吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
毎営業日更新
【為替】期末の円買い「レパトリ」拡大の可能性
日本企業の決算期末前である3月には外遊資金引き揚げに伴う円買い、通称「レパトリ」が増えやすい。ただ、この「レパトリ」は当然、為替相場水準の影響を大きく受ける。歴史的米ドル高・円安水準で推移するなら、「レパトリ」円買いが急増する可能性もあるだろう。
【為替】米ドル高・円安はおわったのか?
米ドル/円は1月に入ってから148.8円まで上昇したが、1月31日には146円割れ近くまで反落した。米ドル高・円安はもう終わったのか、それともまだ続いているかの見極め方について今回は確認してみたい。
【為替】「黒田シーリング」を超えてきた円安
円の実質実効レートの5年MAかい離率が、2023年11月にマイナス22.49%まで拡大。2015年6月のいわゆる「黒田シーリング」発言直前、5月のマイナス22.13%を今回の円安局面で初めて超えた。限界的円安水準という意味の「黒田シーリング」を超える円安になってきた可能性があるのではないか。
【為替】米2年金利で考える利下げのシナリオ
米インフレは比較的順調に進んでいると見られるものの、一方で米景気は予想以上に強い状況が続き、米国株も最高値圏での推移が続く中で、金利市場の早期利下げ見通しが見直しを迫られている。
ただし、金融政策を反映する2年債利回りの値動きを参考にすると、さすがに利上げが再開されることはなく、5~12月頃には利下げが行われる可能性が高そうだ。
【為替】急減速しない米景気と米ドル高の関係
米景気に急減速の兆しが見られないが、「米金利上昇=米ドル高」はまだまだ続くのか。5年MAかい離率などで見ると米ドル高・円安が循環的な限界圏にある中では、それにも自ずと限りがあるのではないか。
現状は、「米景気急減速=米金利低下再燃」という米ドル下落の手掛かりが得られず、米ドル高値限界圏での推移が長引いているということではないか。
【為替】米ドル高が限られたトランプ時代・後編
トランプ大統領誕生を受けた米ドル急騰の「トランプ・ラリー」。ただ、結果的にトランプ政権の4年間で、米ドルはこの「トランプ・ラリー」の高値を大きく上回ることはなかった。
それは、トランプ大統領の財政・金融政策が米ドル高を目指すものではなかったためだろう。
【為替】米ドル高が限られたトランプ時代・前編
トランプ前大統領が、共和党候補として大統領選挙に出馬する可能性が高くなっている。そこで、参考までに2017~2020年のトランプ政権時代の為替と金利の主なエピソード、「トランプ・ラリー」「悪い金利上昇」「予防的利下げ」という3つのテーマについて、前後編2回で振り返ってみたい。
【為替】中国株安阻止と米ドル/円との関係
中国が低迷の続く株式相場の下支え策を近く発表する見通しのようだが、マーケットの不信感が強いため、今のところ効果には懐疑的な見方が強いとされている。
そのような見方に反し、中国株安が一段落する可能性があるとしたら、それはすでに短期的な「下がり過ぎ」懸念が強くなってきたことが手掛かりになるかもしれない。
中国株安に歯止めがかかった場合の米ドル/円への影響について考察してみる。
【為替】大幅な金利差と米ドル高・円安の「行き過ぎ」
日米間の大幅な金利差が、金利差からかい離した米ドル高・円安をもたらし、また相対的に小幅な金利差の通貨ペア以上に値動きが大きくなることでも、「行き過ぎた動き」となりやすくなっている点について検証してみた。
【為替】米ドル/円の「日銀相場」を検証する
1月23日は日銀の金融政策発表が予定されている。日銀要因では、米ドル/円は大きく動くパターンがこのところ目立っていた。
ただ、少し細かく分析してみると、日銀の米ドル/円への影響は極めて限定的のようで、理屈抜きでボラティリティ狙いの投機的イベントの代表例になっている可能性がある。
【為替】「一時的」なのは円高か?それとも円安か?
米ドル/円は、2023年12月に140円まで下落したが、最近にかけて148円まで反発してきた。
米ドル/円の140円までの下落は一時的だったのか、それとも148円までの反発の方が一時的なのかについて今回は考えてみる。
【為替】通貨当局の「円安懸念」を考察する
米ドル/円が、過去5年の平均値である5年MA(移動平均線)を2割以上と大幅に上回ってきた。2022~2023年の場合、5年MAから2割を超えて米ドル高・円安が進むと通貨当局は円安けん制を強める傾向があった。
結果的に米ドル売り・円買い介入を実施した2022年に対し、2023年に介入は行われなかった。株高局面の円安に対しては、通貨当局も寛容になった可能性がある。
【為替】伸び悩んだ円高と米景気の関係
年明け以降、米金利が「下げ渋り」、それを受けて米ドル安・円高も足踏みとなった。
米金利「下げ渋り」の主因は、米景気について「急減速」の兆しが未だ確認できないことだろう。2023年10~12月期の米実質GDPも2%程度といった「緩やかな減速」にとどまる見通しになっている。
【為替】新NISAと円安の関係を考える
新NISAにより、対外証券投資の買い越しは年数兆円規模で拡大するとの見方もある。それは円相場にはどのような影響となるか。
結論から言うと、すでに外貨の割高懸念が強い中で、さらなる外貨高・円安をもたらすものではないのではないか。
【為替】影響力増す金利差狙いのFXトレード
日本と諸外国の間の大幅な金利差が続く中で、その収益機会を強く意識し、外貨買い・円売りポジションをとるFXトレードが増えている。この取引は絶対的に大幅な金利差が大前提となっているため、時には金利差からかい離した円安をもたらすこともある。
一方で、この取引の最大のリスクは円高。円高が大きく進む可能性が出てきた場合は、ポジションの解消によって金利差で説明できる範囲を超えた円高が起こるリスクもある。
【為替】為替調整に日米金融政策協調という発想
当面の金融政策について、米国が利下げ、日本が緩和見直しと逆方向を指向していることが過度の米ドル安・円高を招くとして、果たしてそれは懸念要因だろうか。
かつては、日米の金融政策を協調的に行うことで、行き過ぎた相場の是正といった為替調整の促進を目指した例もあった。代表例として1995年7月「日米七夕協調」を振り返る。
【為替】「円安再燃=日銀主因説」は誤解なのか
2023年12月に140円割れ寸前まで米ドル安・円高となったが、年が明けると一転して、一時146円近くまでの米ドル高・円安となった。
米ドル以外の通貨に対しても円安再燃が目立ったことから、能登半島地震などの影響による日銀の大規模な金融緩和見直し先送り思惑が主因との指摘もあるが、それは違うと考える理由を確認する。
【為替】1年前の類似相場となった米ドル/円
「米ドル/円の新年相場は、前月までの急落から一転反発に転じると、注目の米雇用統計発表までに4円以上も上昇した。NFP(非農業部門雇用者数)は予想より強かったが、間もなく米ドルは急反落となった-」。
これは先週ではなく、1年前の2023年1月第1週の為替市況を述べたものだ。こんなふうに確認が必要なほど、実は米ドル/円の2024年の新年相場は1年前とよく似ていた。