吉田恒の為替デイリーの記事一覧

チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
 

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吉田恒の為替デイリー
米0.75%利上げでも米ドル反落の理由
15日のFOMCは0.75%の大幅な利上げを決めたが、米ドルはむしろその後比較的大きく反落した。 これは、短期的な米ドル「上がり過ぎ」の反動に加え、既に今回のFOMCで確認された今後のFFレート3.4%程度までの引き上げは織り込み済みだったためではないか。
続・FOMCと米ドル高・円安の最終到達点
15日FOMCで公表された米政策金利の予想平均は、2022年末も2023年末も3.4%。これは、政策金利のFFレートが3.5%程度まで引き上げられるとの見方が基本となっている可能性を示している。 これを参考にすると、FFレートの影響を受ける米2年債利回りは3.5%程度までの上昇の見通しになる。米2年債利回りが4%以上に上昇しなければ、米ドル/円も140円に届くかは微妙。
FOMCと米ドル高・円安の最終到達点
ここまでの米ドル高・円安は、基本的に米2年債利回り上昇と連動してきた。その米2年債利回りのサイクル・トップは、政策金利のFFレートのピークとほぼ重なるのが普通。 以上の関係を前提にすると、FFレート引き上げが3.5%以下にとどまるなら米ドル高・円安は140円に届かず、140円を超えるためには4%以上へのFFレート引き上げが必要になりそう。
円安、1998年との類似と相違
米ドル高・円安は1998年以来、約24年ぶりの円安水準を記録した。そんな24年前、1998年の円安と今回では、類似点と相違点それぞれある。 1998年にかけての円安と最近の円安では、物価との関係では「真逆」。にもかかわらず、両者はともに「悪い円安」との評価が目立っている。ただし、「悪い円安」とされる理由が違う。
円安懸念声明が示した「協調介入合意なし」
過去のG7による為替に関する声明文では、協調介入合意があった場合となかった場合では表現に微妙な違いがあった。 それを参考にすると、10日発表された財務省、金融庁、日銀「三者会合」の円安懸念声明は、未だ協調介入での合意はないことを示唆している可能性が高そうだ。
ECB利上げでユーロ安は終わるのか?
2021年から2022年にかけての大幅なユーロ安・米ドル高は、独米長期金利差ではほとんど説明できず、金融政策を反映する独米2年債利回り差の変化で正当化された可能性がある。 ただ独米の2年債利回りのボラティリティーには大きな差があった。ユーロ安・米ドル高トレンドへの影響は、基本的に米インフレ動向を受けたFRB利上げ見通し次第か。
円安135円、20年前との類似と相違
米ドル高・円安が2002年以来20年ぶりに135円を目指す動きとなっている。20年前も今回も、目的こそ違うものの、米国が米ドル高容認政策をとっていることは類似点。 一方、20年前の日本経済はデフレ。これに対して今回はインフレ懸念と物価情勢が大きく異なる。このため「悪い円安」批判がある中でも、135円ですら円安が止まるか微妙な状況が続いている。
「怒涛の円安」が一段落する条件
「怒涛の円安」一段落の条件としては、短期的な米ドルの「上がり過ぎ」や米金利低下などが必要になりそう。逆に言えば、そのような条件が出てくるまでは、「怒涛の円安」は続く可能性もある。 このまま15日予定のFOMCまで米金利が大きく低下しないようなら、一気に135円まで米ドルの短期的な「上がり過ぎ」拡大に向かう可能性は十分ありそう。
RBA利上げと豪ドル・トレードの注意点
7日のRBA会合では、0.25%か0.4%の利上げが予想されている。特に大幅利上げとなった場合、それを口実に短期的な豪ドル「上がり過ぎ」が一段と拡大、この間の高値更新に向かう可能性もありそう。 ただ豪ドルは中長期的にも高値警戒域に入っている可能性があるだけに、「高値づかみ」リスクを意識したトレードが必要ではないか。
「超インフレ」トルコリラ相場を考える
