吉田恒の為替ウイークリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒による週間為替展望です。注目通貨ペアの相場動向を解説します。
週の第1営業日に更新
米インフレ懸念拡大の中、米ドル上げ渋りの理由
先週、米金利が急騰すると、それに連れて米ドル/円も一時109円台後半へ上昇、これは、米インフレ懸念の影響とされた。ただ米インフレ統計の予想以上の結果が続く中でも、週後半は米金利、米ドルとも頭打ちに。
米金利は依然「上がり過ぎ」で、さらなる上昇余力が限られた可能性がある。そもそも、インフレ率上昇自体は、実質金利低下を通じ通貨安要因。
米ドル高再開「遅延」とNFPショックの影響
2021年に入ってから、為替相場は総じて金利差、とくに「米金利次第」の構図が続いている。その米金利は4月にかけて空前の「上がり過ぎ」となった可能性があった。
その反動に加え、先週発表された米雇用統計の「ネガティブ・サプライズ」の影響などもあり、米金利急騰再燃は意外に手こずりそう。そうであれば、米ドル高の本格再燃もまだ先か。
相場観が分かれてきた米ドル/円、では正しいのは?
米ドル/円は先週も続落したが下落ペースは鈍かった。これは米金利が下げ渋ったことに加え、マーケットでは下落はあくまで一時的として、米ドル買い戦略に著変ないためではないか。
ただ経験的には、米金利はまだ低下が続く可能性あり。米金利との関係からすると米ドル/円の下落リスクはなお続く可能性があるものの、足元で106円台の120日MA以上で推移している中では、米ドル買い戦略に著変なく、米ドル/円の下落も限定的にとどまりそう。
「米金利低下=米ドル安」継続で108円割れも!?
先週の米ドル/円は米金利低下に連れて続落した。注目されるのは、米景気「絶好調」でも米金利低下が広がったことだが、「上がり過ぎ」の反動の影響が大きいだろう。
「上がり過ぎ」反動の米金利低下はまだ続く可能性あり。その影響で米ドル/円も続落リスクあり。米国株も徐々に「上がり過ぎ」の兆しが出てきた点は注目か。
米ドル109円割れの可能性はあるのか?
米金利低下に連れる形で米ドル/円は先週109円割れ近くまで反落したが、米金利が下げ渋る中で、米ドル/円も週末にかけて小反発。
米金利の下げ渋りは、株高が続く中では金利の「上がり過ぎ」修正も進みにくいことが一因か。その株高、NYダウの52週MAからのかい離率などに、株安に転換する兆しあり!?
4月の米ドル/円を予想する
米ドル/円は111~112円という重要水準に迫ってきた。米ドル/円自体にとくに「上がり過ぎ」、「買われ過ぎ」懸念は強くないが、連動している米金利は空前の「上がり過ぎ」が続いているだけに、重要水準前に上昇一服となるか否かは、米金利の動向が鍵か。
一方、52週MAを長く、大きく上回る今回の値動きは、米ドル/円の上昇がトレンドとして展開している可能性を示している。反落の動きとなっても、あくまで一時的の可能性。
下がっても106円前後、2023年120円超へ!?
米ドル/円は先週まで5週連続で52週MAを上回った。経験的には、これは一時的ではなく、継続的な米ドル高・円安トレンドが展開している可能性が高いことを示している。
そうであるなら、一時的な下落も当面106円を「大きく」「長く」は割れない程度にとどまり、2023年にかけて120円を超える米ドル高・円安が始まっている可能性に注目。
FOMC後の米金利急騰の「理由」と今後の行方
先週の米ドル/円は、FOMC(米連邦公開市場委員会)後の米金利上昇の加速などの影響で、109円近辺での高止まりが続いた。最近の米ドル/円は滅多にないほど「米金利次第」となっている。
FOMC後の米金利上昇の加速は、コロナ後のある規制緩和措置終了を受けた米国債売り急拡大といった需給悪化への警戒が主因か。
ただ米金利は、短期的には空前の「上がり過ぎ」が続く。経験的には、「上がり過ぎ」の修正はFOMC後に本格化することがあるため、今週の動きに注目。
FOMCと「米金利上昇=米ドル高」の転換
米金利はさすがに短期的には「上がり過ぎ」懸念がきわめて強くなっている。ただそれが修正に向かう手掛かりがなかなかつかめない。
FOMCの意識とは別に、相場が今週の注目イベントのFOMCを口実に、米金利「上がり過ぎ」の修正に向かう可能性はある。
最近の米ドル/円は米金利が主役の日米金利差と連動。このため、米ドル/円の行方も注目イベントのFOMCを前後した米金利の動向次第か。
米金利上昇クライマックスで米ドル高も一服!?
