吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
毎営業日更新

メキシコ金融政策決定会合とペソとの関係
メキシコは本日4回連続利上げ決定が有力視されている。ただ為替相場との関係では、過去3回の利上げでも、メキシコペソ/円は高値圏で推移にとどまり、上昇は限られた。
利上げでもメキシコペソ上げ渋りの一因は、5年MAなどが示唆するように、すでに中長期的な高値限界圏に達しているため!?
米ドル/円 反落の理由と今後の見通し
米ドル/円は9日、久しぶりに113円割れへ反落した。短期的に「上がり過ぎ」懸念が強くなっていた米2年債利回りが先週にかけて急低下したことが主因か。
米2年債利回りは短期的な「上がり過ぎ」修正でさらに低下する可能性があり、その影響で米ドル/円も112円割れまで続落する可能性も!?他方、円売り拡大の反動から円買戻し圧力も強そうなため、米ドル/円反発余地はしばらく限られそう。
年内の円安はもう終わったのか?
先週、米金利は大きく低下。これは、短期的に異常なほどの「上がり過ぎ」の反動が主因か。
経験的に、「上がり過ぎ」修正を経た高値更新には予想以上に時間がかかる。その意味では、米金利高値更新に伴う米ドル/円の高値更新も予想以上に先になり、その結果年内の米ドル高・円安はすでに終了した可能性もある!?
主要通貨の対米ドル・ポジション総点検
2021年は全般的に米ドル高の進行が目立ったが、ただ対米ドルでの主要通貨のポジションは必ずしも一様ではなかった。
足元で対米ドルでの売り越しが大きいのは円、豪ドル。一方、ユーロ売り越しは小幅に過ぎず、英ポンドやNZドルは逆に買い越しとなっている。
雇用統計発表と円安の転換
2021年2回の円安の循環的ピークは、雇用統計発表前後のタイミングとほぼ重なっていた。これは、米ドル高・円安をリードした米金利上昇の「行き過ぎ」修正が、注目イベントの雇用統計発表をきっかけに本格化に向かったためではないか。
最近にかけて米金利は短期的な「上がり過ぎ」懸念が急拡大している。雇用統計発表がその修正本格化のきっかけになる可能性に注目。そして米金利低下となった場合、それに米ドルも追随するかが次の焦点。
FOMC後の金利と為替の行方について
3日のFOMCでは「テーパリング」開始が決まり、「コロナ・ショック」対応の超金融緩和政策は転換に動き出した。
ただ米金利のうち、とくに金融政策を反映する米2年債利回りは90日MAからのかい離率などで見ると、異常なほどに短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっている。このためその反動から、緩和政策の転換の中でも目先はむしろ金利低下に向かう可能性あり。
その場合、米ドル/円は下落リスクが試されそう。
豪・英の中央銀行も金融政策変更か?
3日のFOMCの前後に行われる2日RBA、4日BOEの会合でも、金融政策の変更の可能性について注目が高まっている。
まずRBAでは、債券利回りに上限を設定するYCC変更の可能性に注目。そしてBOEは実際に利上げが決定される可能性に注目が高まっている。世界的なインフレ懸念の拡大を受けて金融政策への関心が強まっており、為替相場への影響も要注意だろう。
豪州金利急騰と豪ドル高のリスク
豪州金利が先週後半急騰した。RBAの金利上限方針見直し思惑が急浮上したことがきっかけ。
豪ドル/米ドルもテクニカルに重要な分岐点にあることから、この豪州金利上昇の落ち着き次第で当面のトレンドを左右する可能性あり。
トルコリラ最安値更新の理由と今後の行方
「物価の番人」であるトルコ中央銀行は、エルドアン大統領からの一段の圧力により、ほとんど独立性を失った。インフレ、モノの価値の上昇がコントロールできない状況の中では、相対的に通貨価値の下落もコントロール出来ないだろう。
トルコリラ/円は、90日MAからのかい離率がマイナス10%以上に拡大し、短期的な「下がり過ぎ」懸念が強まり自律反発する以外、当面下げ止まる理屈は考えにくい。
「一時的」米ドル安・円高の下限はどこか
米ドル/円急騰が一服する兆しとなってきた。では急騰の反動として、基本的に「一時的」米ドル/円下落なら、どの程度まで見込む必要があるのか。
