モトリーフール米国本社– 2025年12月2日 投稿記事より

ウッド氏、3銘柄を旗艦ファンドの「アーク・イノベーションETF」に新たに組み入れ

投資家たちがキャシー・ウッド氏の動向に注目し続けるのはなぜでしょうか?それは、アーク・インベストメントの創設者兼最高経営責任者・最高投資責任者である同氏が、革新的な企業や将来の勝者を見抜く目を持っているからでしょう。ウッド氏の旗艦ファンド「アーク・イノベーションETF」は、画期的な技術に焦点を当て、将来的に世界をより効率的で高性能な場所に変える企業を組み入れています。

しかし、ウッド氏はこうした企業であっても割高な水準では買わないことで知られています。むしろ、割安になっている局面や、長期的な成長性を踏まえて妥当と判断できるタイミングでの買い付けを狙います。ここ数日、ウッド氏は割安銘柄の物色に動き、割安な「マグニフィセント・セブン」2銘柄と、2025年初めのピーク時から60%下落したAI関連名柄を買い増ししました。これらすべての買付は2025年11月25日に完了しています。その内容を詳しく見ていきましょう。

1.メタ・プラットフォームズ[META]

ウッド氏はメタ・プラットフォームズ[META](以下、メタ)の株式を23,769株購入し、「アーク・イノベーションETF」の全48銘柄中で25番目に大きな保有銘柄となりました。このソーシャルメディア大手かつトップAI銘柄は、近年株式市場全体の上昇を牽引してきた「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるハイテク株の一角を占めます。現在、メタはこの中で最も割安な銘柄であり、予想将来利益の25倍という水準で取引されています。

多くの方がFacebookやInstagramといったソーシャルメディアアプリを通じて、メタを知っていることでしょう。メタは、これらのプラットフォームでの広告収入により、年間数十億ドル規模の収益を上げています。しかし、同社の次なる大きな成長機会はAI分野にあり、その目標の達成に向けて積極的に投資を進めています。

メタは人気のバーチャルアシスタント「Meta AI」をはじめとする自社のAIプラットフォームを支えるために、独自の大規模言語モデルを構築しました。同社はユーザーを自社のプラットフォームにより長く留まらせ、広告体験に革命を起こすことを目指しています。これらすべては、長期的な成長を後押しするための取り組みです。ウッド氏が最近メタ株を購入したことは、同氏がこうした将来性を高く評価しているためだと言えます。

2.アルファベット[GOOGL]

ウッド氏はアルファベット[GOOGL]の株式を113,276株購入し、同銘柄は現在「アーク・イノベーションETF」の保有銘柄中42番目に大きな保有株となっています。アルファベットもメタ同様、比較的割安なマグニフィセント・セブン銘柄で、予想利益の30倍という水準で取引されています。

また、メタと同様に、アルファベットはAI分野以外の事業で帝国を築いており、この事業、すなわちインターネット検索サービスは年間数十億ドルの収益を生み出しています。アルファベットは世界最大の検索エンジンであるGoogle検索を所有しており、Googleプラットフォーム全体での広告事業が、四半期ごとに安定した成長をもたらしています。

アルファベットはまた、Google Cloud事業により、AI分野でも巨大企業へと成長する可能性が高いといえます。同社は世界最大級のクラウドサービス提供企業であり、AIチップやAIシステムを求める顧客からの需要が急増しています。また、足元の成長と将来の拡大を見据え、インフラ整備を積極的に進めています。ETF内でのアルファベットの保有割合は大きくありませんが、今回の買い増しは、ウッド氏が同社のAI成長フェーズにおける飛躍の可能性を高く評価していることを示しています。

3.コアウィーブ[CRWV]

ウッド氏は2025年11月25日にコアウィーブ[CRWV]の株式358,999株を購入し、翌日さらに約10,000株を追加購入しました。現在、同株は「アーク・イノベーションファンド」の保有銘柄中31番目に大きな保有規模となっています。成長著しい新興企業を好むウッド氏がコアウィーブへの投資比率を高めているのは、驚くべきことではありません。

コアウィーブは2025年3月下旬に新規株式公開(IPO)を実施後、株価は300%超急騰しましたが、2025年6月のピーク時からは約60%下落しています。そのため、ウッド氏のようなAI関連の割安株を探している投資家にとって、今は魅力的な参入ポイントとなっています。

コアウィーブは「GPU-as-a-service(GPUaaS)」と呼ばれる比較的新しい分野で事業を展開しています。これは高性能AIチップであるグラフィックス処理ユニット(GPU)へのアクセス権を貸し出すビジネスです。主要なクラウドサービスプロバイダーも顧客にこの計算リソースへのアクセスを提供していますが、コアウィーブは特にAIワークロードに特化しており、高い専門性と独自性を持っています。まだ収益化に至っておらず、クラウド分野における競争や設備拡張に必要な投資を考慮すると、一定のリスクはあります。それでも、強い需要に支えられ、増収をもたらしています。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Adria Ciminoは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベットおよびメタ・プラットフォームズの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。