米金利上昇に連れるかたちで米ドルは先週、一時108円半ばまで一段高となった。ただ、米金利は「上がり過ぎ」懸念が強く、一旦低下に向かう可能性あり。
米ドル高・円安はテクニカルにおける重大分岐点を迎えている可能性あり。金利低下に向かったとして米ドル安となるのか?株価の動向も鍵になる可能性。
3月の為替を予想する
米ドル/円は先週一段高。米ドル金利急騰に連れた面が大きかっただろう。ただ、米金利は短期的に「上がり過ぎ」懸念が強くなっているため、目先的には米金利上昇=米ドル高にも限界の可能性。
米金利急騰は、先週は株急落要因ともなった。米金利上昇一服で株安も一段落となるか。それとも株安が続くようなら、株安=米ドル安・円高の可能性にも注目か。
「米ドル高」一服の背景と今後のシナリオ
先週の米ドル/円は一時106円を上回ったものの、その後は米金利上昇が続く中、上値重い展開となった。これは、金利上昇が悪材料となり、米国株の上値も重くなったことが一因か。
対豪ドルなどでは米ドル安値更新となり、これも対円での米ドル高にとって足かせとなった可能性。豪ドル高・米ドル安の背景には、コモディティー相場上昇の影響がありそうだが、コモディティー相場も短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっている。
米ドル高一服を演出した米金利の「謎」をとく
先週、米ドル/円は一時104円半ばまで反落。これは米雇用統計発表後、米金利低下となったことが主因か。米金利は短期的な「上がり過ぎ」懸念が強く、最近の傾向として注目イベントの雇用統計発表後にその修正が入りやすかった。
ただ米景気との関係からすると、金利低下は一時的でトレンドは上昇の可能性。最近のパターンを参考にすると、今週中にも米金利上昇再開に向かう可能性あり。
米ドル高の理由と今後の行方
米ドル/円は先週にかけて一段高となった。半年以上超えられなかった90日MAを上回ったといったテクニカルな事情が大きかったのではないか。
長く続いた小動きを上放れしたことで、目先的に米ドル高の余地を探る動きが続く可能性が高そう。株高から株安へ転換、それが本格化するまでは、米ドル高が続きそうだ。
2月の為替を予想する
米ドル/円は先週、過去半年以上も続いた90日MAを上放れ。テクニカルには、米ドル高・円安トライが続く可能性が高まった。
ただ気になるのは株価の動向。経験的に株安が本格化すると米ドル/円は下落する可能性が高い。3年前の「暗号資産暴落→株安本格化」ケースとの類似も注目。
円、ユーロ、豪ドル「脱・小動き」の鍵は?
先週は、米ドル/円に加え、ユーロ、豪ドルも方向感を欠いた小動き。為替相場が全体的に小動きとなったが、「小動きの理由」はそれぞれ、三者三様か。
脱小動きの手掛かり、米ドル/円は、昨年6月以降続くレンジ相場、足元なら102.3~104.4円のレンジ・ブレーク、ユーロは米金利上昇再燃、豪ドルはコモディティー相場上昇終了が鍵か。
ユーロ/米ドル下落が示す「コロナ後」相場の変化
先週米ドル/円は方向感乏しい展開だったが、ユーロ/米ドルはほぼ一本調子で下落。昨年3月「コロナ・ショック」で発生した金利差とのかい離が是正され、米金利上昇へ素直に米ドル買いで反応しやすくなった可能性。
「コロナ・ショック」で発生した金利差からかい離した高過ぎる米ドルの是正が、「リスクオンの米ドル売り」の本質で、それは終了した可能性。米ドルは「売られ過ぎ」懸念が強くなっているため、買い戻し材料に反応しやすくなる可能性も注目。
「コロナ後」米ドル安に変化の可能性
先週後半、米ドルは注目のNFPが予想より悪かったことなどにもかかわらず反発。これは米金利の大幅上昇に連れた結果とみられる。「コロナ後」の株高・米ドル安に変化の可能性がある。
「コロナ後」株高・米ドル安が続いてきたことを考えると、米ドル高に転換した場合、株高にも株安へ転換の可能性が出てくるか注目。
1月の為替を予想する
1月の米ドル/円は大きく動く傾向があるため、過去半年以上も続いてきた2円レンジ(足元では102.6~104.7円)での緩やかな下落トレンドが変わる可能性も注目される。
米ドル/円が大きく動き出すなら、「コロナ」後の米ドル売り「成功体験」からも、まずは米ドル売りトライの機運が強そう。ただ米ドル「売られ過ぎ」懸念も強まっている点は要注意。
年末年始で米ドル/円の方向が決まる可能性
米ドル/円は年末年始に大きく動く傾向がある。米ドル/円は過去半年以上も2円レンジの上下動が続いてきたが、そのレンジをブレークし、当面の方向が決まる可能性も注目。
「コロナ・ショック」後の米国株高・米ドル安の相関関係がこの先も続くなら、レンジ・ブレークの方向は、株高なら米ドル安・円高、株安なら米ドル高・円安が基本か。