アベノミクス以来の米ドル/円と日本株の連動
日本株の高値更新が続いているが、そんな日本株の上昇に米ドル/円の上昇が4月頃から連動したようになっている(図表1参照)。ではこの日本株と米ドル/円の連動はこの先も続くだろうか。
日本株と米ドル/円は、3年以上もの長い期間、高い相関関係を続けたことがあった。具体的には、2012年から2016年にかけて、アベノミクスの円安、株高が展開した局面だった(図表2参照)。ではなぜ、当時日本株と米ドル/円は連動するところとなったのか。
アベノミクスとは、当時の黒田日銀総裁が主導した大胆な金融緩和と、それを受けた円安により、デフレからの脱却を果たすことで日本経済の復活を目指すものだった。日本経済の復活の分かりやすい目安は株高。
以上からすると、アベノミクスに期待すること=株を買うことになる。ただし、そんな株高の前提が円安ということになると、海外投資家の場合、日本の通貨である円の下落リスクをヘッジする必要が生じる。
こうしたことから、アベノミクスへの海外筋の投資は「日本株買い+円売り」が基本になり、米ドル/円と日本株が連動したのは、以上のような背景を受けた結果と考えられた。では今回はどうか。
今回の場合、日本株の高値更新は、アベノミクス時代のように円安を前提としたものではないだろう。また、米ドル高・円安も、アベノミクス時代のような日銀の金融緩和が主導したものではなく、米国のインフレ対策に伴う利上げの影響が大きいとの見方が基本だろう。それを裏付けるように、この間の米ドル/円は、日米金利差や米金利とも連動したように見える(図表3、4参照)。
米ドル/円の動きを決めているのは、アベノミクス以来となる日本株なのか、それとも米金利なのか。その答えは、日本株と米金利の方向性が大きく異なるような局面が出現したところで分かることになるだろう。