高市政権の「積極財政」期待で銀行株に追い風

衆議院選挙で、高市首相が率いる自民党が圧勝した。株式市場では「責任ある積極財政」の推進により、日本経済の拡大が進むとの期待感で日経平均株価が最高値圏で推移している。

国内景気が拡大すると、企業では設備投資が増え、個人では賃金上昇を通じて住宅需要の伸びにつながる。銀行にとっては資金需要が伸び、金利が上昇傾向にあることで利ザヤが改善し、収益改善が進んでいる。株式市場では国内に多くの拠点があり、海外にも展開しているメガバンクグループへの関心が高い。株価も順調に推移している。半導体などのハイテク株に比べてPER(株価収益率)も低いことから、「バリュー株」として評価されている。

メガバンクから地銀へ、波及する「見直し買い」の動き

こうした流れが地方銀行株にも波及している。地銀株は人口減少や地方経済の停滞などでデフレ時には低い評価が一般的だった。一方、地銀の再編が進み、経済拡大の恩恵が地方にも及び始めていることで、地銀株に見直し買いが入っている。メガバンクに比べPBR(株価純資産倍率)が相対的に低く、配当利回りが高い銘柄が少なくないことも評価される要因となっている。市場では直近では機関投資家も地銀株を購入しているとの見方も出ている。こうした流れを受けて、地銀株は押しなべて株価が上昇基調にある。

ただ、地銀は72社が上場しており、そのすべてが魅力的というわけではない。地銀株を選別するにあたっては、まず、事業規模が重要になる。アナリストは「銀行業は店舗網やシステムに大きな投資が必要で、一種の装置産業。事業規模が大きいほど固定費負担率が低くなる」としている。つまり、規模が大きい方が売り上げの伸びが利益に結び付きやすいというわけだ。また、人口の多い地域に拠点があるか、ないしは拠点地域で圧倒的な強みを有している銀行などが有望とみられる。

配当取りも意識、注目したい主要6銘柄をピックアップ

3月期末が近づくにつれ、配当取りの動きも出てくるとみられる。主要な地方銀行株をピックアップする。

ふくおかフィナンシャルグループ(8354)

傘下に、福岡県で預金シェア首位の福岡銀行のほか、長崎県首位の十八親和銀行、熊本県2位の熊本銀行、福岡中央銀行などを擁している。2025年3月期末の総資産は32.3兆円と地銀首位。地銀の中でもいち早く業界再編に取り組み、規模を拡大してきている。ネット専業銀行「みんなの銀行」も展開している。2026年3月期は貸出金利息の拡大もあり経常利益は連続最高益へ。九州は「シリコンアイランド」とも呼ばれる。半導体関連ビジネス強化のため専門チームを置くなど融資獲得を推進。配当性向は40%程度をメド。

【図表1】ふくおかフィナンシャルグループ(8354)週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月19日時点)

横浜フィナンシャルグループ(7186)

地銀最大規模の横浜銀行と東京地盤の東日本銀行が2016年に統合して発足。2023年に神奈川銀行を完全子会社化。資金需要の拡大や貸出金利の上昇などで業績は好調。経常利益は連続最高益。連続増配。2027年3月期も続伸が既定路線。2026年3月末まで上限3700万株(300億円)の自社株買いを実施中。

2026年1月に金融機関向けのソフトウエアなどを手掛けるMILIZE(ミライズ)の株式を取得し、持ち分法適用会社にしたと発表している。人工知能(AI)やアプリの開発を推進し、グループのデジタル分野強化を図る。また、MILIZEの株式新規公開(IPO)を進める方針。

【図表2】横浜フィナンシャルグループ(7186):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月19日時点)

めぶきフィナンシャルグループ(7167)

傘下に地銀大手の常陽銀行と足利銀行。茨城県と栃木県でシェアトップ。2025年3月期の純利益は582億円で、2016年10月の経営統合後の最高益を更新している。今期も連続最高益が有望。中期経営計画では2028年3月期にROE9%以上、当期純利益900億円以上を目標としている。「金融正常化に伴う利益成長に向けた適切なアセットアロケーション」などに取り組んでいる。

【図表3】めぶきフィナンシャルグループ(7167):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月19日時点)

第四北越フィナンシャルグループ(7327)

新潟県で首位の第四銀行と同2位の北越銀行が統合して発足。2027年4月に群馬銀行(8334)との経営統合で合意している。群馬銀は預金・貸出金ともに県内シェア35%程度で首位。共同持ち株会社の傘下に、両行を置く形となる。両行の単純合計での利益は地銀有数。営業エリアがほぼ重複しない。勝ち組同士の統合で、スケールメリットを享受し、収益力の強化を図る。PBR1倍前後。

【図表4】第四北越フィナンシャルグループ(7327):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月19日時点)

八十二長野銀行(8359)

長野県内で圧倒的首位の八十二銀行が2023年6月に県内2番手の長野銀行を統合。2026年1月に合併して発足している。店舗網の統廃合やノウハウ共有による業務の拡大を図る。2028年3月期には58億円の相乗効果が生じると見込んでいる。2026年3月期は合併関連費用をこなして最高益の見通し。経営統合を機に株主優待制度を導入。500株以上の保有株式数に応じてクオカードや長野特産品のカタログギフトなどを贈呈。PBRは0.9倍。

【図表5】八十二長野銀行(8359):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月19日時点)

北洋銀行(8524)

北海道が地盤。道内貸し出しシェアは約3割。資金量では第二地銀でダントツの首位。地銀全体でも上位。1998年に経営破綻した北海道拓殖銀行の道内営業権を譲り受けた。2014年に公的資金を完済。北海道で次世代半導体の量産を目指すラピダスに出資意向との報道。融資面の貢献にも期待感。2027年度の量産目標。第2工場の計画も進む。

【図表6】北洋銀行(8524):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年2月19日時点)