豪ドル/米ドルと豪ドル/円

先週急落した豪ドルだったが、今週は対米ドル、対円でともに反発する展開となった。主因は、金利差から見てさすがに「下がり過ぎ」となったことの修正が入ったということではないか。

豪ドル/米ドルは、先週それまで約1ヶ月続いた0.73~0.74米ドル中心の小動きを下落サイドにブレークすると一気に0.71米ドル割れ寸前まで急落した。長く続いた小動きで蓄積されたエネルギーが、小動きの終了に伴い発散されたことで一方向への大きな動きになったといったことではないか。

また、豪ドル相場に影響する鉄鉱石価格が8月に入ってから暴落していたこと、同じく影響する中国株の急落、一方で米金融緩和見直し思惑に伴う米金利上昇など、豪ドル売り・米ドル買い材料が重なったことがきっかけとなったと考えられる。

ただそんな豪ドルの急落は、上述のように金利差との関係で見るとかい離が目立つものだった(図表1、2参照)。今週は、27日予定のジャクソンホール会議でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言待ちで全体的に動意が低下する中で、金利差で裏打ちされなかった豪ドル安の修正が入ったということではないか。

【図表1】豪ドル/米ドルと豪米2年債利回り差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】豪ドル/米ドルと豪米10年債利回り差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

これは、豪ドル/円の場合も基本的な構図は同じだろう。豪ドル/円は先週78円割れまで急落したが、最近にかけての豪ドル/円と豪日金利差との関係からすると、豪ドル/円の80円割れは「下がり過ぎ」だ(図表3、4参照)。すでに見てきた豪ドル/米ドルの場合と同様に、ジャクソンホール会議待ちで動意が低下する中で、そんな行き過ぎの修正が入ったことが、今週の豪ドル/円反発をもたらしたということではないか。

【図表3】豪ドル/円と豪日2年債利回り差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表4】豪ドル/円と豪日10年債利回り差 (2021年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

さて、今週の豪ドル反発により、金利差とのかい離は基本的には是正されたようだ。その意味では、ほぼニュートラルな状態に戻ったところで「ジャクソンホール相場」を迎えることになりそう。ここで基本的な手掛かりになりそうなのは、「ジャクソンホール相場」のテーマが金融政策という意味では、金融政策を反映する豪米2年債利回り差と豪ドル/米ドルの関係ではないか。

ジャクソンホールのパウエル発言を「タカ派」と受け止めた場合は、米2年債利回りが上昇するだろうし、逆に「ハト派」との受け止め方になった場合、米2年債利回りは低下するだろう。それが当面の豪ドル/米ドルの方向性を決めることとなり、その影響で豪ドル/円の方向も決まる可能性があるだろう。