より有効な豪ドル売りとは?

豪ドルの下落が広がっている。対米ドルでは年初来の高値である0.81米ドル程度から先週にかけて0.71米ドルまで、そして対円でも年初来の高値である86円近い水準から足元では78円割れまで下落、ともに最大下落率は1割前後まで拡大してきた。

では、この先も豪ドルの下落は続くだろうか。今のところそれは、対米ドルではその可能性が高まっているものの、対円ではまだ微妙といった具合に、先行き見通しが異なっている可能性がある。

最近にかけて大きく下落してきた豪ドルだが、対米ドルと対円では「違い」がある。その1つが、52週MA(移動平均線)との関係だ。前者、つまり対米ドルでは、豪ドルは52週MAをすでに1ヶ月以上といった具合に「長く」、そして5%以上といった具合に「大きく」下回ってきた(図表1参照)。こんなふうに、52週MAを「長く」「大きく」下回る動きは、経験的には一時的ではなく、数年に渡って続くといったトレンドとして展開している可能性が高い。

【図表1】豪ドル/米ドルと52週MA (2005年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

これに対して、対円での豪ドルは、足元で80円程度の52週MAをまだ先週、小幅に下回ったばかりに過ぎない(図表2参照)。今の段階では、豪ドル/円の下落は、少なくとも52週MAとの関係で見ると一時的な可能性が残っているといえそうだ。

【図表2】豪ドル/円と52週MA (2008年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

こんなふうに、豪ドルのトレンド判断において、対米ドルと対円で違いが出ているのは、もちろん米ドル/円相場の影響によるところが大きいだろう。2021年に入ってからの米ドル高・円安傾向が続くなら、豪ドルの下落も対米ドルより対円では限られる可能性があるということだ。

以上のように、米ドル高・円安が続くなどの前提条件付きではあるものの、豪ドルの下落リスクが続く場合、基本的にそれは対円より対米ドルが大きくなりそうだ。別な言い方をすると、豪ドル売りトレード戦略は、トレンド判断を参考にすると、対円より対米ドルの方が有効に機能する可能性が高いということではないか。