過去5回の米ドル安・円高トレンドを検証

米ドル/円の上げ渋りが目立ってきた。1990年以来、約32年ぶりの米ドル高・円安となった動きは、10月21日の151円でピークを打ったのか(図表1参照)。仮に、米ドル高・円安が終わり、既に米ドル安・円高トレンドへの転換が始まっているなら、今後どんなシナリオが考えられるだろうか。

【図表1】米ドル/円の推移(1980年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

この20年あまりの中で、代表的な米ドル安・円高トレンドは5回あった(図表2参照)。米ドル安・円高トレンドの継続期間は、最短で1年、最長で4年4ヶ月だった。これをもとに、2022年10月の151円をスタートとする場合で考えると、今回の米ドル安・円高は最短でも2023年10月まで続き、最長なら2027年以降まで続くといった計算になる。

【図表2】主な米ドル/円のトレンド(1998年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

次に、米ドル安・円高トレンドでどれだけ米ドルが下落するかについて考えてみる。上述の過去5回の米ドル安・円高トレンドにおいて、米ドル下落率の最小は約14%、最大は約40%だった(小数点以下を四捨五入)。これを、151円から米ドルが下落すると仮定すると、90~130円という計算になる。

以上を整理すると、すでに現在米ドル安・円高トレンドが始まっている場合、過去の経験を参考にすると、最短でも2023年10月にかけて130円までこのトレンドが続き、最長なら2027年にかけて90円まで続く可能性があるといった見通しになる。

ただ、これまで見てきた最長、最短は極端なケースということにもなる。そもそも、過去5回の米ドル安・円高トレンドでは、継続期間が2年未満で、米ドル下落率が2割未満となったケースは一度もなかった。その意味では、米ドル安・円高トレンドが展開する場合、最低でも2年以上続き、その中で米ドルは2割以上下落すると考えるのが基本シナリオということになるのではないか。

2022年10月の151円から米ドル安・円高トレンドが始まっていると仮定するならば、上述のようにそれが2年以上続き、その中で米ドルが2割以上下落することになる。この場合、2024年以降にかけて続き、その中で120円以下まで米ドル安・円高に戻るといった計算になる。