が出やすいとして、それが米ドル高方向なら、9月末は112円、逆に米ドル安方向なら108円といった目安になりそうだ。

【図表】米ドル/円の推移 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成