割高、割安見極めの重要性
南アフリカランド/円は、今から約10年前には1ランド=10円を上回っていた(図表1参照)。ところが、最近は6円前後での推移となっている。
こんなふうに、中長期的に循環するレンジが切り下がるのは、国内インフレを反映した高金利通貨の典型的な特徴といえるだろう。このような通貨に対し、相対的に高い金利と整合的に買いを検討するなら、中長期的、短期ともに割高、割安の見極めが決定的に重要になるだろう。
たとえば、2010年頃に、1南アフリカランド=10円以上は「割高」だった。そこで南アフリカランド/円を買った場合、その後下落すると、二度と買った水準まで戻らなかった。以上のように見ると、高金利通貨は、「割高」での買いを回避し、「割安」での買いを検討する必要がとても大きいといえるだろう。
さて、中長期的な割高、割安の参考として、5年MA(移動平均線)との関係を見ると、南アフリカランド/円の場合、かい離率はマイナス30~0%の範囲中心に推移してきたことがわかる(図表2参照)。5年MAに接近すると「割高」懸念が高まり、5年MAを3割下回ると「割安」懸念が強まることを示しているといえるだろう。
さて、足元の5年MAは7.7円程度。上述を参考にすると、足元6円程度の南アフリカランド/円は5年MAを2割以上下回っている。経験的には割安圏に近く、割高を警戒するのは7円を上回った時ではないか。
短期的な割高、割安は3ヶ月平均、90日MAからのかい離率を参考にする。南アフリカランド/円の90日MAは、足元で6.1円程度。経験的には、それを10%上回ると「上がり過ぎ」警戒域といえそうだ(図表3参照)。足元なら6.7円という計算になる。
以上を整理すると、足元1南アフリカランド=6円程度の水準は、短期的にはニュートラル、そして中長期的にはやや割安圏といえるだろう。