吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
毎営業日更新
「日銀大相場」とFOMCの関係
3月以降、円安大相場が広がったが、その中でも一日の米ドル/円最大値幅が2円程度以上となったのは全て日銀の長期金利上昇阻止策、「指し値オペ」がきっかけだった。
日独など先進国の長期金利は、「世界一の経済大国」米国の影響が極めて大きい。今週はFOMCがあるが、米金利を通じ、日本の金利、さらには日銀の金融政策への思惑から、米ドル/円のボラティリティーが高まる可能性も注目。
大きく円高には戻らない可能性
2ヶ月弱で約15円も米ドル高・円安となった「怒涛の円安」は、130円の大台前で小休止となった。
ただ、この数ヶ月の顕著な変化、「株安でも円高にならない」状況が続くなら、大きく円高に戻すシナリオはまだ当分描けないのではないか。
「止まらない円安」と「超円高」の記憶
円安が長期化する中で、日銀の金融政策を筆頭に、日本の政策への批判が増えている印象がある。
一方向への相場の動きが長期化し、循環的な説明が苦しくなると、構造論が持ち出されるのは円高局面でも繰り返された。結果的には、構造的円高論を尻目に円高は一巡となったが、果たして今回の円安はどうか?
続・豪ドル高・円安の少し気になること
豪ドル/円などクロス円は総じて、先週後半から急反落となった。短期的な「上がり過ぎ」の修正が、米国株暴落などに伴うリスクオフの円買い「復活」をきっかけに本格化した可能性。
一方、豪ドル/円は中長期的な高値圏にも近付いている可能性あり。その意味では、短期的な「上がり過ぎ」修正が一巡、上昇再燃となっても上昇余地は限られる可能性も考える必要があるのではないか。
「怒涛の円安」で迎えるGW円高アノマリー
GWには、「円高パニック」のアノマリーがある。薄商いの間隙をついて、米ドル買い・円売りに傾斜したポジションの逆流が起こったことが基本だった。
最近にかけて記録的なペースでの米ドル高・円安、「怒涛の円安」が展開する中、円の「売られ過ぎ」懸念も高まっている可能性があるだけに、GW前後のその反動リスク拡大には一応要注意か!?
黒田日銀総裁と22年前の「黒田財務官」
1999年9月G7声明では、「日本の円高懸念の共有」が異例の形で言及されたが、それは結果的に当時の日銀のゼロ金利解除という金融緩和見直しへの「制約」となった。
現在の日本では「円安懸念の共有」をG7に求めたいくらいかもしれないが、それは黒田緩和見直しにつながりかねない。22年前は財務官として、現在は日銀総裁としての黒田氏の関わりを振り返る。
豪ドル高・円安の少し気になること
円全面安が広がる中で、豪ドル高・円安も一段と広がってきた。
ただ米ドル/円などと比べて、5年MAかい離率や購買力平価との関係で豪ドル「上がり過ぎ」懸念が強くなっている点は少し気になるところ。
これは「未体験の円安」なのか?
長く小動きが続いた円相場が急に円安へ大きく動き出したが、ここまではまだ経験内の円安と言えそうだ。
この先さらに130円を大きく超えてくるようなら、これまで経験したことのないといった意味で、「未体験の円安」が始まっている可能性への懸念が高まるか?
米ドル売り・円買い介入の具体的シナリオ
過去の為替介入実績を参考にすると、このまま円安が続いた場合、1米ドル=130円前後で2兆円以上の規模の米ドル売り・円買い介入が行われる可能性がありそう。
日本の円買い介入実施では、米国との関係より、日銀の金融政策といかに整合性がとれるかが最大の焦点ではないか。
円買い介入は130円前後の可能性
日本経済にとって「悪い円安」といった声が増えている。では円安は止められるのか?
円安阻止の具体策の1つである円買いの為替介入は、過去のパターンを参考にすると早ければ130円前後で実現する可能性あり。
米インフレ懸念一段落の見極め方
米CPIなど注目のインフレ指標発表後、米金利が低下に向かうと、「インフレのピークが近い」ためとの解説が増えた。
ただ米金利低下は、記録的な「上がり過ぎ」の修正が主因であり、そんな米金利低下が「インフレはピーク」との後講釈になった可能性あり。
126円は「行き過ぎた円安」ではない可能性
米ドル/円は、2015年6月に記録した125.8円の米ドル高値を更新した。
約7年前に記録した水準より米ドル高になると、「行き過ぎ」を意識するのも分からなくない。ただし、2015年の125円と足元の125円の意味は、かなり違う。
米ドル/円の上昇は、短期的な「行き過ぎ」の反動が入る可能性はあるものの、絶対水準の印象ほどに中長期的な「上がり過ぎ」懸念は、決して強くないと言えそうだ。
「止まらない円安」、1998年の例を振り返る
最近にかけて急ピッチで進む円安の日本経済への懸念が拡大しているようだ。
「止まらない円安」への懸念が拡大した代表例は1998年だったが、この時には一日で2兆円もの円買い介入に動いても円安は止まらなかった。
「円資産のみ保有するリスク」の現実味
最近にかけての円安は、株価との関係変化など、これまでの円安との「違い」が目立ってきた。
まだ「無秩序の円安」ではなさそうだが、さらに円安が進むと、円資産のみを保有するリスクのヘッジとして外貨投資する意識が現実味を増す可能性が高まりそう。
RBA「タカ派」でも豪ドル反発一巡の理由
先週5日のRBA金融政策会合は、予想より「タカ派」とされ、直後は「豪州金利上昇=豪ドル高」となったものの、その後は豪ドル反落が広がった。
その中で、豪ドル/米ドルは日足、週足のチャートとも長い「上ヒゲ」が出現、テクニカルには最近にかけて続いてきた豪ドル反発が一巡した可能性が出てきた。
究極の円安阻止策、「岸田ボンド」の可能性
円安の日本経済への悪影響を懸念する声が増えてきた。ただ、日本独自で円安を止めることはできるだろうか。
1980年代前半、インフレ対策をきっかけに広がった米ドル高・円安に対し、日本政府は、米国から究極の通貨安阻止策とされる外貨建て債券、「中曽根ボンド」発行を提案されるまで追い込まれた。
豪ドル安トレンドは終わったのか?
豪ドル/米ドルは約1年ぶりの水準まで反発してきた。すでに豪ドルは底を打ったのか、それとも飽くまで一時的反発に過ぎないのか。
52週MAとの経験を参考にすると、このまま来週末以降も足元で0.74米ドル程度の52週MAを「長く」上回るか、または0.78米ドル以上と「大きく」上回るかに注目。
米ドル/円「上ヒゲ」が示す「意外なシナリオ」
先週の米ドル/円は2円以上の長い「上ヒゲ」となった。2016年以降でこれを上回る長大な「ヒゲ」の記録は、「Brexitショック」、「トランプ・ラリー」、「アップル・ショック」、「コロナ・ショック」などいずれも代表的な大相場。
大相場における長大な「ヒゲ」出現の後は、高安値更新まで長い時間がかかっただけに、今回も米ドル高値更新には予想以上の時間がかかる可能性もありうる!?
円安の短期的「行き過ぎ」を点検する
米ドル高・円安は3月、一気に10円も進んだ。この中でいくつかの指標では、とくに円安について、中長期トレンドとは別に、短期的な「行き過ぎ」への懸念が拡大している。
今回は、ポジションと90日MAかい離率で、短期的な「行き過ぎた円安」の可能性を点検した。