ユーロ/円は上昇トレンド、豪ドル/円は下落トレンド
ユーロ/円が年初来のユーロ高値を更新する動きとなってきた。一方で、豪ドル/円は年初来の豪ドル安値圏での推移となっていて、主要なクロス円でありながら、ここに来て両者は対照的な動きが目立ってきた。
この背景には、金利差の影響があるだろう。日豪10年債利回り差豪ドル優位は、ほぼ1年振りの水準まで縮小してきた。豪州は、主要国の中でもいち早くインフレ対策の利上げを一段落し、欧州に比べても全般的に金利低下が広がっている(図表1、2参照)。
【図表1】ユーロ/円と日独10年債利回り差(2022年10月~)
【図表2】豪ドル/円と日豪10年債利回り差(2022年4月~)
こうした中で、もう1つ両者の分かりやすい違いがトレンドを考える上で参考になる52週MA(移動平均線)との関係だ。ユーロ/円は、2020年から続いてきた上昇トレンドの中で、ごく短期間を除いて52週MAを上回る推移が続いた。一方で豪ドル/円は最近にかけて52週MAを大きく割り込むところとなった(図表3、4参照)。
【図表3】ユーロ/円と52週MA(2000年~)
【図表4】豪ドル/円と52週MA(2008年~)
52週MAとの関係は、ユーロ/円ではなお上昇(ユーロ高・円安)トレンドが続いているのに対し、豪ドル/円は下落(豪ドル安・円高)トレンドへ転換した可能性を示している。
上昇トレンドが続いているユーロ/円は、一時的な下落でも足元で141円程度の52週MA前後までがせいぜいで、さらなるユーロ高値模索が続くといった見通しになる。一方で、下落トレンドに転換した可能性のある豪ドル/円の場合は、一時的に上昇しても足元で92円程度の52週MAを大きく長く上回らない程度にとどまり、基本的には豪ドル安が広がるといった見通しになる。
豪ドル/円の場合、金利差は基本的に豪ドル優位だが、豪ドル安・円高トレンドが展開しているとなると、金利差を支払いながら豪ドルを売る時間が多くなるといった比較的難しいトレード戦略が求められるようになっている可能性がある。