実質的な夏休み明け
米ドル/円は、ほぼ2ヶ月も109~110.5円中心に方向感の乏しい小動きが続いてきた。ただそろそろ一方向に動き出す可能性がある。例年、米国のレーバーデイ明けは、一方向へ動き出すことが多かったためだ。
これは、レーバーデイ明けが、欧米のトレーダーにとっては実質的な夏休み明けに位置付けられる影響が大きいだろう。夏休み明けで、トレードを本格再開したトレーダーは、まだまだリスク許容度に余裕があることから、ポジションを長く維持する可能性がありそうだ。
とは言っても、論理的にしっかり説明できるといった類ではない、あくまで繰り返されてきたパターンといって意味では、これは「レーバーデイ・アノマリー」と呼んだ方がよいのかもしれない。
ただ、そのような中で、たとえば、2020年の場合、106円台で推移していた米ドル/円は、レーバーデイ明けから104円割れ近くまで一段安に向かった(図表1参照)。また、2019年、2018年は、米ドル/円はレーバーデイ明けから一段高へ向かった(図表2参照)。
こんなふうに方向は米ドル高、米ドル安と様々だったが、少なくとも過去3年間については、レーバーデイ明けから米ドル/円が一方向へ2円以上動くところとなっていた。今回も同じように、一方向へ2円以上の動きになるなら、米ドル/円は米ドル高方向なら年初来の米ドル高値を更新、112円を目指す可能性があり、逆に米ドル安方向なら108円割れを目指すといった計算になる。では、一方向へ動き出すとして、それは米ドル高か、それとも米ドル安か。
これまで約2ヶ月小動きが続いた米ドル/円は、日米金利差とほぼ重なっての推移だった(図表3参照)。その意味では、米ドル/円が方向感のない小動きが続いたのは、米金利が方向感のない小動きが続いた影響が大きかったと見ることもできるだろう。
では、米ドル/円の新たなトレンドの鍵を握る米金利は、上がるか、それとも下がるか。9月下旬に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)で、金融緩和の縮小、いわゆる「テーパリング」開始を巡る思惑などが影響しそうだ。