吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
毎営業日更新
高値警戒域に接近してきた新興国通貨
メキシコペソ、南アフリカランドといった新興国通貨の対円相場がじりじりと上昇、90日MAからのかい離率は3%前後に拡大してきた。
経験的に同かい離率が5%以上に拡大すると短期的な「上がり過ぎ」懸念が高まってくる。足元で計算すると、メキシコペソ/円は5円前後、南アフリカランド/円は6.5円前後から高値警戒が高まる見通し。
正念場が続くトルコリラ/円
トルコリラ/円は3年連続で「8月暴落」となった。ただ過去2年は、月末にかけて大きく反発、長い「下ヒゲ」を残し、8月は年内最後のトルコリラ安となった。
足元のトルコリラも15円程度まで大きく反発し、長い「下ヒゲ」を残せるかがリラ安一巡の鍵。それまでは下落リスク残りそう。
ユーロは「買われ過ぎ」だが、英ポンド、豪ドルは違う
「コロナ後」、3月末以降米ドルはほぼ全面安となったが、米ドル売りの対価として買われる外貨にはかなり差があった可能性。
ユーロは過去最大の買い越し。ただ英ポンドは小幅の買い越し、豪ドルはまだ小幅売り越し。ユーロ買いから英ポンド、豪ドル買いへシフトする可能性も注目。
豪ドル「大幅高」の意味を考える
豪ドルは3月以降、対円で26%程度、対米ドルでは30%程度と大幅に上昇した。ただこれは5年MAとの関係から見ると、中長期的な「下がり過ぎ」修正の動きといえそう。
5年MAとの関係から、中長期的な「上がり過ぎ」を警戒する必要が出てくるのは、90円に接近する、0.8ドルを上回るといった段階ではないか。
米ドル「売られ過ぎ」の反動リスク
8月19日に米ドルは比較的大きく反発した。基本的には「売られ過ぎ」の反動だろう。
CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のポジションを参考にすると、米ドルは約8年ぶりの大幅な売り越し。売り越しが目立つのは対ユーロであり、対円はそれほどでもない。
金利差とのかい離を是正する米ドル安
米ドルは、これまで主要通貨に対して金利差から大きく米ドル高方向にかい離した状況が続いていた。その意味では最近にかけての米ドル安は、金利差とのかい離是正の動きともいえる。
金利差とのかい離を是正するなら、対円中心にさらに米ドル安となる可能性がある。
株と為替は6月との類似なのか?
6月にNYダウが約1割下落した場面があった。この株安が始まる前の90日MAからのかい離率が示した短期的な「上がり過ぎ」、債券利回りに対する株式益回りの優位性の後退といった構図に最近も似てきた。
6月のNYダウ1割下落局面では米ドル/円は下落、ドルストレートは下落、つまり米ドルの方向性は円とそれ以外の通貨に対して反対となった。
歴史的金上昇相場の「変化」の兆し!?
