メキシコペソと南アフリカランド

一部の新興国通貨がじり高となっている。メキシコペソ/円は4.8円を大きく上回り、6月以来の水準まで上昇してきた。また、今月に入り6円割れまで下落した南アフリカランド/円も、一時6.3円を大きく上回るまで反発してきた。

こういった中で、2つの通貨ペアの90日MA(移動平均線)からのかい離率は3%前後まで拡大してきた(図表1、2参照)。経験的に、この2つの通貨ペアの場合、同かい離率が5%以上に拡大すると、短期的な「上がり過ぎ」懸念が高まってくる。

【図表1】メキシコペソ/円の90日MAからのかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

【図表2】南アフリカランド/円の90日MAからのかい離率(2010年~)

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

たとえば、メキシコペソ/円は、3月の「コロナ・ショック」前に6円まで上昇したが、当時90日MAからのかい離率は5%近くに拡大していた。結果的に、「コロナ・ショック」でメキシコペソ/円は3割もの暴落となったが、短期的な「上がり過ぎ」の反動も下落が拡大した一因だっただろう。

また、南アフリカランド/円は、7月に一時6.5円まで上昇したが、その中で90日MAからのかい離率は6%以上に拡大した。その後南アフリカランド/円は6円割れへ、1割近い大幅反落となったが、これも短期的な「上がり過ぎ」の反動が一因だっただろう。

さて、足元で計算すると、メキシコペソ/円は5円前後、南アフリカランド/円は6.5円前後で、90日MAからのかい離率が5%を上回ってくる見通しだ。以上のように見ると、2つの通貨ペアともこのまま上昇が続くようだと、徐々に高値警戒感が高まる可能性がありそうだ。