吉田恒の為替デイリーの記事一覧

チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
 

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吉田恒の為替デイリー
「一休み」の可能性がある怒涛の円安
3月の米ドル/円は一気に約10円もの急騰となった。これにより、かなり米ドル買い・円売りのエネルギーを消費したと考えられる。 その上でも、4月さらに米ドル高・円安が一段と進むだけのエネルギーが残っているかについて、月足チャートの「ヒゲ」を参考に考えてみる。
125円「黒田シーリング」を巡る変化
2015年にかけて展開した米ドル高・円安は、黒田日銀総裁の発言をきっかけに125円で終了した。このため、125円に再接近してきた中で、黒田総裁の動向が注目されている。 ただ2015年と最近では、円相場や黒田総裁を巡る環境で「違い」も多い。
円安の短期的「行き過ぎ」の目安とは?
円安が記録的なピッチで展開してきた。そこで、短期的な「行き過ぎ」により、円安が一段落する目安について、90日MAかい離率、金利差との関係、ポジションなどについて再確認してみた。
日銀が円安より金利上昇を警戒する理由
世界的な金利上昇の中で、日銀は28日、金利上昇を容認しない「指し値オペ」に出動、これが円一段安のきっかけとなった。日銀が円安より、金利上昇にこだわる理由とは? 1998年冬に、日本の長期金利暴騰が大問題になった。巨額の財政赤字などから、日本では国債暴落、利回り暴騰への懸念がかねてからあった。 賛否両論の中でリフレ政策を主導した黒田総裁には、そういった国債暴落、利回り暴騰への懸念がより強い可能性あり。
黒田総裁、125円通過を黙認の可能性
円の総合力を示す実質実効レートは、2015年の安値を更新してきた。2015年には、黒田総裁の円安けん制とされた発言で円安は1米ドル=125円で終了したが、足元の状況はそれとは違うのではないか。 日本では、巨額の財政赤字などから「債券価格暴落=債券利回り暴騰」リスクが続いている中で、日銀は円安以上に円金利上昇の「ノー・コントロール」化への警戒が強いのではないか。
円安130円、20年ぶりの現実度は?
米ドル/円は、2000年以降では20年前の2002年に数ヶ月130円を上回った以外は、上がっても130円を超えられない状況が続いてきた。 ただ、長期移動平均線との関係で見ると、2002年の130円超より、2015年の125円の方が米ドル「上がり過ぎ」懸念が強かった。足元では、そんな2015年の米ドル「上がり過ぎ」懸念には程遠い。さらに130円を超える米ドル高の可能性もありそう!?
円高へ戻るリスクが限られる可能性
急ピッチの円安には、いずれ反動の円高リスクもあるだろう。ただ、かつての「株安で円高」といった反応が目に見えて変わった中では、円高リスクも米金利「上がり過ぎ」修正などに限られそう。 年明け後の米ドル/円小動きのブレーク、その後の「トランプ・ラリー」超えなどで弾みがついたこの米ドル高・円安の反動は、テクニカルには116~118円までがせいぜいか!?
円安が止まらなくなった理由
最近にかけて円の一段安が広がった。これは、新たな「止まらない円安」なのか。 2021年1月に102円から展開してきた米ドル高・円安トレンドでも、米ドル高・円安の加速は何度かあったが、米金利上昇の一巡で一服した。その意味では、今回も米金利上昇が一服した時に米ドル高・円安が止まるかに注目。
米ドル高容認の「新ビナイン・ネグレクト」
1980年代前半に、日米消費者物価購買力平価を大きく超える米ドル高・円安が起こった。これは当時の米政権がインフレ対策を重視する中で、「ビナイン・ネグレクト」と呼ばれる米ドル高容認に動いた結果だった。 米国が、その時以来のインフレに見舞われる中で、まさに日米消費者物価購買力平価を超える米ドル高・円安も再現している。
長短金利差が示す米景気後退の見通し
米国の短中期金利と長期金利が急接近、両者の逆転、「逆イールド」も現実味を増してきた。 FFレートと長短金利差は基本的に逆相関の関係があるため、さらなる大幅利上げは「逆イールド」拡大といった大幅な景気後退をもたらす見通しになる。
「トランプ・ラリー」米ドル高値の更新
3月16日のFOMCは0.25%の利上げを決定するなど、ほぼ事前の予想通りの結果となった。 為替相場の米ドル買いも限定的にとどまったものの、米ドル/円はテクニカルに注目された「トランプ・ラリー」の米ドル高値を更新したことから、120円の大台が次の目標となった。
円と株の関係変化で最も重要なこと
円安が大きく広がる中で、日本株がそれを好感しなくなった。ただ、元々「円安=日本株高」といった一方向の関係は強くなかった。最近にかけての日本株の下落拡大は、グローバルな株安への連動で説明するのが基本だろう。 むしろそんなグローバルな株安と為替の間には、これまでは「安全資産の円買い」という関係があったが、それが目に見えて変化している点が重要ではないか。
「トランプ・ラリー」の118円と何が違うか?
