新年のスタートで為替も大きく動く傾向

いよいよ2020年も残すところ僅かとなりました。来週からは、2021年の相場が始まることになります。ところで、米ドル/円について調べてみると、年末年始は値幅が拡大する可能性が高かったようです。

過去5年間の米ドル/円の週足値幅を調べたところ、1月は第2週までにすべて値幅が2円以上に急拡大していました(図表1参照)。新年のスタートとともに、為替相場も大きく動く傾向があるようです。

【図表1】過去5年の米ドル/円の1月週足値幅
(単位:年、円)出所:マネックストレーダーFXをもとに作成

それにしても、週間値幅が2円以上に拡大するなら、米ドル/円は当面の方向が決まる可能性があります。米ドル/円は、もう半年以上も、90日MA(移動平均線)を上限、それを2%下回った水準を下限とした約2円のレンジ内での上下動が続いてきました(図表2参照)。週間値幅が2円以上に拡大するということは、そのレンジをブレークする可能性があるわけです。

【図表2】米ドル/円の90日MAからのかい離率 (2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ちなみに、足元でこのレンジは102.8~105円程度。これまで見てきたことからすると、1月第2週までに週間値幅が2円以上に拡大し、このレンジをブレークする可能性があり、それは米ドル/円の当面の方向を決める可能性があるでしょう。ではそれは、円高になるか、それとも円安になるのか。

これまで述べてきたように、米ドル/円は半年以上も2円レンジを上下動する展開が続いてきましたが、ただそのレンジは緩やかに下方シフトしてきました。つまり、2円のレンジを上下動しながら、緩やかな米ドル安・円高トレンドが展開してきたわけです。

ところでそんな米ドル安・円高トレンドは、NYダウなど米国株の上昇トレンドと一定の逆相関関係が続いてきました(図表3参照)。これは米ドル/円に限ったことでなく、ユーロ/米ドルとNYダウのグラフを重ねても、やはり高い相関関係が続いてきたことがわかります(図表4参照)。要するに、3月の「コロナ・ショック」が一段落した後は、米国株高と米ドル安が高い相関関係で展開してきたわけです。

【図表3】米ドル/円とNYダウ (2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表4】ユーロ/米ドルとNYダウ (2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

この関係がこの先も続くなら、年末年始の米ドル/円のレンジ・ブレークの方向は、株高なら米ドル安・円高方向、そして株安なら米ドル高・円安方向と考えるのが基本になるのではないでしょうか。