吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
毎営業日更新

「豪ドル<NZドル」と米緩和政策転換の関係
同じオセアニア通貨でありながら、豪ドルとNZドルの客観データに、「差」が目立ってきた。その1つはポジション。豪ドルが大幅な売り越しになっているのに対し、NZドルは小幅ながら買い越し。
また、52週MAとの関係でも違いが顕著。「豪ドル<NZドル」は、米金融緩和政策転換の初期に起こりやすい現象の可能性もありそうだ。
世界で広がる「テーパリング」、緩和政策の転換
カナダなど資源国やメキシコなど新興国では、「コロナ・ショック」後の金融緩和見直しが広がっている。物価上昇への対応が一因だろう。
いわゆるデルタ株の影響などが懸念されているものの、米国の金融緩和縮小、「テーパリング」開始も大きく遅れる可能性は低いのではないか。
レーバーデイ「アノマリー」の米ドル/円
欧米のトレーダーにとって実質的な夏休み明けとなるレーバーデイ明けから、相場は一方向へ大きく動き出す傾向があった。
過去3年についてみても、米ドル/円は、レーバーデイ明けから一方向に2円以上動いていた。今回は112円、それとも108円!?
「テーパリング」でも豪ドル反落の理由
豪州中銀は7日、緩和の縮小、いわゆる「テーパリング」を決定したが、その後豪ドルは反落となった。これは、金利差から見た豪ドル「上がり過ぎ」の関係と辻褄が合う。
また、52週MAとの関係で見ると、豪ドル/米ドルは下落トレンドが展開中で、一時的な反発は足元で0.75米ドルの52週MAを長く、大きく上回らない程度にとどまる可能性。
豪ドル「乱高下」の背景を探る
一時0.71米ドルまで急落した豪ドルが、先週は0.75米ドル近くまで反発するなど荒れた値動きが目立っている。急反発の一因は、「売られ過ぎ」の反動か。
豪ドルは2021年すでに対米ドルで1割以上も下落。これは米金利上昇に伴う金利差豪ドル優位縮小のトレンドと重なっている。金利差のトレンドが変わらない限り、基本的には豪ドル下落トレンドが続く可能性が高いだろう。
米金利の転換点になってきた雇用統計
米ドル/円など主要な為替相場は、過去2ヶ月方向感のない展開が続いてきたが、それは影響力の大きい米金利の方向感の乏しい展開が続いたことが主因だろう。
その米金利のトレンドは、注目指標とされる米雇用統計発表をきっかけに発生することが少なくなかっただけに、今回も注目。
米政策転換とマネー逆流、翻弄される新興国
米国の金融政策転換は、これまで、基本的に外資への依存の高い新興国経済を翻弄してきた。
米緩和局面では、「米国→新興国」といった資金の流れから、新興国の多くは実力以上の通貨高となった。そして、米緩和見直しでは、「新興国→米国」といった流れから、新興国通貨の多くは大幅な下落リスクが拡大するところとなった。
クロス円「底値圏」の可能性を考える
8月にかけて主要なクロス円は軒並み大きく下落したが、基本的に52週MA前後で踏みとどまり、経験的にはあくまで一時的な下落に過ぎない可能性となっている。
本来、株価と順相関のクロス円が7月以降株高を尻目に「異例の下落」となった動きは、じつは米金利低下の影響があったようだ。ただ、その米金利も「下がり過ぎ」圏にあることからすると、上述の「一時的な下落に過ぎない」といった判断とも一致する。
米金融緩和見直しと新興国通貨のリスク
米金融緩和見直しが現実的になってきたが、これまでは、リーマン・ショック後の金融緩和見直し局面も含め、米国への資金還流により新興国、資源国の通貨下落リスク拡大となることが基本だった。
とくに、中長期の割高懸念が強い通貨は、その反動も重なり大幅な下落に向かう可能性に注意が必要だろう。
「パウエル発言」でなぜ米金利は低下したか
注目されたジャクソンホールでのFRB議長発言を受けて、米金利低下=米ドル下落となった。これは、米2年債利回りの短期的な「上がり過ぎ」反動の影響か。
今回の金融緩和見直しの確認といったことは、基本的には米金利上昇=米ドル高要因。短期的な行き過ぎを修正しながら、基本は米金利上昇=米ドル高か?
