吉田恒の為替デイリーの記事一覧

チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
 

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吉田恒の為替デイリー
円安トレンドは139円で終わったのか?
米ドル/円は7月の139円台から急反落となったが、既に米ドル高・円安トレンドは139円台で終わったのか、それともまだ米ドル高値更新に向かうのか。 米金利との関係からすると、まだ米ドル高値更新の可能性はありそうだ。ただ既に、「行き過ぎた米ドル高・円安」となっている中で、ヘッジファンドなど大口投資家の中には、一早く円売り取引縮小に動き出した兆しもある。
円ショート戦略転換の始まりか
ヘッジファンドなどの取引の目安とされる統計で、最近にかけて円売り越しが急縮小した。 歴史的円安でプロのトレーダーも大きな「収益源」と位置付け急拡大した円ショート・ポジションを、反転リスクを減らすべく徐々に手仕舞う動きが始まった可能性がある。
雇用統計並みCPI「ヘッドライン大相場」
8月10日の米CPI発表直後に米ドル/円は2円近い急落となった。特定の経済指標発表をきっかけに為替相場が大きく動くことは「ヘッドライン・ディーリング」と呼ばれ、近年は米雇用統計が有名だが、この2ヶ月ほどはCPI「ヘッドライン大相場」ともなった。 ただし、今回の「CPI大相場」の米ドル安・円高の持続は、米金利がそれを正当化するかが鍵だろう。
米ドル/円「CPI相場」、7月との違い
7月は、CPI発表をきっかけに、米ドル高・円安は一気に140円に迫る動きとなった。 ただ7月は、ユーロ/米ドル、22年ぶりの「パリティ割れ」が米ドル高をリードした可能性がある。今回は、ユーロ/米ドルを取り巻く状況、米ドル/円の90日MAかい離率など、7月との違いも目立つ。
インフレ対策と米ドル高が終わる可能性
米ドル高・円安は、2022年以降インフレ対策の米利上げ見通しと連動してきた。 そのインフレに影響する原油価格が、最近にかけて急落した。「行き過ぎた原油高」の修正の可能性があり、そうであればインフレ対策と米利上げ、その影響を受ける米ドル高も曲がり角を迎えている可能性がある。
原油急落は「インフレ→景気減速」の前兆か
世界的な資源・穀物の供給先であるロシアとウクライナの軍事的衝突をきっかけに、供給不安から原油など資源・穀物相場は高騰したが、6月以降急落した。 ウクライナ情勢に大きな変化がない中での原油価格などの急落が、世界景気の減速に伴う需要縮小の影響だとすると、世界経済のテーマは今後インフレから景気減速に変化する可能性もありそうだ。
割高局面の米ドル買い戦略再検証
7月末からの約1週間で米ドルは130円割れ近くまで急落。歴史的円安が動揺した背景には、米ドルなど外貨の割高懸念が高まっていることがあるだろう。 割高局面における米ドル買いなど投資戦略のテーマは、「許容出来る損失」の自覚。その上で(1)投資規模の抑制、(2)ストップロス注文、(3)小まめな利益確定などが主な課題となる。
特殊だった米ドル/円「FOMCショック」
7月FOMC以降の米ドル急落、「FOMCショック」は基本的には対円のみの現象。FOMC以前の対円の米ドル「上がり過ぎ」などを受けた特殊な現象だった可能性あり。 米ドル/円急落を「特殊」と理解せず、米景気や米金利、米ドルに悲観的になり過ぎるリスクには要注意。目先的にはその反動が入る可能性もありそうだ。
続・日銀緩和不変でも円安は終わる
7月末FOMC以降、米ドル安・円高に大きく動いたが、これは日銀の金融緩和が全く変わらない中で起こった。 これまでの米ドル高・円安は、基本的に米金利上昇に連れた結果だっただけに、日銀の金融緩和が変わらなくても、米金利次第でこれほど大きく米ドル安・円高に戻した点は重要だろう。
米ドル安本格化は時期尚早
先週にかけて米ドルは対円で急落したが、一段と米ドル下落が本格化するためには米金利の大幅な低下が必要で、米金融政策との関係からするとそれは時期尚早だろう。 FOMC後もユーロ/米ドルなどでは米ドル安は目立った動きではなく、むしろ対円の米ドル安が「特殊現象」の可能性がある。全体的に米ドル安が本格化に向かう段階ではまだなさそうだ。
