AI半導体&データセンター機器 業界マップ2025

注目ポイント

・一般企業の本格活用で生成AI需要がさらに拡大

・クラウド大手がデータセンターに継続投資

・米国のAI国家戦略「AIアクションプラン」も追い風

【図表1】AI半導体業界マップ
売上高や純利益などは2024年度または2025年度の実績、各社発表資料、各種情報よりまとめ
出所:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
【図表2】サーバー・ネットワーク機器業界マップ
売上高や純利益などは2024年度または2025年度の実績、各社発表資料、各種情報よりまとめ
出所:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

2025年8-10月期決算エヌビディア決算概要:売上高と純利益は四半期ベースの過去最高を更新

【セレクションポイント】

・AI半導体の世界最大手、1強体制を構築
3Dグラフィックスなどの画像を処理する半導体プロセッサー、GPU(画像処理装置)の世界最大手。膨大な演算処理を必要とする人工知能(AI)のディープラーニングには高性能なGPUの並列計算能力が不可欠で、エヌビディアは圧倒的な開発力という武器でAI半導体の分野で1強体制を築いた。

・新製品の継続的な投入で優位性を維持
CPU(中央処理装置)大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ[AMD]がGPUでプレゼンスを高め、テック大手がAI半導体の開発に力を入れる中、エヌビディア[NVDA]は継続的に性能を改善した新製品を投入する計画。2026年には次世代半導体の「ルービン」、2027年後半には飛躍的に処理性能を高めた「ルービンUltra」、2028年には次世代半導体の「ファインマン」と年に1度、新型のAI半導体を投入する。絶え間ない性能の向上で競合を突き放し、独走体制を維持する方針。

・AI半導体の生態系構築で顧客を囲い込み
エヌビディアは顧客がGPUを画像処理以外の用途に活用するためのソフトウエアとしてCUDA(クーダ)を提供する。GPUを汎用計算に活用するためのプログラミングにはCUDAのツールなどが便利だが、CUDAを使った開発環境はエヌビディア製品だけに対応するため、効率性を考慮した顧客はエヌビディアの生態系に組み込まれる。顧客の囲い込みを通じ、ライバルの参入を阻むのが狙い。

・台湾セミコンダクターとの蜜月で競争力
半導体のファブレスメーカーとして開発・設計に特化し、製造は世界最大のファウンドリーである台湾セミコンダクター[TSM]に委託する。台湾出身のジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が台湾セミコンダクターと築いた蜜月関係も強みで、製品の安定供給や競争力に反映されている。

・データセンター事業が持続的に成長へ
AIは生活やビジネスにさらに浸透する見通しで、テック大手はAIデンターセンターの拡充に向けた投資を継続する方針。処理性能の高いエヌビディアのGPUに対する需要が一段と高まると予想される。

【図表3】通期の業績推移、セグメント別営業利益の推移
出所:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

【業績動向】

・2025年8-10月期決算は売上高が前年同期比62%増の570億600万ドル、純利益が65%増の319億1000万ドル。ともに市場予想から上振れた。データセンターで使うGPUに対する需要が継続的に増加する中、売上高と純利益は四半期ベースの過去最高を更新した。

・非GAAP(米国会計基準)のEPSは1.30ドル、市場予想の1.25ドルから上振れ。

・市場別の売上高はデータセンター部門が66%増の512億1500万ドルとけん引した。大規模言語モデル、レコメンドエンジン、生成人工知能(AI)、AIエージェントなどの開発に使うプラットフォームへの需要が拡大した。最先端の半導体「ブラックウェル(ブラックウェルUltraを含む)」の販売が好調で、ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は「とてつもない水準」と形容した。

・ゲーム部門の売上高は30%増の42億6500万ドルで、プロフェッショナルデザイン部門は56%増の7億6000万ドル。ともにブラックウェル製品の販売が増えた。自動車部門の売上高は自動運転分野での採用増加を背景に32%増の5億9200万ドルに伸びた。

出所:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ作成
出所:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ作成

【ガイダンス】

・2025年11月-2026年1月期の売上高を650億ドルの前後2%と予想。市場予想の610億1200万ドルを大幅に上回る水準。

・GAAPの粗利益率を74.8%の前後0.5ポイント(計算では74.3-75.3%の範囲)、非GAAPの粗利益率を75.0%の前後0.5ポイント(計算では74.5-75.5%の範囲)と予想。非GAAPでは下限でも市場予想の74.4%を上回る。

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