止まらない米ドル安

米ドル安が止まらない。18日にかけて、対豪ドル、ユーロでこの間の米ドル安値更新となった。ではこの米ドル安はどこまで進むのか。

この間の米ドル安は、金利差からかい離した米ドル高の是正と見ることもできなくない。2019年の金利差との関係を前提にすると、主要通貨に対する米ドル相場の水準は軒並み米ドル高方向に大きくかい離した状況が続いていた。その意味では、最近にかけての米ドル安は、結果的に金利差とのかい離を是正する動きとなっている。

たとえば、豪ドル/米ドルの場合、2019年の金利差との関係からすると、本来は0.75米ドル以上の豪ドル高・米ドル安となっていておかしくなかった(図表1参照)。いわゆる「コロナ・ショック」を前後して米金利が大幅に低下したためだ。

【図表1】豪ドル/米ドルと米豪金利差 (2019年7月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

同じような考え方をとるなら、ユーロ/米ドルも1.2米ドルを大きく上回り、1.25米ドル程度となっていてもおかしくなさそうだ(図表2参照)。

【図表2】ユーロ/米ドルと米独金利差 (2019年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ちなみに、同じような考え方で米ドル/円を見ると、100円を大きく下回り、95円程度が金利差で正当化される水準のようだ(図表3参照)。対豪ドル、対ユーロに比べて、この間の対円での米ドル下落率は小幅にとどまっているため、金利差とかい離した米ドル高是正の余地は、対円のそれがより大きい可能性がある。

【図表3】米ドル/円と日米金利差 (2019年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

「コロナ・ショック」の世界的な株大暴落が一段落した3月末から米ドルはほぼ全面安となっている。これは米金利の大幅な低下、米ドル資金大量供給による需給的な米ドル余剰などがおもな背景と考えるのが基本だろう。そうであれば、米ドル安の今後の行方を考える上で、金利差は一つの目安になりそうだ。