0.74米ドルという重要分岐点

一時0.7米ドル割れとなり、2021年来の安値を更新した豪ドルだが、2月以降は反発が続いた。中長期的に見ると、異例なほどにかい離している原油相場と代表的な資源国通貨である豪ドルの関係だが、短期的にはウクライナ情勢などを受けた原油相場の急ピッチな上昇に連れた結果と言えそうだ(図表1、2参照)。では、豪ドル高はさらに続くのだろうか。

【図表1】豪ドル/米ドルとWTI (2022年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】豪ドル/米ドルとWTI (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

豪ドル高がさらに続く可能性がある要因としては、為替ポジションの影響はありそうだ。CFTC(米商品先物取引委員会)の投機筋の豪ドル・ポジションは記録的に大幅な売り越しが続いている(図表3参照)。その意味では、最近の原油相場の高騰など基本的な資源国通貨にとっての買い材料に反応し、豪ドル買い戻しが入りやすいということはありそうだ。

【図表3】CFTC統計の投機筋の豪ドル・ポジション(2012年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ただテクニカルな観点から見ると、既に豪ドルの反発も分岐点を迎えている可能性がある。豪ドル/米ドルの52週MA(移動平均線)は足元で0.74米ドル程度(図表4参照)。経験的には、豪ドル安トレンドが続いている中で、飽くまで一時的な豪ドル反発に過ぎないなら、52週MAを大きく、長く超えられない程度にとどまる。ちなみに、2021年11月にかけて展開した豪ドル反発も、結果的には52週MA前後までの動きにとどまった。

【図表4】豪ドル/米ドルと52週MA (2005年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

逆に言えば、足元で0.74米ドル程度の52週MAを大きく上回ってくるようなら、豪ドルはすでに0.7米ドル割れで底を打ち、上昇トレンドに転換した可能性が出てくる。豪ドル安トレンド継続か、それとも豪ドル高へのトレンド転換か。そんな重要分岐点攻防を迎えている可能性がありそうだ。