モトリーフール米国本社 – 2025年12月9日 投稿記事より
AIを巡る議論、「生成AI」から「エージェント型AI」へ
2022年末、OpenAIがChatGPTを発表したことで、人工知能(AI)関連技術への投資熱が沸騰しました。ユーザーは応答のリアルさに魅了され、現在では画像生成ツールなど、ユーザーを驚かせる数多くのアプリケーションが存在します。
これらは、生成AIアプリケーションとして知られています。大量のデータセットからパターンを探り、新たなものを創造する技術です。現在、人々がAIについて語る際、通常はこの生成AIを指しています。
しかし、AIをめぐる議論は生成AIからエージェント型AIへと移行しつつあります。これは投資の観点から見て、重要な意味を持つ可能性があります。
エージェント型AIでもハードウェア分野で勝者が生まれると予想
基盤となるAIモデルを開発する企業には潜在的な課題があります。それは、競争優位性を維持できない可能性があるということです。OpenAIはこの分野のリーダーであり、先駆者だと見なされていますが、共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマン氏は、アルファベット[GOOGL]急速な追い上げを受けて「コードレッド(警戒警報)」を宣言したと報じられています。
生成AI分野におけるより優れた投資対象は、ハードウェア層です。エヌビディア[NVDA]のグラフィックス処理装置(GPU)は、大規模データセットの処理に不可欠です。そのため、これらの製品への高い需要が同社の株価を大幅上昇へと導き、投資家に大きな利益をもたらしました。エージェント型AIの潮流においても、ハードウェア分野で勝者が生まれる可能性が高いでしょう。
ここで、エージェント型AI何かを理解しておく必要があります。生成AIは、ユーザーの入力する内容に応じてコンテンツを生成します。これに対し、エージェント型AIはユーザーの目標達成に向けて、より自律的かつ積極的に動作します。目標を複数のステップに分解し、問題解決に向けて取り組むのです。
もちろんエージェント型AIもGPUが提供する強力な処理能力を必要とします。しかし、この新たな潮流はメモリ製品によっても支えられます。要するに、AIエージェントはユーザーの代理として活動する際に、ユーザーに関する情報を記憶しておく必要があるのです。
エージェント型AIのハードウエア企業の勝者としてマイクロン・テクノロジー[MU]に注目
S&P500種指数の年初来の株価上昇率トップ5銘柄のうち4銘柄(ウエスタン・デジタル[WDC]、シーゲイト・テクノロジー・ホールディングス[STX]、マイクロン・テクノロジー[MU]、サンディスク[SNDK])がメモリ関連企業であることは偶然ではないでしょう。これらの企業は自社製品に対する前例のない需要を享受しています。そして、エージェント型AIはこの追い風を持続させうるとみられます。
特に、マイクロン株は注目に値するでしょう。同社経営陣によれば、需要が極めて高いため、2026年末までの供給分はすでに完売状態です。法人顧客は複数年にわたる供給契約の締結を模索しており、メモリ製品の逼迫ぶりがうかがえます。マイクロンは法人顧客に注力するため、消費者向け販売を停止する方針を決定したばかりです。
現在、マイクロン株の予想PERはわずか14倍です。しかし、この評価指標は、その名の通り「予想」に基づいています。アナリストがその機会を過小評価している可能性は十分にあるでしょう。実際、アナリストがその機会を深く理解するにつれ、予想は上昇を続けています。
この分野は周期的な変動が激しく、過去には利益が急落したこともあります。しかし、エージェント型AIは予想以上に長く、かつ予想を上回る水準でこのサイクルを持続させる可能性があります。生成AIのトレンドで複数のハードウェア企業が成功を収めたように、エージェント型AIのトレンドにおいても、ハードウェア企業の勝者が現れるでしょう。そして、このトレンドにおける有力候補の一つがマイクロン・テクノロジーなのです。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Jon Quastは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベットとエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。
