対豪ドルでは23%もの米ドル下落

「コロナ・ショック」とされた世界的な株大暴落が一段落したのは3月下旬。それ以降の「コロナ後」に米ドル一段安が目立っている

「コロナ後」、3月下旬の米ドル高値からの最大下落率がとくに大きいのは対豪ドルで23%程度まで拡大してきた。米ドル/円に換算すると、1米ドル=110円程度から85円程度まで下落した計算になる。「凄い米ドル安」といった印象になるのではないか。

ただ、このような「コロナ後の米ドル安」は、対豪ドルが特殊ではない。たとえば、対英ポンドでの最大下落率は13%程度、そして対ユーロでも10%以上に拡大してきた。以上のように見ると、これは豪ドル買い、ユーロ買いといったことより、やはり米ドル売りの影響が大きかったのではないか。

ではなぜ「コロナ後米ドル安」か。コロナ・シヨック前後で、FRB(米連邦準備制度理事会)はゼロ金利まで利下げを行い、さらに量的緩和で大量の米ドル資金供給を行った。以上からすると、「コロナ後の米ドル安」は、低金利の米ドルの空前の「余剰」が主因ではないか。

ちなみに、最近米ドルは対円でも104円割れ寸前まで急落した。ただ、それでも「コロナ後」の米ドル高値からの最大下落率は7%弱に過ぎない。

以上からわかるのは、「コロナ後」は、対円の印象以上に米ドル下落が拡大しているということ。かりに、対円での米ドル下落が、その他の通貨に対しての遅れを挽回する形で展開するなら、下落率を対ユーロ並みの10%以上に拡大するだけで100円割れを目指す計算になる。