目立ってきた米ドル買いの「一極集中」
CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、主要な5通貨(円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドル)のポジションで試算した投機筋の米ドル・ポジションは先週、買い越しが38万枚以上に拡大、2015年に記録した過去最高にほぼ肩を並べるところとなった(図表1参照)。
【図表1】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2000年~)
この米ドル買い越しの中心は、もちろん円の売り越しだ。円の米ドルに対する売り越しは先週、18万枚近くまで拡大した。これは、2007年に記録した過去最高の売り越しに肩を並べたことになる(図表2参照)。
【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2000年~)
対ユーロ、英ポンドでも
このような米ドルに対する大幅な円売り越しに加え、先週にかけてユーロや英ポンドといった欧州通貨も、米ドルに対して売り越しに転落した(図表3、4参照)。これによって、主要な5通貨全てが米ドルに対して売り越しとなった。当然ながら、米ドルの側から見ると、主要5通貨に対して全て買い越しとなり、米ドルの買い越しは過去最大規模に拡大した。
【図表3】CFTC統計の投機筋のユーロ・ポジション(2022年1月~)
【図表4】CFTC統計の投機筋の英ポンド・ポジション(2022年1月~)
高まる「反動リスク」への警戒
為替市場では、対米ドルで円売り越しが過去最大規模に拡大するなど、大幅な金利差円劣位を受けて円の「売られ過ぎ」が目立っていた。その一方で、最近にかけては主要通貨に対して米ドル買いの一極集中の構図も目立ってきたようだ。
米ドル買い越しが過去最大規模に拡大したということは、経験的には米ドルの「買われ過ぎ」懸念が強くなってきたともいえるだろう。円の「売られ過ぎ」、米ドルの「買われ過ぎ」の反動が入るリスクについても徐々に警戒する必要が高くなってきたのではないか。