金相場は先週にかけこの間の高値から最大5%以上の反落となった。
90日MAからのかい離率で見ると、国際商品の総合指数であるCRB指数は短期的に「上がり過ぎ」の限界に達した可能性がある。
原油相場上昇に主導された国際商品全般が短期的な「上がり過ぎ」修正に向かうなら、その面では金相場にとっても下落要因になる可能性がある。
利下げでも続伸したメキシコペソ
メキシコは13日0.5%利下げを決定。これで10回連続の利下げ、政策金利も2016年以来の水準まで低下してきた。
それでもメキシコペソが買われたのは、中長期的な割安感の影響が大きいのではないか。短期的にも、5円を上回るまでは割高警戒度はとくに高くはなさそうだ。
米ドル「売られ過ぎ」の修正シナリオ
CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジションは、売り越しが先週にかけて17万枚以上に拡大した。これは2017年以降では最高の売り越しにほぼ肩を並べた意味になる。
2017年以降は同売り越しが17万枚以上に拡大すると、拡大が一巡、縮小に向かった。その中で米ドル安も一巡、米ドル高に向かった。
南アフリカランド/円投資を考える
相対的な高金利通貨投資では、割高、割安の見極めがきわめて重要。
南アフリカランド/円は、移動平均線との関係を参考にすると、短期的にはニュートラル、中長期的には割安気味との評価が基本か。
「よく動く」豪ドルの今月のシナリオ
今年の豪ドル/円は月間変動率で見ても、一般的に「よく動く」印象のありそうな英ポンド/円を上回る状況が続いている。
かりに今月の変動率も5%以上に拡大するなら、下落方向は73円前後までのリスクがあり、上昇方向は79円を目指すといった計算になる。
「コロナ後」に急拡大する米ドル安
「コロナ・ショック」が一段落した3月下旬から、米ドルはほぼ全面安になっている。対豪ドルでは2割以上、英ポンドやユーロに対しても1割以上。
米ドル全面安の背景には、米ゼロ金利、需給的な米ドル余剰の影響などがあるか。対円でも、1割以上に米ドル下落が拡大するなら100円割れに向かう計算になる。
英ポンド/円の投資戦略を考える
英ポンド/円のこの間の反発は金利差で正当化されない。加えて、ユーロ/円などと異なり、英ポンド/円は52週MAを、これまでのところ大きく上回れない状況が続いている。
ユーロ/円などと異なり、英ポンド/円の反発は一時的に過ぎないなら、52週MAの位置する136円以上は「上がり過ぎ」の懸念がある。
メキシコペソ/円の当面のシナリオ
メキシコペソ/円は、購買力平価を2割以上下回ると経験的には「下がり過ぎ」圏、足元で計算すると4.5円以下は「下がり過ぎ」の可能性。
一方、短期的には90日MAからのかい離率がプラス10%前後に拡大すると「上がり過ぎ」警戒域。それを参考にすると足元では5円以上は「上がり過ぎ」警戒域。
豪ドル安リスク、対円と対米ドルの違い
豪ドルは対米ドルで先週にかけ7週連続陽線。経験的には、一本調子の豪ドル高の調整局面入りの可能性がありそう。では、豪ドル安リスクは、対米ドル、対円で同じか?
豪ドルの対米ドルと対円では、金利差との関係に大きな違いがある。前者は豪ドル高に違和感ないが、後者は70円程度まで下落してもおかしくない。
2つの円買い統計が示す「異なる印象」
CFTC(米商品先物取引委員会)統計の円ポジションは、投機筋を見るとさらに買い越しを拡大する余地がありそうだが、非報告部門ではすでに過去最高の買い越し、「買われ過ぎ」の懸念がありそう。
世界的な金利低下で、円の相対的な金利差劣位が薄れる中、これまでより円買いを拡大する可能性も注目。
急騰する豪ドル/米ドルのボラティリティー
今年は為替相場のボラティリティーが軒並み急上昇となっている。とくに豪ドル/米ドルは、足元までの段階でもすでに2010年以降の最高となっている。
近年、「動かない為替相場」が続いてきたが、今年は「よく動く為替相場」に変わっていることへ、頭の切り替えが必要だろう。
米ドル/円 下落が広がってきた理由
「コロナ・ショック」の世界的株暴落一段落後、米ドルは対ユーロでは10%、対豪ドルでは20%以上といった具合に全般的に下落してきた。横ばいが続いた米ドル/円は例外的だった。
最近の米ドル/円下落拡大は、そのような米ドル下落の流れがいよいよ対円にも波及してきたことが基本ではないか。
豪ドル/円はどこまで下がるのか?
米ドル/円が下落する中で、米ドル安傾向が続く中でもクロス円の下落が目立ってきた。では、米ドル/円の下落がこの先も続いた場合、代表的なクロス円、豪ドル/円はどこまで下がるのか?
金利差との関係からすると、豪ドル/円は70円を割れる可能性もある。ただ52週MAとの関係から考えると、下がっても72円半ば前後がせいぜいの可能性がある。