吉田恒の為替デイリーの記事一覧

チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
 

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吉田恒の為替デイリー
円とユーロの米金利との関係を再点検
米金利上昇が続く中でも、介入警戒の影響から対円で米ドルが「上げ渋る」結果、米金利との関係では米ドル「下がり過ぎ」懸念が目立ってきた。 一方、介入警戒がない分、円以外の通貨、対ユーロなどで順調に米ドル高値更新となっているように見えるが、実は金利差との関係からは米ドル「上がり過ぎ」気味になっている。
米ドル売り介入と為替差益の実現化
日本の円安阻止介入については、効果が期待できず無駄だといった批判も少なくない。 ただ、日本が円売りの対価としてこれまで取得してきた外貨は、大半が120円以下と最近より大幅に割安な水準で購入したもの。そんな外貨の売却は、結果的に巨額の含み益の実現化であることを考えると、必ずしも無駄でもないだろう。
日本の為替介入の「疑問」に答える【後編】
前編に続き、約四半世紀ぶりの円買い介入についての「疑問」に答える。 後編の今回は、そもそもなぜ、円安阻止介入は四半世紀近くもの間行われなかったのか、外貨売り介入資金が底をつき、円安を止められなくなるということはあり得るのか等の疑問に答える。
日本の為替介入の「疑問」に答える【前編】
日本の通貨当局は9月22日、約24年ぶりの米ドル売り・円買い介入に出動した。 円買い介入については、ほぼ四半世紀ぶりということもあり、「疑問」も多いと思われるので、代表的な「疑問」に対して答えてみたい。 前編の今回は、日米やG7による協調介入の可能性などについて。
24年ぶり円買い介入で「押さえておきたいポイント」
日本の通貨当局(財務省・日銀)の為替介入としては10年以上ぶり、さらに米ドル売り・円買い介入としては24年ぶりの介入が22日行われた。 この介入は瞬間的には米ドル安・円高に大きく戻すところとなったが、これは「日本単独では効果ない」との見方の反動が大きかったのではないか。 一方、米インフレ対策に支障を来しかねない米ドル安・円高への大きな誘導を目指すものでもないだろう。
FOMC後の米ドル/円のシナリオを考える
9月21日のFOMCで公表されたドット・チャートによると、FFレート見通しは2022年末4.4%、2023年末4.6%へ大幅に上方修正された。 このFFレート見通しを参考にすると、米2年債利回りは4.5%前後、そして米ドル/円は150円前後まで上昇する見通しとなる。
これまでの円安とは何が違うのか【後編】
1998年の円安と今回の最大の違いは、前者はデフレ時代の始まりだったのに対し、後者は物価高への懸念があるということ。物価高の円安は、「悪い円安」不満をもたらしやすい。 2000年以降の円安局面で、これまで円安阻止の介入は行われなかった。貿易不均衡の拡大が一巡したことで、円安が政治イシュー化しにくくなった影響が大きいだろう。
これまでの円安とは何が違うのか【前編】
1998年以来の米ドル高・円安といった具合に歴史的な円安が展開している。ところで、これまで何度も円安局面はあったが、円安が起こった状況は様々だった。 その中で今回の円安は、40年前、1982年にかけて280円程度まで米ドル高・円安となった局面に最も近いようだが、改めてこれまでの円安との違いについて整理する。
米ドル売り介入の上限は外貨準備1割が目安か
9月13日CPI発表前後で大きく変わったのは米利上げ見通し。それは最近の場合、米ドル/円の見通し上方修正にも直結する。 米利上げ見通しの上方修正を通じ、1998年米ドル高・円安の値147円台更新の可能性が高まったことから、円安阻止介入へ一歩踏み出したということではないか。
「24年ぶりの円買い介入なるか」今や未経験者も多い為替介入とは