今週の豪ドル反発の理由と今後の焦点
先週、豪ドルは急落し、金利差からはかい離が目立ったが、今週は「ジャクソンホール待ち」となる中で反発する展開となった。これは、そのかい離の修正によるものではないか。
金利差とのかい離がほぼ是正され、ニュートラルな状態でパウエル発言を迎えることになる。当面の方向性は、金融政策を反映する米2年債利回りが、パウエル発言にどう反応するかが焦点か。
金相場下落リスク、もう1つの要因
金相場は最近、米金利との逆相関関係が強まっている。米金融政策転換への関心が高まっていることを受けた影響か。
とりわけ、「米金利上昇=金相場下落」の相関性が高い。これは、金がなお「買われ過ぎ」で、下落要因に過敏に反応しやすいことが基本か。
豪ドル/米ドルと豪ドル/円の「違い」
豪ドルの下落が最近にかけて拡大している。ただ、52週MAなど一部の指標との関係で見ると、対米ドルと対円ではその「意味」にかなり違いがありそうだ。
豪ドル/米ドルは下落トレンドへ転換した可能性があるが、豪ドル/円の下落はまだ一時的な可能性が残っている。以上からすると、当面の豪ドル売り戦略は米ドルに対してより有効と考えるのが基本ではないか。
早期テーパリングを見極めるマジック・ナンバー
7月FOMC議事録では、大半のメンバーがテーパリングの年内開始を支持していたが、8月以降デルタ株の影響への懸念が広がる中、果たして早期テーパリングは先送りされる可能性は出てきたのだろうか。
それを見極める上で、失業率に注目したい。「リーマン・ショック」後は失業率が過去10年の平均値を下回り改善する中でテーパリングが始まった。足元の失業率の過去10年MAは5.9%。これに対して8月失業率は今のところ5.2%とさらに大きく下回る予想となっている。
テーパリングまでの金利と為替のシナリオ
いわゆる「テーパリング」が年内にも開始される可能性が出てきた。かつて、「リーマン・ショック」後の金融緩和見直し局面では、テーパリング開始に向けて金融政策を反映する米2年債利回りが大きく上昇。今回も同様なら、米ドル高要因になる可能性がある。
ただし、米金利上昇を懸念し、株価が急落する場合は米ドル/円下落リスクにも注意。
豪ドル急落の「意外な理由」と今後の見通し
豪ドル急落が広がっている。興味深いのは、豪ドル安のきっかけが、時には米金利上昇、鉄鉱石暴落、中国株急落など様々なこと。豪ドルが下落リスクに敏感な証拠!?
経験的には、豪ドルが下落トレンドに入っているなら、一時的な反発は限られ、中長期的に一段安に向かう可能性が高そう。
米景気指標悪化でも米ドルが反発した理由
8月17日、米7月小売売上高が予想より悪い結果となったものの、米ドルは反発に転じた。先週金曜日の「ミシガン・ショック」以降米景気指標悪化が続いたが、米ドルもこれまでのところは「下げ渋り」の範囲にとどまっている。
米金利は、「ミシガン・ショック」以前から「下がり過ぎ」となっていた。このため、米金利低下を見込んだ米ドル売りの反動が入りやすくなっている可能性あり。
「コロナ後最強」南アランドの下値目途の考え方
南アフリカランド/円は、2020年から2021年にかけて4割以上も上昇、「コロナ後最強通貨」の1つだったが、最近にかけては急落が広がっている。
これは中長期的な「上がり過ぎ」懸念が強い中で、売り材料に過敏に反応しやすくなっていることが大きいだろう。

