多くのAI関連銘柄は、すでに世界を変えたかのような前提で株価が評価されています。しかし、ここで取り上げた5銘柄はそうではありません。過度な期待やバブル的なバリュエーションに疲れている投資家にとって、このリストは参考になるでしょう。
モトリーフール米国本社 – 2026年3月3日 投稿記事より
AIブームの主役ではないが注目したい5銘柄
筆者はこれまで人工知能(AI)関連銘柄に対して懐疑的な立場をとってきました。それはAI技術そのものを疑っているからではなく、このセクターが行き過ぎたバリュエーション、資金調達バブル、そして率直に言って過度な期待に満ちていると考えているからです。
とはいえ、以下で紹介する銘柄はAIインフラの真の基盤を担う企業であり、長期的に大きな資産を築く可能性があると考えています。忍耐強く、ボラティリティを許容できる投資家にとって、現在はまだあまり注目されていないこれらAI関連の基盤企業が、将来的に高いリターンを生み出す可能性があります。
筆者がこれらの銘柄を選んだ理由は、AIブームの象徴的な存在ではないからです。むしろそこが重要なポイントです。最初の2銘柄は現代のデータセンターの「頭脳」を支える配線や基盤を担う企業であり、あとの3銘柄はAIを企業業務のワークフローやそれを支えるデータ層へとより深く浸透させていく役割を担っています。この5銘柄はいずれも、市場を上回るリターンを生み出す力を持っていると考えられます。
1.スーパー・マイクロ・コンピューター[SMCI]
スーパー・マイクロ・コンピューター [SMCI](以下、スーパーマイクロ)は、AIブームを支える「基盤インフラ」を担う企業です。同社は一般にスーパーマイクロの名称で知られており、ハイパースケーラーや企業がAIクラスターに使用する、高性能でGPUを高密度で搭載したサーバーやラックスケール・システムを開発・製造しています。AI向けデータセンターへの投資が急増する中で、新しいラックが設置されるたびに、スーパーマイクロが得意とする液冷式で電力効率の高い設計が必要になります。
筆者の仮説はシンプルです。AI関連の設備投資は、単にGPUを購入する段階から、データセンター全体のスタック(電力、冷却、密度など)を最適化する段階へと移行しつつあるという点です。エヌビディア[NVDA]をはじめとするカスタムアクセラレータ向けに迅速にカスタマイズできるスーパーマイクロの能力は、すでに堅調な売上高の成長につながっています。
スーパーマイクロの株価は、そのボラティリティの大きさを物語っています。経営陣はAIサーバー関連で年間数百億ドル規模の売上高を見込むガイダンスを示しているものの、投資家が利益率の圧迫、決算未達、そして競争の激化といった要因を織り込み始めるにつれ、株価は過去1年間でおよそ40%~50%下落しました。
しかし、このような投資家心理の悪化と、依然として非常に大きい最終需要(エンドマーケット需要)の組み合わせは長期投資家にとってむしろ望ましい状況といえます。なぜなら、数年にわたるデータセンター建設ブームがまだ初期段階にある中で、AIインフラの主要企業よりはるかに低い初期バリュエーションで投資できるからです。
もしスーパーマイクロが、既存の設計受注とAI設備投資の拡大見通しを背景に、今後10年間で年率10%台半ば以上の利益成長を達成できれば、現在の数万ドル規模の投資は、時間の経過とともに数十万ドル、あるいは数百万ドル規模のポジションへと複利で成長する可能性があります。特に、同社の事業運営が安定し、株式市場が再び同社をプレミアムな評価倍率(高いマルチプル)で再評価するようになれば、その可能性はさらに高まるでしょう。
AIへの投資が今後も複数年にわたる投資サイクルを維持する場合、スーパーマイクロは半導体競争そのものに勝つ必要はなく、その波に乗って成長していくことができます。
2.アリスタネットワークス[ANET]
AIモデルは、アクセラレーター間で膨大なデータを移動させなければ機能しません。そこで重要な役割を果たすのがアリスタネットワークス [ANET](以下、アリスタ)です。アリスタはクラウドおよびAIデータセンター向けの高性能イーサネット(Ethernet)スイッチとソフトウェアを設計しており、複数のハイパースケーラーが最も要求の厳しいワークロード向けの標準としてアリスタの製品を採用しています。
AIクラスターには超低レイテンシ(遅延)かつ高帯域幅のネットワークが必要であり、すでにその需要がアリスタの業績に反映され始めています。経営陣は最近、年間売上高が約28%成長し、2025年の売上高は約90億ドルに達したと報告しました。またAIネットワーキング事業の目標を、2025年の15億ドルから2026年だけで約27億5,000万ドルへと引き上げています。
これらの目標は、いくつかの具体的な成長要因に支えられています。例えば、AIデータセンター向けの400Gおよび800Gイーサネット・プラットフォームの増産、新たな1.6テラビットのロードマップ策定、さらに複数のクラウド大手や主要AIモデル開発企業におけるトレーニングおよび推論ワークロードを支える設計の獲得などが挙げられます。
イーサネットがますます大規模化するAIクラスターの標準基盤(default fabric)として定着し、アリスタが今後も二桁の売上高成長および利益成長を継続的に達成できれば、現在のバリュエーションは、今後長期にわたるリターン拡大の余地が残されていると言えるでしょう。
3.ユーアイパス[PATH]