先週から米ドル一段高となり、近年の代表的な米ドル高大相場、2016年の「トランプ・ラリー」のピークとほぼ肩を並べてきた。 「トランプ・ラリー」では、118円でピークを打つ時、米ドルも米金利も短期的な「上がり過ぎ」懸念がかなり強くなっていたが、今回はその点が異なる。米ドル、米金利とも、今回はまだ上昇余地がありそう。
円金利上昇阻止策と円売りの関係
日銀は、2月に円金利上昇を容認しない方針を確認した。ただそんな円金利は米金利と連動、その意味で円金利は日銀の方針以上に米金利の影響が大きい可能性あり。 3月に入り米金利上昇が再燃。米金利上昇の行方次第で、円金利も上昇。それを阻止するための日銀の政策が円売りを後押しする可能性も注目。
「異常値」続出の原油相場などで強まる「上がり過ぎ」懸念
90日MA、5年MAなどとの関係で見ると、原油相場などは短期、中長期的とも記録的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっている。 似たような状況だった2008年には、原油相場などで急騰から暴落への大転換が起こった。
ユーロ安・円高へトレンド転換巡る攻防
ウクライナ情勢への懸念が続く中、為替相場で最も目立ったのがユーロ急落。ユーロ/円で見ても、一時的なユーロ安かユーロ安へのトレンド転換か、注目される段階に入ってきた。 似たようなことは、米国株、NYダウなどにも該当しそう。52週MAとの関係を参考にすると、NYダウも一時的下落か、下落トレンドへの転換かの分岐点を迎えている可能性がある。
「ウクライナ相場」ユーロの反発リスクは?
ウクライナ情勢への懸念に伴い為替市場ではユーロが急落した。一方、今後のウクライナ情勢の動向によるユーロ反発リスクも気になるところ。 この間のユーロ急落は、米金利に対する独金利の相対的に大幅な低下と連動。その意味では、ユーロ反発リスクは独金利が米金利以上に上昇するかが鍵になるが、米インフレ懸念の強い状況が続く中で、それは限定的か。
ユーロ「パリティ割れ」大相場はあるか?
ウクライナ危機で、エネルギー相場を中心に金融マーケットが激しく動く中で、為替相場ではユーロ急落が目立っている。 そんなユーロは、対米ドルでは1ユーロ=1米ドルといった等価「パリティ」割れの可能性もありそう。ユーロ/円では長く続いた小動きの下放れが、ほかのクロス円に波及、円高リスク拡大となる可能性に要注意か。
豪ドル反発の理由と今後の見通し
代表的な資源国通貨である豪ドルは、中長期的に見ると、最近にかけての原油相場急騰と異例なほどのかい離拡大となっている。ただ2月以降の短期的な豪ドル反発は、さすがに原油など資源価格急騰に連れた影響が大きそう。 そんな豪ドル反発は、足元で0.74米ドル程度の52週MA近辺に達してきた。経験的には、この豪ドル高が飽くまで一時的な動きか、既に豪ドル高へトレンド転換した動きかを試す分岐点を迎えている可能性がある。
「リーマン・ショック前」原油高との類似
代表的な資源国通貨と代表的な資源価格である原油相場は、基本的に高い相関関係があるが、最近両者のかい離が大きく拡大している。 似たようなことが、2008年のリーマン・ショック前にもあったが、当時原油相場が下落に転じると、ほんの半年程度で最大8割もの暴落が起こった。当時と最近との類似点などを検証する。