材料視されてこなかった汎用品への注目度が増加

半導体関連株がテーマとして物色される展開が続いている。半導体の製造工程は一般的に、直径300ミリのウエハ上に回路などを書き込む「前工程」と、チップを切り出して最終的に製品にする「後工程」に分類される。前工程では半導体線幅の微細化が進み、後工程ではチップの性能を上げるためにHBM(広帯域メモリ)を組み合わせる動きが広がっている。こうした各工程に関連する企業が株式市場で物色されるケースが多く見られる。

一方、ここにきて半導体の記憶を担うメモリ関連に関心が高まっている。半導体メモリはスマートフォンやパソコンなどに使われているが、一般的には汎用品とされ、単価が安いことから材料視されることは多くなかった。それが、先端品需要の広がりを受けて、2025年秋以降に需給がひっ迫。価格が高騰し、注目度が増している。

半導体って何?種類を再確認

ロジック:計算を担当する半導体

半導体は、計算を担当する「ロジック」と、記憶を担当する「メモリ」に大別される。ロジックの代表例はエヌビディア[NVDA]のGPU(画像処理半導体)向けチップで、生成AI(人工知能)の「チャットGPT」で注目された。いかに早く、大量に計算できるかがポイントになる。

メモリ:記憶を担当する半導体

一方、メモリは記憶に特化した半導体である。メモリも2種類に大別される。短期の記憶を担当する「DRAM」と長期の記憶を担う「NAND型フラッシュメモリ」である。

DRAM:通電時のみデータを保持

DRAMは「随時書き込み読み出しメモリ」とも呼ばれ、電気が通っているときにのみ、データを保持する。電源を切るとデータは消えるが、読み書きが高速で演算処理を行う際に使われる。パソコンやスマホで使われている。世界の主要メーカーには韓国のSKハイニックス、サムスン電子、米マイクロン・テクノロジー[MU]がある。

NAND型フラッシュメモリ:電源を切っても記憶が残る

一方、NAND型フラッシュメモリは長期の記憶を担当する。倉庫のようなイメージである。電源を切っても記憶が残る。スマホで写真を撮ったり、音楽をダウンロードしたりした後、電源を切ってもデータが残っているのはNANDフラッシュメモリのおかげである。パソコンのストレージ(記憶媒体)であるSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)にも使われている。主要メーカーはサムスン電子、SKハイニックス、キオクシアホールディングス(285A)、マイクロン・テクノロジー、米サンディスク[SNDK]などである。

2種類のメモリ、それぞれの価格上昇理由

このDRAMとNAND型フラッシュメモリ両者ともに需給が引き締まり、価格が上昇している。

HBMはSKハイニックスが開発した広帯域メモリで、DRAMを幾層にも重ね合わせて作られる。先端のHBM4は16層構造で、先端品は当然ながら単価が高くなる。

従来、パソコンなどに使われるDRAM価格は落ち着いていたが、メーカーが単価の高いHBM向け供給を優先した結果、汎用品の需給がタイトになり、2025年夏以降に価格が急騰し始めたとされている。

HBMの引き合いが強い主因は、大量の計算を行うデータセンター向けの需要の増加である。一方、NAND型フラッシュメモリはAIデータセンター用のSSD向けに需要が急増。こちらも同様に汎用タイプの価格が上昇している。

関連銘柄をピックアップ

キオクシアホールディングス(285A)

1987年に世界初のNAND型フラッシュメモリを発明。世界で有数のフラッシュメモリ専業メーカー。三重県四日市と岩手県北上に工場を持ち、米半導体大手サンディスクと共同運営を行っている。技術力を武器に大容量化、高速化に取り組む。岩手工場で先端の第8世代3次元(218層)フラッシュメモリや次世代品の生産に対応。第3四半期決算発表は2月12日の予定。

【図表1】キオクシアホールディングス(285A):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月5日時点)

KOKUSAI ELECTRIC(6525)

半導体製造における成膜装置に特化する大手。成膜プロセス装置は、本来は前工程で使われてきた装置である。シリコンウエハ上に、回路素材となるナノレベルの薄膜を形成する。近年では半導体デバイス構造の複雑化や、後工程でのHBMによるDRAMの3次元(積層)化によってウエハの表面が複雑な形状になっていることで、難易度の高い成膜に対する需要が高まっている。

【図表2】KOKUSAI ELECTRIC(6525):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月5日時点)

トーメンデバイス(2737)

韓国サムスングループ製品の取り扱いに特化した半導体商社。DRAMやNAND型フラッシュメモリなどを扱う。2026年3月期営業利益は155億円(前期比52%増)計画。第2四半期、第3四半期時点で増額修正している。汎用メモリの価格急騰で収益性が向上していることなどが要因。

【図表3】トーメンデバイス(2737):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月5日時点)

ジャパンマテリアル(6055)

顧客企業の半導体工場に技術者が常駐し、特殊ガスや超純水、薬液などの管理業務サービスを包括的に提供。最大顧客はキオクシアホールディングスである。キオクシアホールディングスは2025年9月、北上工場(岩手県)の第2製造棟の稼働を開始したと発表している。背景には、AI(人工知能)の普及によるフラッシュメモリ市場の拡大がある。先端の第8世代3次元(218層)フラッシュメモリや次世代品の生産にも対応し、2026年前半に本格的な出荷を開始する予定。ジャパンマテリアルにとっても収益貢献要因となりそうだ。

【図表4】ジャパンマテリアル(6055):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月5日時点)

日本マイクロニクス(6871)

ウエハ段階の半導体の電気特性検査に用いる計測器具「プローブカード」の世界大手。メモリ向けでは世界シェア3割と首位。DRAM向けプローブカード市場が拡大。2025年12月期は売上高689億円(前年比24%増)、営業利益138億円(同10%増)となったもよう。

【図表5】日本マイクロニクス(6871):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月5日時点)