米雇用統計の悪化が懸念材料として台頭

先週のストラテジーレポート(3月6日付マーケット自身が示す値ごろ感』)で述べた通り、日本株市場は自律的に落ち着きどころを探る動きがでていた。しかし、先週末の米国市場で新たな懸念材料が台頭したため、海外時間の日経平均先物は急落し、一段と下値を探る展開となった。7日早朝の大阪夜間取引で日経平均先物は前日の清算値と比べ1710円安い5万4020円で終えている。

上述した米国市場の新たな懸念とはスタグフレーションのリスクだ。6日に発表された米国の雇用統計で非農業部門就業者数は9.2万人の減少だった。5万-6万人の増加を見込んでいた市場予想は大きく裏切られた格好となった。直近3ヶ月平均の伸びも6000人にとどまる。コロナ禍だった2020年を除けばリーマン危機の2008-09年以来の落ち込みだ。

しかし、これはある程度、予見されていたことである。僕は2025年の10月24日付レポートこの先の株価上昇を阻む未だかつて経験したことのない巨大なリスクで、AIによって仕事が奪われるリスクを指摘したが、それがようやく統計に表れ始めたということだろう。目立って失業や解雇は増えていないが、そのかわりに新規採用も抑制されている。AIがなんでもやってくれるのだから、新たに人を雇う必要は薄れる。今後はもっと段階が進んでリストラが増えていくだろう。

原油価格の上昇でインフレ再燃リスクが浮上

米国の雇用は悪化する一方、イランとの戦争で原油価格が上がりインフレが再燃するリスクがある。そうなればスタグフレーションになりかねない。FRB(米連邦準備制度理事会)は難しいかじ取りを強いられるだろう。市場はそれを嫌気して下げたのだ。

今週の日本株市場は、原油価格の動向にナーバスになり、下値を模索する展開が続く公算が大きい。ホルムズ海峡の実質的な封鎖懸念から原油価格が急騰しており、エネルギーの輸入依存度が高い日本経済への悪影響が強く意識されている。足元では日経平均が25日移動平均線を明確に割り込んでおり、短中期投資家の含み損益悪化によって相場全体の買い余力が急速に削がれている。

そこに米国の景気とインフレの問題が重なり、さらにプライベート・クレジットの不安材料も加わる。一気にリスク回避ムードが強まるだろう。

慎重なスタンスで相場の転換点を待つ局面

週末にはメジャーSQの算出を控えており、そうしたリスクオフの流れのなかで投資家の様子見姿勢は一段と強まりやすい。米国で3月11日に発表予定の消費者物価指数(CPI)などの経済指標も注目されるが、インフレに直結する原油価格の動向が不透明なため、過去のCPIは相場の材料にはあまりならないだろう。原油相場の落ち着きを見極めるまでは、慎重なスタンスで相場の転換点を待つ局面である。

予想レンジは相当下値を見て5万1000円-5万6500円とする。