米ドル全面安で買いが集中したユーロ

3月の「コロナ・ショック」、世界的な株大暴落一段落後、為替相場ではほぼ米ドル全面安が展開した。ただ米ドル売りの対価として買われる外貨には、かなりの差があったようだ。

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のポジションを見ると、ユーロは最近にかけて過去最大の買い越しとなった(図表1参照)。米ドル売りの対価として、ユーロ買いが急拡大した可能性を確認する結果といえるだろう。

【図表1】CFTC統計の投機筋のユーロ・ポジション(2017年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ただ同じ欧州通貨でも、英ポンドは足元でようやく買い越しを回復したに過ぎない(図表2参照)。また、3月以降、「コロナ後」に主要通貨の中で米ドルに対して最も大きく上昇した通貨の一つが豪ドルだが、その豪ドルのポジションは、足元でなお小幅な売り越しにとどまっている(図表3参照)。

【図表2】CFTC統計の投機筋の英ポンド・ポジション (2015年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表3】CFTC統計の投機筋の豪ドル・ポジション (2017年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

 

以上を整理すると、「コロナ後」の米ドル安相場の中で、ユーロ買いが続いた結果、ユーロには「買われ過ぎ」懸念が出てきたものの、一方で英ポンドや豪ドルの買いは、それまで売り越していたポジションの買い戻しが中心で、足元でもとくに「買われ過ぎ」を懸念する状況ではなさそうだ。少なくともCFTC統計の投機筋のポジションを参考にすると、そんな結論になりそうだ。

ユーロ/米ドルのポジションを見る限り、行き過ぎた米ドル売り・ユーロ買いポジションの調整は不可避と考えられるが、米ドル売りの対価がユーロ買いから、英ポンドや豪ドルの買いにシフトするといった動きになる可能性も、一つ注目してみたいところではある。