ユーアイパス [PATH]は、ワークフローAIプラットフォームへと静かに進化を遂げてきた、中型株のソフトウェア企業です。そのルーツはロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)にあります。現在では、その自動化基盤の上に生成AIや特化型モデルを組み合わせることで、ドキュメントを読み取り、意図を理解し、複雑なプロセスを自動的に実行するソフトウェアロボットを企業が構築できるよう支援しています。
これらはAI特有の専門用語に聞こえるかもしれませんが、長期的な強気シナリオは比較的シンプルです。多くの企業は、自社で一からAIエージェントを開発するのではなく、すでに自社のバックオフィス業務に組み込まれているベンダーのソリューションを利用する可能性が高いという点です。ユーアイパスは、そのような役割を担うベンダーになり得ます。
本稿で取り上げた銘柄の中で、ユーアイパスは最も魅力的な銘柄と言えるかもしれません。同社は数千社の顧客を持ち、マイクロソフト[MSFT]、SAP[SAP]、オラクル[ORCL]といった企業と緊密な連携を実現しており、さらに財務、人事、ITサービス業務向けのAIコパイロットも提供しています。
同社の株価は過去1年間で二桁の下落となっていますが、筆者にはむしろ今の方が魅力的に見えます。なぜなら、この下落は同社の中核である自動化事業そのものが崩れたためではなく、成長期待の鈍化とソフトウェア株全体の売りによって引き起こされたものだからです。
ユーアイパスの株価は、今後もソフトウェアおよびテクノロジー市場全体の動きに連動する可能性が高いでしょう。しかし、同社がエージェント型(いわばロボット型)AIへと戦略転換を進めていることは、将来大きな資産形成を目指す投資家にとって魅力的なポイントと言えるでしょう。
4.クォリーズ[QLYS]
サイバーセキュリティは本格的なAI競争へと移行しつつあり、クォリーズ [QLYS]はAIの恩恵を受ける可能性の高いにもかかわらず比較的過小評価されている企業の一つです。同社は脆弱性管理、脅威検知、コンプライアンス対応のためのクラウドベースのツールを提供しています。
クォリーズはセキュリティ担当者に大量のアラートを送り付けるのではなく、AIを活用して本当に重要なリスクを優先順位付けし、さらにどの問題から修正すべきかについての提案まで行います。サイバーセキュリティ分野においてAIを独自の方法で活用している点が、この銘柄の魅力の1つだと考えています。
AIの普及に伴い、攻撃対象領域は拡大し、より強固で堅牢なセキュリティインフラの必要性が高まっています。この流れはクォリーズの強みに合致しており、サブスクリプションモデル、高い利益率、そしてクロスセルの容易さを背景に、長期的に安定した複利成長に適した企業構造となっています。
2026年初頭、売上高成長率が2025年の10%から7%~8%へ減速するとの弱気な見通しが示されたため、株価は13%を超える下落となりました。
しかし、この下落は一時的なものだと考えています。クォリーズは、もともとの業績見通しがやや楽観的すぎた面があり、この下落によって株価はむしろ投資妙味のある水準に入ってきています。
5.テラデータ[TDC]
テラデータ [TDC]は、長い歴史を持つテクノロジー企業ですが、AI時代に向けて事業を再構築してきました。同社のVantageCloudプラットフォーム(クラウドデータ分析基盤)とClearScape Analytics(分析エンジン)は、企業がさまざまなクラウドやデータセンターに分散しているデータを一元管理し、分析、ベクトル検索、AIモデルの実行を行えるようにする仕組みを提供しています。
AIが機能するには、データが整理され、構造化され、適切に管理されていつ必要があります。テラデータは、企業がAmazon Web Services、Microsoft Azure、AlphabetのGoogle Cloud、あるいは自社ハードウェアなどのどれを使用している場合でも、その中核となるデータおよびAIレイヤーとなることを目指しています。
2026年2月に、テラデータの第4四半期の決算で市場予想を大きく上回る、4億2,100万ドルの売上高を記録したこととクラウドARR(年間経常収益)の力強い成長とエージェント型AIツールの進展により、株価は最大42%急騰しました。
決算発表の株価上昇後も、株価はフリーキャッシュフローの12倍未満、売上高の約2倍という水準で取引されており、市場は依然としてこのデータ分析のベテラン企業を比較的割安と見なしていることを示しています。
今後、テラデータがその役割を維持し続ければ、投資家の評価は、従来型のデータベース企業ではなく、先進的なAIデータプラットフォーム企業として再評価される可能性もあるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Micah Zimmermanは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、アリスタ・ネットワークス、マイクロソフト、エヌビディア、オラクルおよびユーアイパスの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、SAPおよびテラデータの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。