日本の通貨当局の円安阻止介入について過去の為替介入実績を振り返り、今後の円安阻止介入の参考に。
「アベノミクス」を上回るペースの円安
今回の米ドル高・円安は、最大変動率ではまだ「アベノミクス円安」を下回っているものの、一方で「年間変動率」で見ると、既にそれも大きく上回ってきた。 このような「記録的な円安」は、「新たな円安時代の始まり」と考えるより、経験的には「行き過ぎた動き」として警戒する必要があるのではないか。
金利差という短期的米ドル買いの「障害」
ユーロ/米ドルなどに顕著だが、最近にかけて金利差と米ドル高のかい離が目立っている。 速やかに金利差が米ドル高を正当化できなければ、さらなる米ドル買いの「障害」になる可能性あるだろう。
米ドル高・円安「行き過ぎ」の再点検
米ドル高・円安は、5年MAかい離率などで見ると、過去の円安トレンドのピークに接近してきた。また90日MAかい離率で見ると、先週は短期的な米ドル「上がり過ぎ」懸念も再燃していた。 一方、CFTC統計の投機筋のポジションを見る限り、円の「売られ過ぎ」懸念はまだそれほど強くない。
円安を巡る財務省と日銀の温度差
止まらない円安を受け、9月8日に開かれた財務省、日銀、金融庁の3者会合の後、財務省の神田財務官は「為替市場において必要な対応を取る準備がある」などと述べた。これは、普通なら為替介入を行う覚悟を決めた時に使う表現。 ところが、3者会合は声明を発表しなかった。これには3者会合への日銀からの参加者、為替の知識と経験がある「スーパーレディ」の影響も注目される。
米ドル急騰「一服」2つのシナリオ
今週に入ってから米ドル高・円安が急加速した。 この数ヶ月間で、加速した米ドル高・円安が一服した代表例は4月下旬と7月中旬。この2つのケースを参考に、足元の米ドル急騰が一服するシナリオを考えてみる。
米大幅利上げを後押しする3Q景気回復
米国では第2四半期まで2四半期連続マイナス成長となったが、GDP予測モデルの第3四半期(3Q)予想は2%以上に回復してきた。 FRB大幅利上げにもかかわらず米景気が回復すると、インフレ是正の障害になる可能性がある。その場合、FRBは当面大幅利上げ姿勢を緩められず、それは米ドル高を後押ししそう。
米ドル高・円安、「145円」と「150円」の違い
米ドル高は、5年MAかい離率で見ると、145円はまだ「経験内の米ドル上がり過ぎ」だが、150円は「未体験の米ドル上がり過ぎ」。ただ、購買力平価との関係では、既に足元でも「飛び抜けた米ドル上がり過ぎ」。 FRBはインフレ対策で大幅利上げを続けているが、それに行き過ぎた米ドル高も重なり、米景気が急悪化に転換するタイミングこそが、行き過ぎた米ドル高の反転、そしてそれがどの程度急激な動きになるかの目安となりそう。
米ドル高・円安とレーバー・デー「アノマリー」
欧米のトレーダーにとって実質的な夏休み明けとなるレーバー・デー明けから、相場は一方向へ大きく動き出す傾向があった。 2022年は例年と異なり「夏枯れ知らず」で歴史的米ドル高・円安が展開しているが、9月5日のレーバー・デーが終わり、名実ともに本格的なトレード局面に移行することで、米ドル高・円安が一段と広がる可能性に一応要注意。
「雇用統計相場」を予想する
8月の「雇用統計相場」は、NFPなどが「ポジティブ・サプライズ」となったことを受けて米ドル一段高となった。この「雇用統計相場」以上の大相場となったのが、7月CPI発表を受けた米ドル急落だ。 このように注目指標の結果へのリアクションが大きくなっている。今回の雇用統計発表では、「先行指標」ADP統計の「ネガティブ・サプライズ」の影響も一部で警戒されている。
なぜ株安でも円高にならなくなったのか
リスクオフ(株安)局面では「安全資産」として円が選好されてきたが、最近にかけてそれは大きく崩れた。 これには、ロシアによるウクライナ侵攻といった安全保障要因や米金利の影響などが考えられる。株安でも円高にならなくなったことは、円安を加速させ、「歴史的円安」が起こった1つの側面になったのではないか。