司法書士、弁護士、税理士、行政書士、スムーズな相続手続きに適した専門家は?
家族が亡くなったとき、私たちは悲しみの中で多くの手続きを進めなければなりません。
そのひとつが「相続手続き」です。しかし、実際に何をどう進めればいいのか、誰に頼ればいいのか、迷う方も多いのではないでしょうか。
相続手続きは、自分でもできるものもありますが、専門知識が求められる場面も多く、専門家に依頼する方がスムーズに進むでしょう。では、司法書士、弁護士、税理士、行政書士、どの専門家に依頼するのがベストなのでしょうか。今回は、それぞれの特徴を比較しながら紹介します。
そもそも相続手続きとは何か?
相続手続きとは、亡くなった人(被相続人)の財産や権利義務を、相続人が受け継ぐための一連の作業を指します。不動産の名義変更(相続登記)、銀行口座の解約・名義変更、遺産分割協議、相続税の申告など、やるべきことは非常に多岐にわたります。
また、不動産が含まれる場合には相続登記が必要になります。2024年からは相続登記が義務化され、3年以内に手続きをしなければ過料が科される可能性もあります。手続きの煩雑さや義務化に伴う期限を考えると、時間のない場合には専門家の力を借りるのも選択肢のひとつです。
「司法書士」相続登記・書類作成が強み、トラブル等には対応不可
実際に相続手続きを依頼できる4つの士業について、順番に解説します。
まず司法書士は、不動産・法人の登記手続きの専門家です。相続においては、不動産の名義変更(相続登記)を中心に、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、預貯金・有価証券等の手続きなどにも対応しています。また、法人を経営されている方が亡くなった場合には、役員変更登記が必要になる場合もありますが、その分野も司法書士が対応可能となります。
【司法書士の特徴】
・不動産登記・法人登記の専門家
・相続手続きに必要な戸籍収集や遺産分割協議書作成など、煩雑な事務作業をサポートできる
・銀行や証券口座、他の金融資産の相続手続きも依頼できる
【留意点】
・相続人同士の争いには対応できないため、調停・裁判は弁護士に依頼が必要
・相続税の申告や節税対策には対応できないため、税理士に依頼が必要
【司法書士が向いているケース】
・不動産や法人の登記手続きが必要な場合
・相続人同士で争いがない場合
・金融機関等の手続きを迅速に進めたい場合
「弁護士」トラブルや裁判対応に強み、高額になるケースに留意
弁護士は、法律トラブルの専門家です。相続では、遺産分割を巡る争いごと、遺留分の請求、遺言無効の訴訟などに対応できます。
【弁護士の特徴】
・相続人間での争いに強く、代理人として交渉・調停・訴訟を行える
・法的トラブルを未然に防ぐアドバイスが可能
・遺言書の無効主張、遺留分侵害額請求など、複雑な問題にも対応
【留意点】
・着手金と成功報酬費用を支払うため、高額になる場合も
・不動産登記や金融機関等の実務手続きは対応していない場合がある
【弁護士が向いているケース】
・相続人間で深刻な対立がある場合
・遺産分割協議がまとまらない場合
・遺言書の内容を巡る争いがある場合
「税理士」相続税申告や節税対策が強み、税金以外の手続きは対応不可
税理士は、税金の専門家です。相続においては、相続税の申告や節税対策を担当します。
【税理士の特徴】
・税理士のみ、相続税の申告代理ができる
・節税のアドバイスを受けられる
・生前贈与など事前対策も相談できる
【留意点】
・登記や争いごとなど、税金以外の手続きには対応できない
・相続税が発生しない小規模な相続では依頼の必要がないことも
【税理士が向いているケース】
・相続財産が大きく、相続税が発生する場合
・節税対策を考えたい場合
・相続税申告期限が迫っている場合
「行政書士」各種書類の収集・作成が強み、不動産登記などは対応不可
行政書士は、書類作成の専門家です。相続においては、遺産分割協議書や各種書類の収集・作成をサポートします。銀行や証券口座の相続手続きも依頼できます。
【司法書士の特徴】
・戸籍収集や遺産分割協議書作成を依頼できる
・銀行や証券口座、その他の金融資産の相続手続きを依頼できる
【留意点】
・不動産登記や法人登記はできないため、司法書士に依頼が必要
・裁判や争いの代理はできない
・相続税の申告もできない
【行政書士が向いているケース】
・戸籍収集や遺産分割協議書の作成だけ依頼したい場合
・金融機関等の手続きが必要な場合
依頼内容にあわせて複数の専門家を頼ろう
相続手続きに必要なサポートは、相続の内容によって変わります。相続手続きの内容によっては、司法書士+税理士、もしくは弁護士+司法書士といったように複数の専門家に依頼することもあります。特に不動産相続と相続税申告が絡む場合は、ワンストップで対応できる事務所を選ぶとスムーズに手続きを進められるでしょう。