52週MAで考えると、109円前後までもありうるが、日米金利差との関係で考えると、112円割れ程度までがせいぜいか。
米ドル/円の短期のシナリオ、中長期のシナリオ
米ドル高・円安は、短期的には米金利「上がり過ぎ」で一段落する可能性あり。
一方中長期的には、米金融緩和政策転換に伴う米金利上昇に連れて、120円以上の「行き過ぎ」と言える米ドル高・円安に向かう可能性あり。
対米ドルのユーロ高、豪ドル高の分岐点
短中期中心に米金利が急騰する中、対円での米ドル急騰は分かりやすかったが、ユーロや豪ドルに対してはむしろ金利と逆行する形での米ドル安が広がった。
こういった中で、とくに豪ドル/米ドルは52週MAまで豪ドル高・米ドル安に戻ってきた。経験的には、一時的な豪ドル高なら最終局面、逆にさらに豪ドル高が広がるようなら、豪ドル高・米ドル安へトレンド転換した可能性が出てくるといった分岐点を迎えた可能性。
円安終了は近いのか、2015年との類似と相違
円の総合力を示す指標の1つである実質実効相場が2015年以来の水準まで下落してきた。2015年は、この実質実効相場を引用した黒田日銀総裁の「さらなる円安はない」との発言をきっかけに円安は終了した。
実質実効相場はそんな2015年以来の水準まで下落してきたが、5年MAからのかい離率などで見ると当時と最近は大きな差があり、今回は中長期的な円安余地がまだありそう!?
続・なぜ米ドル高は対円以外では進まないのか?
短中期中心に米金利が上昇する中で、対円では米ドル一段高となったが、円以外の通貨に対してはむしろ最近にかけて米ドル反落となった。
これは、約6年ぶりにWTIが80米ドル以上に上昇するなど、世界的な関心を集める原油高が影響し、為替相場もある意味で「原油本位制」の構図となっている可能性がある。
ユーロ/円、豪ドル/円、クロス円急騰の行方
最近にかけてユーロ/円や豪ドル/円など主要なクロス円も一段高となった。これは、基本的には金利差拡大へのキャッチアップ。
この金利差拡大の主因は、独や豪州の金利上昇だったが、これは「世界一の経済大国」である米国の金利上昇との連動と考えるのが基本。その意味では、クロス円の行方を決める「影の主役」は米金利の可能性あり。
なぜ米ドル高は対円以外では進まないのか?
米金融政策を反映する米2年債利回り上昇に連動し、対円では米ドル一段高となった。ただ、円以外の通貨では米ドル上げ渋り、むしろ反落となっているケースもある。
ユーロや豪ドルは、米金利上昇=米ドル高より、米国株高などリスクオンで米ドル売り・ユーロや豪ドル買いになっている可能性があるが、さらに続くかは微妙!?
今は「悪い円安」なのか
最近にかけての急ピッチの円安について、日本経済に悪影響の大きい「悪い円安」との見方もあるようだ。ただこの米ドル高・円安は、少なくともこれまでは米超金融緩和政策の転換を反映したといった意味で、ファンダメンタルズを反映した結果といえそうだ。
円安の物価上昇への影響を懸念する見方もあるが、米国などと比べてなお低い日本のインフレ率の状況からすると、それは時期尚早ではないか。
円安が114円を超えて「少し気になる」こと
米ドル高・円安が止まらなくなってきた。ただ他方で、米国の物価上昇などを主因に、日米の購買力平価は、基本的に下落(米ドル安・円高)が続いた。
日米の消費者物価で計算した購買力平価は足元で112円程度。それを大きく超え始めた米ドル高・円安は、経験的には「行き過ぎた」米ドル高・円安の可能性がある。
急に円「独歩安」となったのはなぜか?
今週に入り円はいわゆる「独歩安」が急拡大した。この原因について、米国などに比べた日本の金融緩和政策転換の遅れの可能性や原油急騰などが取り沙汰されている。
ただそれらは、ここに来て急に起こったことではない。今週にかけての新たな「ある変化」により、そのような円売り材料に過敏になったということが重要ではないか。
金利差からかい離する米ドル高・円安
今週にかけて対円で米ドル一段高となったが、これは対ユーロなどと比べても、金利差からのかい離が目立った。
113円を超える米ドル高は2018年以来であることから、金利差などで正当化される水準から勢い余って米ドル「上がり過ぎ」となっている可能性もあり!?