米ドル一段安の始まりなのか
ユーロ/米ドルが1.2米ドルの大台を上回り、この間の高値を更新、約2年7ヶ月ぶりの水準まで上昇してきた。ところで、これにより90日MA(移動平均線)も2%以上上回り始めた(図表1参照)。
ちなみに前回の米大統領選挙でも、選挙前までは90日MA±2%の範囲内での展開が続いたものの、選挙後に今回と方向は逆でユーロ安(米ドル高)ではあったが、90日MA±2%のレンジを下抜けると、ユーロ/米ドルは90日MAからのかい離率がマイナス5%以上へ急拡大に向かった(図表2参照)。
米大統領選挙年の為替相場は、米ドル/円の場合が顕著だったが、選挙前は小動きながら、選挙前後から一方向へ大きく動くことを繰り返してきた。その目安は、90日MA±2%のレンジをブレークすることだった。論理的な説明は困難ながら、繰り返されてきたプライスパターン、「アノマリー」の一つとして知られてきた。その意味では、ユーロ/米ドルなどが、選挙後に90日MA±2%のレンジをブレークしてきた動きは注目されるところだ。
かりに、ユーロ/米ドルが、方向は前回と逆ながら、90日MA±2%レンジ上放れで、前回と同様にかい離率がプラス5%以上への拡大が始まったなら、計算上は1.25米ドルを目指す一段高が始まっている可能性がある。
また、このような90日MA±2%レンジの上放れは、豪ドル/米ドルなどでも最近にかけて起こっている。豪ドル高・米ドル安に動き出しているわけだ。その意味では、上述のユーロ高・米ドル安と合わせて考えると、選挙後の為替相場が新たに米ドル安方向に動き出している可能性がある。
この米ドル安について、今のところは株高、「リスクオンの米ドル売り」の結果と基本的には理解されているだろう。それがさらに続くのか、その上で今後米ドル/円にも波及、一段の米ドル安・円高をもたらすことになるかなどが注目される。