52週MAとの関係を点検する

ウクライナ情勢への懸念を主因に、この間為替相場で最も大きな動きとなったのが、このところ何度も指摘してきたユーロ相場の急落だ。ユーロは対円でも1年近くも長く続いた小動きを下落方向へブレークするといった動きとなってきた(図表1参照)。

【図表1】ユーロ/円の推移 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

そんなユーロ/円の下落は、過去1年の平均値である52週MA(移動平均線)、足元でそれは130円程度なので、それすらも最近にかけて大きく割り込むところとなった(図表2参照)。

【図表2】ユーロ/円と52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

米ドル/円の経験を参考にすると、52週MAを1ヶ月以上、5%以上といった具合に「長く」、「大幅に」逆方向に動いた場合は、一時的な動きではなく、中長期的なトレンド転換の可能性も意識する必要が出てくることになりそうだ。

ちなみに、ユーロ/円の52週MAは上述のように足元で130円程度。これまでのところ、ユーロ/円は2月中旬からそんな52週MAを下回ってきたが、このまま1ヶ月以上といった具合に3月中旬以降も52週MAを下回る動きが続くか、または52週MAを5%以上といった具合に124円を割れる動きになるかは注目されるところだ。

ところで、ウクライナ情勢への懸念が拡大する中で、これまで見てきた為替相場以外、例えば米国株も急落が広がった。代表的な米国株価指数であるNYダウは、足元で3万4700米ドル程度の52週MAを大きく下回ってきた(図表3参照)。

【図表3】NYダウと52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ユーロ/円のところでも見てきたように、このままNYダウが足元で3万4700米ドル程度の52週MAを1ヶ月以上といった具合に「長く」、または5%以上といった具合に大きく下回るようなら、経験則を参考にすると、株安は一時的ではなく、むしろ株高が終わり、株安トレンドに転換した可能性が出てくるだけに注目されるだろう。

ちなみに、株安トレンドへ転換したなら、NYダウの場合でも、52週MAを1割以上下回るまで下落する可能性がこれまでは高かったようだ。足元のNYダウの52週MAは3万4700万ドル程度なので、それを「大きく」、「長く」下回るかに注目したい。

【図表4】NYダウの52週MAかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成