日米協調「レートチェック」を巡る2つの「謎」
解散・総選挙の可能性が高まると、為替相場は米ドル高・円安が進み、160円突破をうかがう動きとなった。その流れを変えたのは、1月23日の日米の通貨当局による「レートチェック」だった。「レートチェック」は、経験的に当局が為替市場へ介入する前に行われるとされている。今回はその「レートチェック」の実施を受け、日米協調による円安阻止介入への警戒が強まり、円安が反転したと考えられる。
ただ今回の日米「レートチェック」には、主に2つの「謎」があった。その1つは、介入準備の動きが予想より早かったのではないかという「謎」である。2022年と2024年の円安阻止介入は、いずれも米ドル/円が5年MA(移動平均線)を約3割と大きく上回り、米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念がかなり強くなってから始まった。これに対し、今回の「レートチェック」は、米ドル/円が5年MAを2割も上回らない段階で実施された(図表1参照)。
そしてもう1つ、今回の「レートチェック」における最大の「謎」は、2024年までの円安阻止は日本単独で行われていたにもかかわらず、なぜ今回は米国も参加する「協調」の形になったのか、という点だろう(図表2参照)。
協調「レートチェック」は選挙対策の時限的対応か?
これらの「謎」を解くカギは、解散・総選挙にあったのではないだろうか。総選挙中の円安拡大を回避する必要があり、介入準備はこれまでの経験より早まったのだろう。さらに、選挙中の円安拡大を阻止するために、これまでの日本単独から日米協調へと、体制が強化された可能性がある。
以上を踏まえると、選挙終了後の最大の注目点は、1月23日の日米「レートチェック」で確認された円安阻止体制が、選挙後も変わらないかどうかだろう。具体的には、改めて円安が進み160円突破トライとなった場合、実際に米ドル売り・円買い介入が行われるかどうかが焦点となる。さらに、介入が行われる場合、米国も参加する日米協調の形となるかどうかも注目される。
選挙後の対応次第では円安加速の懸念も?
1月23日の日米協調「レートチェック」は、為替市場で大きな「サプライズ」と受け止められたとみられる。この日だけで米ドル/円は高値159円から155円台まで下落し、米ドル安・円高となった。さらに翌営業日以降も、トランプ米大統領の「米ドル安容認」と受け止められる発言の影響などから、一時152円割れ近くまで一段と米ドル安・円高が進んだ。
この日米協調「レートチェック」は、あくまで日本の選挙中の「時限的体制」だったのか。為替市場がこの点を試す可能性はある。その場合、日米当局の対応次第では円安が加速する懸念もあり、注意が必要だろう。