6月3日発表のトルコの消費者物価上昇率は前年比70%超となった。インフレの深刻化は、基本的には通貨安要因。 ただ、2022年に入ってからインフレ急悪化の中でトルコリラ相場安定が続いた。その「謎解き」とともに、今後のトルコリラ相場の見通しを考える。
米金利の「6月アノマリー」
米金利には、6月以降の年央に、その年の天底を付ける習性がある。その代表例が、「グローバル・デフレ」がテーマとなった2003年の米金利低下の急反転だった。 最近にかけて「グローバル・インフレ」をテーマとした米金利上昇が続いているが、「アノマリー」通りに急反転に向かう可能性はあるか。米ドルへの影響からも注目。
米ドル高再燃の理由と今後の行方
先週にかけて126円台まで反落した米ドルだったが、今週は130円の大台を回復するなど上昇再燃となった。米金利上昇再燃が主因か。 とくに金融政策を反映する米2年債利回りは、FFレート引き上げが2.5%未満にとどまるといった見方が強まらない限り、低下には自ずと限度がある。それを再確認したことが、今週に入ってからの「米金利上昇=米ドル高」再燃の最も大きな要因だったのではないか。
パウエル「3度目の豹変」というリスク
パウエル議長は、FRB議長就任後、金融政策方針を主に2回大きく転換した。それは、世論や政治に過敏な点が特徴的で「豹変」という印象が強かった。 その意味では、世論や政治動向次第では、現在のインフレ・ファイター姿勢から「3度目の豹変」となる可能性には注意が必要だろう。
続・ユーロ安・米ドル高は終わったのか?
4月以降、ユーロが1.08米ドルを割れてから一段安となった動きは、金利差からかい離したものだった。その意味では、最近にかけてのユーロ反発は、金利差から見た「下がり過ぎ」の反動とも言えそう。 その上で、テクニカルには1.08米ドルを巡る攻防が重要な分岐点になる可能性あり。
アベノミクス円安とFRB米ドル高の違い
2015年にかけて125円まで米ドル高・円安となった動きは、日本の金融政策を反映する日2年債利回りと高い相関性があった。その意味では、当時の円安はアベノミクスの主役だった「黒田緩和」がもたらした「アベノミクス円安」だった。 一方、今回の米ドル高・円安は、日2年債利回りとの関係性はなく、米金融政策を反映する米2年債利回り急上昇と連動したといった意味では「FRB米ドル高」と言えるだろう。
目前に迫った「真の黒田シーリング」
2015年6月、日銀の黒田総裁は円安の幕引きに動いた。この円安の限度、「黒田シーリング」は、実質実効レートを少し「加工」した「真の黒田シーリング」とすることで今も参考になりそう。 実は、一気に130円を超える円安となったことで、そんな「真の黒田シーリング」目前に迫る動きとなった可能性がある。
ユーロ安・米ドル高は終わったのか?
ECB7月利上げ説などが広がる中で、ユーロは今週にかけて比較的大きく反発した。ユーロ安は1.03米ドルで終わったのか、飽くまで一時的な調整なのか。 それを見極める鍵は、米金利と米国株の動向ではないか。
続・予め考える米ドル高が終わる「条件」
130円を超えた米ドル高・円安は、「行き過ぎた動き」の可能性が高そう。ただそれは、基本的に米インフレ対策強化に伴う米金利急騰によって正当化されてきた。 逆に言えば、行き過ぎた米ドル高・円安の終了は、米インフレ動向を受けた米利上げ見通しの変化が最大の鍵を握るのではないか。
2015年「黒田けん制」に近づいた円安
円の実質実効レートの5年MAかい離率は、経験的にマイナス20%以上に拡大すると一巡し、円安終了となってきた。同かい離率は、4月まさにマイナス20%に急接近した。 2015年6月、同かい離率がマイナス20%以上に拡大したところで、黒田日銀総裁が「普通ならさらなる円安はない」と発言し、円安終了となった。直近、当時の局面にかなり近付いてきた。
続・円安への米国株安の影響とは?
2021年まで続いた「米国株安=円高」といった関係は、この数ヶ月大きく崩れた。ただ、クロス円の下落や米金利低下を通じ、米国株安は一定程度の円高をもたらす可能性がある。 米国株安を主導するナスダック指数は、90日MAかい離率で見ると、下落局面の重大な分岐点を迎えている可能性あり。