「円高プチパニック」は続かない可能性
先週は、久しぶりに大きく米ドル安・円高に動く、「円高プチパニック」となった。これは、短期的な「行き過ぎ」修正が一気に起こったことが主因か。 132円台までの米ドル急落で、そんな短期的「行き過ぎ」もほぼ是正された。当面の米ドル/円は米金利次第だが、その米金利が下がるリスクは限られそうだ。
米大幅利上げでも米ドル急落の理由
7月FOMCは前回に続き0.75%の大幅利上げを決めたが、米ドル相場はその後急落となった。 為替相場は、基本的に政策金利より市場金利に連動。既に、米政策金利、FFレートの3.5%までの引き上げを織り込んだ米ドル高は、修正の下落リスクが入りやすい。
FOMCが示した米ドル高終了の可能性
27日のFOMC終了後のパウエルFRB議長の発言などを受けて、今後の米利上げ見通しを下方修正する見方が広がった。 米2年債利回りは、既に政策金利のFFレート上限が3.5%まで引き上げられることを織り込むまで上昇し、それが基本的にここまでの米ドル高・円安をリードしたが、その利上げ見通しが下方修正されるなら、「米金利上昇=米ドル高」終了の可能性が出てくる。
米ドル/円「FOMC相場」を考える
このところのFOMCは、「米金利上昇=米ドル高」が「米金利低下=米ドル安」へ転換するきっかけになるケースが続いた。 今回は既に、FOMCと米金利及び米ドルとの関係に変化の兆しがみられる。今回のFOMCで相場が大きく動くとしたら、「米金利低下=米ドル安」方向ではないか。
米ドル/円上昇終了ならクロス円上昇も終了
米ドル高・円安が少し足踏みしてきた。仮に米ドル高・円安が終了したとして、一方でクロス円、例えば豪ドル高・円安などは変わらずに続くということはあるだろうか。 過去のケースを検証すると、今回の場合おそらくその可能性は低いだろう。
実質実効レートが示す円安の「限界」
円の総合力を示す実質実効レートの6月の5年MAかい離率はマイナス19.96%となった。経験的に、同かい離率のマイナス20%前後までの拡大は、円安の限界を示している。 例外的に同かい離率がマイナス20%以上に大きく拡大、行き過ぎた円安が一段と拡大したのが2014年10月以降のケース。今回その再現の鍵を握っているのは米インフレ対策の利上げ。
ECB利上げと米ドル高「終わりの始まり」
ECBは7月21日、事前の予想以上の0.5%利上げを決めた。約22年ぶりのユーロ/米ドル「パリティ割れ」といったユーロ安の阻止も一因だったのではないか。 一方で、米金利の上昇にも鈍化の兆しがあることからすると、このECB利上げが後から振り返って米ドル高全体の「終わりの始まり」となる可能性にも注目。
続・円安終了後の円高「基本シナリオ」
円安が進む中で外貨投資を始めた投資家からすると、円高への反動がどの程度のペースで、さらにどの程度の規模で起こるかは、常に気になるところだろう。 例えば、この円安が終わった後は、再び100円割れまで円高に戻る可能性もあるのか、それとももうそこまで円高にはならないのか。過去の円高トレンドを検証すると、140円から円高に向かった場合、基本的に110円程度まで円高に戻る意識は必要になりそうだ。
円安終了後の円高「基本シナリオ」
円安トレンドが終了した後は、どんなペースで円高に戻すかについて、過去4回の円安トレンド終了後の動きを参考に考えてみた。 4回に共通したのは、2ヶ月程度で5%以上の米ドル安・円高に戻したということ。さらに円高への動きが大きくなるかは、ショック相場に巻き込まれるかの影響が大きかった。
米GDPナウが維持したリセッション予想
先週は、米6月CPIの結果を受けて、一時7月FOMCでの利上げ幅を1%に上方修正する見方が浮上。為替相場もそれに反応し、米ドル/円は140円に迫る動きとなった。 米GDP「早読み」で定評のあるGDPナウは15日、4~6月期GDP成長率予想をマイナス1.5%に更新。定義上「リセッション」となる2四半期連続マイナス成長の可能性が続いている。「リセッション」は、米利上げを下方修正させる要因だ。