短期的円安の「終わり方」

米ドル/円は最近にかけて急ピッチの米ドル高・円安となった。相場は、「行き過ぎ」を理由に一方向への動きが一巡することも少なくないので、今回は短期的な米ドル高・円安の「行き過ぎ」の目安について確認してみたい。

まずは、米ドル/円の90日MA(移動平均線)かい離率。これを見ると、過去の米ドル/円の上昇は、同かい離率が5~10%程度で一巡となってきたことがわかる(図表1参照)。さて、足元の米ドル/円の90日MAは115.3円程度(図表2参照)。このため、それを5~10%上回る水準は、121~126円程度といった計算になる。以上からすると、126円に向かう中では、短期的な米ドル「上がり過ぎ」が限界に達する可能性には注意が必要かもしれない。

【図表1】米ドル/円の90日MAかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】米ドル/円と90日MA (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

 

概して相場は行き過ぎるものであるため、理屈抜きで、「行き過ぎ」によって相場が反転することも珍しくなかった。そういった観点で、米ドル/円について見た場合、気になるのは米ドル/円と連動した米金利の「行き過ぎ」の可能性だろう(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円と日米金利差 (2021年10月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

最近にかけての米金利上昇を受けて、米10年債利回りの90日MAかい離率はプラス40%程度まで拡大してきた(図表4参照)。これは、短期的な米金利の「上がり過ぎ」懸念がかなり強くなってきた可能性を示している。米金利が短期的な「上がり過ぎ」の反動から低下に転じ、米ドル/円の下落要因になる可能性はあるだろう。

【図表4】米10年債利回りの90日MAかい離率 (2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

さて、最後に円のポジションを見てみよう。ヘッジファンドなどの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、経験的には売り越しが10万枚を大きく超えてくると「売られ過ぎ」で、その反動の円買い戻しが広がりやすかった(図表5参照)。この点も、今後円売りが短期的に行き詰るケースの目安として注目されるだろう。

【図表5】CFTC統計の投機筋の円ポジション (2015年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成