円買いはさらなる拡大に向かうのか?

先週、米ドル/円は一時104円割れ寸前まで急落(円急騰)した。こういった中で、トレーダーの円買いも拡大してきたようだ。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、買い越しが3万枚近くに拡大、5月にかけて記録した今年の最高に迫ってきた(図表1参照)。

【図表1】CFTC統計の投機筋の円ポジション (2015年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

しかしながら投機筋の円買い越しは、2016年には7万枚まで拡大したことがあった。その意味では、さらに円買いを拡大する余地はまだまだ十分ありそうだ。

ただ、別のデータを見ると、少し印象が変わってくる。同じCFTC統計の中の非報告部門の円買い越しは、先週にかけて1.3万枚まで拡大した(図表2参照)。これは、確認できる2011年以降では最高の円買い越し。つまり、このデータで見ると、すでに円はかなり「買われ過ぎ」懸念が強くなっている可能性がありそうだ。

【図表2】CFTC統計の非報告部門の円ポジション (2011年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

図表1、2とも、円のポジションは、売り越しに比べて買い越しの拡大余地が限定的にとどまる傾向があったことがわかる。これは低金利の円だけに、売りポジションより、買いポジションの維持が不利という影響があったと考えられる。

ただ「コロナ危機」を受けて、米国も含めて世界的に大幅な金利低下となったことから、円の相対的な金利差劣位は薄れている。こういったことが、これまでより円買いポジションを維持しやすくなるかも注目してみたい。